第二十話 おいしくない

「校長。草むしりって、多大な労力を要する割に達成感に乏しいじゃないですか」

「まあ、そうだな」


「で、人力でやるのは生徒たちのためにならないと考え、家畜放牧除草を試すことにしました」

「草むしりは、甘やかされてる生徒に労役の意味を考えさせる上で有益なんだがな……」


「そうなんですよ。甘やかされてるんです」

「だろ? 何かにやらせるのは感心せん」


「いえ、家畜がです。校庭の草を食べずに、配合飼料ばっかり食いやがって!」

「じゃあ、草は君が食え」



【おしまい】

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