新たな拠点①

 更に月日は流れ、レオンがこの世界に来てから半年、ついに新たな拠点は完成する。

 拠点の内部は、迷宮がある第一エリアから、レオンの居住区がある第八エリアまで八つのエリアに分かれていた。


 第一エリアは同じ部屋が幾つも連なる迷宮。

 その数は地下も合わせると1000にも及ぶ。

 しかも、侵入者を捉えるための麻痺毒のガスなど数多くの罠が仕掛けられていた。

 当然のように転移系の魔法を阻害する結界も張られており、一度深く潜り込めば簡単に抜け出すことでがきない作りになっていた。


 第二エリアは闘技場。

 古代ローマのコロッセオを彷彿とさせる作りであるが、その大きさは直径1キロにも及ぶ。

 観客席の高さは最大200メートルを越すほど巨大であり、中には豪奢な貴賓室も設けられていた。

 上空にはアインスの創り出した偽りの大空が広がり、更にその上には人工太陽が輝いている。

 闘技場には常にレオンの従者が控えており、万が一に迷宮を突破されても、ここで殲滅できるように常に鉄壁の布陣を敷いていた。


 第三エリアは牢獄と尋問部屋。

 侵入者や敵対者を閉じ込めるための頑強な牢獄が幾つも連なり、その一角には尋問を行うための尋問部屋も完備されている。

 しかし、そこに置かれているのは見るもおぞましい拷問道具ばかり、正確には拷問部屋と呼ぶのが正しいのかもしれない。


 第四エリアは農場プラント。

 かつては木材を確保するための植林場であったが、エリア内を更に拡張し、今では多種多様な薬草や野菜なども栽培していた。

 その大きさは直径20キロにも及び、エリア内には小さな湖もあれば、川も流れ風も適度に吹いている。まさに、外にいるのと何ら変わらない風景が広がっていた。

 上空には闘技場同様に偽りの空があり、魔法で創り出した人口の太陽が輝いている。

 しかし、こちらは常に太陽が昇っているわけではない。外の太陽の動きに合わせるように、夜になると太陽は沈み暗闇が訪れる。代わりに夜空には満点の星空が広がり、微かな月明かりが植物たちを照らし出す。

 態々わざわざこうして夜を演出しているのには理由わけがある。それは、ペットたちが暮らしていることや、植物を栽培していることに起因していた。

 夜行性のペットがいることや、植物の生育には適度な寒暖差も必要だからである。


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