再会(11)
「なによ」
依吹はふんと笑った。
「相変らずハル、ハルだな。どうせ今回ハルの居場所が知りたくて俺に連絡してきたんだろ」
そんなことはない、依吹にも会いたかったと言おうとしたが、なんだか嘘臭くなりそうで一凛は黙った。
それにハルの居場所を訊くのが一番の目的だったから図星だ。
でもなんだか依吹にそう言われるとちょっと寂しい。
「そんな顔すんなよ。ハルは元気にしてるぜ。新しい檻に移ったんだ。ハルの奴が檻に何度も体当たりしたことあったろ。あれで鉄格子が少し破損したんだ」
ハルが颯太と依吹を威嚇した時のことを思い出す。
こうやって依吹とハルの話をしているとまるでついこの間のことのように思えてくる。
「よかった。ハルは元気にしてるのね」
ハルはあれから少しだが、心を許した相手には簡単な会話をするようになったそうだ。
「俺さ、前に一凛にもうハルとは会うなって言ったじゃないか。今となって思えば俺もハルに嫉妬してたんだと思う。一凛のあの時の彼氏、えっと名前なんだっけ?」
「颯太さん」
「そう颯太と同じようにさ。もともとハルは愛想のない奴だったけどさ、一凛が会いに来なくなってから、前にも増して元気がなくなったように見えてさ。あいつ今でも相変らず一人だからさ、会いに行ってやれよ。ハルの奴きっとすごく喜ぶと思う」
一凛は返事の代わりにゆっくりとうなずいた。
「あの頃はまだみんな子どもだったね」
依吹はちょっとだけはにかんだ。
「ガキだったな、みんな」
依吹は皿に残ったチャーハンをスプーンで掻き集め口へ押し込むと、胸ポケットからボールペンを取り出した。
「地図描いてやるよ、ハルのいる場所」
薄い紙ナフキンに描きにくそうにボールペンを押しつけた。
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