厄介なお土産
釣り旅行へ出ていた知人から土産を頂戴した。
この時期を逃すと恐らく次の冬までお預けとなりそうな、そんなお土産。
深夜、散歩に出掛ける代わりに物置を漁り、木炭と七輪を取り出す。
近所の家々の窓が閉じられているのを簡単に確認し終えると、七輪の炭に点火。
真っ暗闇の中に懐中電灯ではない優しい炎の光が灯る。
家の中で焼くと間違いなく後悔するだろう。
とはいえ、昼間に焼くと近所から苦情が寄せられてしまう。
日中は暖かく窓を開けていたり、洗濯物が干してあってもおかしくはない。煙が窓からお邪魔してしまったり、洗濯物へ臭いが移ってしまっても困る。
ほぼ無風なのだが分かる範囲で風上に陣取ったというのに、私の目と鼻は危険信号を発していた。
しかしここは我慢だ、もう少しの辛抱なのだから。
そして焼きあがったのがこれ、くさや。
若い頃に一度興味本位で口にしたことで、見事に嵌まってしまった、それ。
ある意味、干物の王様だろう。
駐車場のコンクリートの上に、トレーに載せた地酒の一升瓶と湯飲みを用意してある。
くさやを手で割きながら口に放り込み、湯飲みに注いだ酒を煽る。
う~ん、臭いけど旨い!
※手に移った臭い、数日は取れないだろうな。
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