ソタロール

俺はソタロールのトップ、Ⅲ群剣士ソタだ。



もともと俺は帝国の兵士だった。

規律にうるさくクソ面白くもない任務に嫌気がさしていたある日、Ⅱ群の男が入ってきた。

その男は入って間もなく士官の仲間入りし部隊を任されるようになった。


それを見た俺は真面目にやっているのが馬鹿らしくなりさっさと兵士をやめてフランに登録した。


馬鹿正直に兵士をやってても駄目だ。


正規ルートの兵から始めたら余程の手柄をたてないかぎり、俺程度の身分の者は士官にはなれない。

それならⅡ群になったほうが、早くそして確実に士官入りできるではないか


同じように考える奴は多く、そんな奴らが集まったチームがはみだし部隊ロールだ。

俺がトップになってからは「ソタ部隊ロール」とよばれている。


人数にモノをいわせて人海戦術でモンスターを狩る。

大変な探索作業は下のメンバーが行ってくれるので俺達はゆっくりと発見の報告を待てばいい。


Ⅱ群になった者から抜けていき下の者が引き継いでいく。先輩達はみなそうやって卒業していった。

だが俺の代になってからというもの、いつまでたってもⅡ群に上がれない。


やってることは今までと変わらないはずだ。


Ⅱ群になった先輩の情報を集め、必要と思われるモンスターも大体把握している。


そんな俺を尻目に自分達より後からⅢ群になった奴らが昇格していく。


あきらかに自分の方が討伐数も多く経験も豊富だ。率いている人数も多い。


なのに何故昇格できない?

フランに何度も直談判をしてみたが全く取り合ってくれなかった。


クソ腹が立つ。


自分より若い奴らが粋がっているのが癇に障る

こちらは真剣にやっているのに、目の前できゃぴきゃぴと狩の邪魔をされたら目障りだ。


ああいう調子にのっている奴らは障害にならないようさっさと潰してしまうに限る。



つい最近「ニフェカラント」というチームを潰したばかりだ。


目ざわりだったので潰しにかかったらあっという間に再起不能で退場となった。


「それにしてもおかしかったなニフェカラントの奴等」

地面に頭をこすりつけて許しを乞うてくる姿を思い出すと笑いが出てくる。


「許してくださあい。お願いしまあす」

仲間の一人がニフェカラントのマネをし爆笑がおこる。


「最近の若い奴らはプライドはねえのかよ」


覚悟のないやつがⅡ群になろうなんて、考えるんじゃねえよ。




「でも折角目障りな奴等が消えたと思ったのによ」


これでやっと静かに狩ができると思ったら、また別のチームが現れた。

今までのチームの中で最高に平均年齢の低い奴らだ。五人中二人も女がいる。

その上成人に達していない子供まで混じっている。


まるでピクニック気分だ

なめてんじゃねーぞ!


「まあ、放っておけばそのうち消えるだろ」


特殊モンスターの討伐は厄介だ。知識のない奴等は手も足も出なくてすぐいなくなる。


そう思っていたのだがなかなかしぶとい。



俺達はいままで先輩達の狩を見てきた経験から特殊モンスターの倒し方を知っている。

新しいチームが現れてもモンスター倒し方がわからず四苦八苦しているのを見て鼻で笑っていた。


そこは俺達が優位に立てる所だ。

絶対に倒し方を漏らさないように徹底している。

大体のチームはそのうち嫌気がさして諦めていく。


だがCCブロッカーの奴らは俺達の知らなかったやり方でモンスターを倒していっていた。


どうしてそんなことを知っているのか。

多くの冒険者達が挑み挫折している特殊モンスターも難なくクリアしてしまった。



なんて目障りなやつらだ。


「ちょっと調子にのりすぎだな」

アジトで俺が酒を片手にそう呟くと、傍らの二人がニヤリと笑った。

「このままだと教育に悪いな」

「ぼくちゃんたちに世の中の厳しさってのを教えてやらなきゃな」

主語を言っていないのに、誰の事か分かったらしい。


「誰を狙う?」


こういうのは全員手当たり次第いたぶるより、一人を徹底していたぶった方が効果がある。


「女を狙うのは止めておこう。なにせ俺はフェミニストだからな」

すぐ逃げられたらいたぶる楽しみが無くなる。


となると、いいのがいる。


「ガキをねらえ」


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