Ⅱ群

フラン環には階級がある


 登録してすぐは【Ⅳ群】からのスタートとなる

 ただし【Ⅰ群】は例外だ。あれは本人の意思関係なく勝手にⅠ群(危険人物)登録されるのだから。


 よって【Ⅳ群】は実力のあるものから素人までムラが激しい。

 依頼を最後までやり遂げる者、途中で投げ出す者、いい加減にやる者などいろいろいる。

 そんなこともあり、あまり重要な依頼は回っては来ない


【Ⅲ群】は、安定した実力をもち信用にたると認められた者がなれる。

 そのため、Ⅳ群のようなムラはなくなり仕事の幅もかなり広がる。


【Ⅱ群】は、実力だけでなく知識も経験も豊富で統率力を兼ね備えている者がなれるとされている。


 Ⅳ群からⅢ群へは、大きな失敗もなくある程度の数の依頼をこなして信頼と実績を積み上げて行けば昇格できる。

 だがⅢ群からⅡ群へは、ただ依頼をこなすだけでは昇格できない。


 Ⅱ群になるには多彩なモンスターの討伐が必要となる。同じようなモンスターを闇雲に狩っていても駄目なのだ。


 世の中には、どんなに切っても殴っても倒せないといったような癖のあるモンスターがいる。倒すためには知識、連携、技術、様々な力が必要になってくる。

 以前クロが「経験の差でⅢ群が何人いても手に負えないことがある」と言っていたのはこのことだ。討伐経験が必要なのだ。



 フラン環では、特定のモンスターに集中しないよう、どのモンスターをどれくらいと言ったはっきりした基準は公表されていない。


 モンスターの出現状況もその時々で変わるため、臨機応変に対応されているようだ。


 それでもやはり最低限討伐経験が必要なモンスターというものがあるらしく、昇格間近の人はフラン環より肩を叩かれ、討伐モンスターの指定を受けることがあるとかないとか。覆面審査員が入るとか入らないとか色々噂は飛び交っている。



 Ⅰ群は雲の上の存在なので説明は割愛する




 次なる目標はⅡ群を目指す事。


 モンスター図鑑を手掛かりに、Ⅱ群昇格に必要と言われているモンスターを狩って行く

 全てがクマリン周辺にいるわけではないので、目標の生息地まで遠征が必要となる。

 クマリンを離れ俺達は泊りがけで狩りを行うようになっていた。



 Ⅱ群になれば、それだけで士官になれる。

 知識も経験も豊富で、部隊ロールを引く力を持っているⅡ群は、大変優遇される。

 冒険者というのは危険な割に低収入で不安定だ。

 安定高収入好待遇の士官と比べたら、天と地ほどの差がある。よってⅡ群の大体の者は士官入りし部隊ロールを率いている。


 多くの者が士官入りをするためⅡ群昇格をめざして討伐が必要なモンスターの傾向と対策を練っている。結果 闇雲に狩りをしているパーティとは違い、Ⅱ群を目指しているパーティというのは、狙うモンスターが似たり寄ったりになる。


 つまり、狩場では毎度おなじみの顔ぶれが集まり、目標に対し競争がおこるのだ。


 競争と言えば聞こえがいいが、いわゆるつぶし合いだ。




 無知な俺達はその醜い争いの渦中に自ら飛びこみ、翻弄されることになる。


 俺達の運命が何処から狂ったのかときかれたら、俺は間違いなくここからだと答える。

 今後分岐点はいくつかあったが、沸騰した頭では碌な判断ができなかっただろう。


 冷静な頭で判断できたのは走り出す前のこの時点だったと今なら思う。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る