第五十五話 環境適応

「人というものは環境に適応することで、能力を飛躍的に向上させる。草むしりもその例外ではない」

「そうですね。生徒たちの草むしりスキルは、今や神レベルです」


「最初は半日かかっていた除草が、今や五分。みんな、素晴らしい適応能力だ」

「単に労役に慣れたということだけでなく、心技体全ての面において草むしりに適応しましたからね」


「ところで教頭。生徒たちはどこにいる? 教室の中に姿が見えないが」

「それが……」


「うん?」

「草むしりに適応し過ぎまして。次の草むしりまで地中で眠っています」



【おしまい】

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