第49話 老化

 「老化は走らないでください」

という言葉がある。

 老いは避けられないが、避けたいものではある。


 今朝、見つけたモバイルバッテリーをカラーボックスに置いたはずなのにない。私の他に誰も触っていない。

 記憶力が衰えている自覚はある。しかし、どこかにちゃんと置いたはずなのに、思っていた場所以外を探しても見つからない。

 こういうときは忘れた頃に発見されるものだが、そのときどこで発見されるのか。そのとき、予想もしなかったところから見つかったら「ああ老化が進んだ」と思うのだろう。例えば冷蔵庫の中とか自動車のエンジンルームとか、ひっかけ橋の下とか。

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