DX3rdリプレイ集「Live in sink」
うみぜり@水底で眠る。
序文
二十一世紀初頭、日本。
世界は相変わらず不景気で、人口は増え続け、物資は足りず、人は争い、経済格差は広がり続けるばかり。二十世紀の延長線上でしかない二十一世紀は、誰の眼から見ても大筋を予想できる未来を、飽きもせずに紡ぎ続けていた。
特にこの日本では非日常は相も変わらずただ遠く、人々は背を丸め、倦んだ吐息を漏らし、手元の小さな携帯端末に視線を落とすばかり。
可も不可もない毎日。ロクに刺激はない癖に、不安だけは燻り続ける暗い日常。
昨日と同じ今日。
今日と同じ明日。
日常は平坦にただ続き、何の変化もない。
そう、思われている。
一部の病人。
レネゲイドウィルスという未知の病原菌に侵された、哀れな異能者達以外には。
彼等の名は、オーヴァード。
これは、そんなマイノリティ達の物語。
異能という名の不治の病を抱えた、病人達の物語。
異能は礼賛されず、迎合されず、祝福されない。
出る杭は打たれる。
一言で言えば……それが全てでしかない。
狼と羊は、同じ檻には入れない。
哀れな狼たちよ。
どうか、その生と日常に、一片の安らぎがあらんことを。
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