第2話

アフロ野郎は、さっきの“シズカちゃあああーん”の余韻が残っている間に、彼女同様机を持ち上げ、さらに難易度の高そうな“縦回し”を始めた。

 二人はてっぺんの回転するツインタワーと化した。


 ボクは……嫉妬した!

 どうして、シズカちゃんの横で机を縦回ししているのが、ボクではなくアイツなのか?

 どうして、さっきまで怯えていた犬のドジョウが、ボクの足につかまり腰をカクカクしているのか?

 分からないことだらけだった。

 そして、一番分からないのは嫉妬している自分自身だった。


 このままだと弁当を食い損ねてしまう。

 でも、そんなこと気にしている場合じゃない気もする。

 隣のドジョウがそんな事情を察知して、腰をカクカクしながらも弁当を狙ってる気がするのは、犬を相手に深読みし過ぎだろうか?

 

 ツインタワーの片割れであるアフロのTシャツには黒く大きな文字で“のび太”と書かれている。

 ははーん、そうきたか……と納得できるわけもなく、ボクは焦燥感を募らせる。


“これは、すでに戦争だ!!”

 そう確信した。

 もちろん、根拠はない。

 空っぽの戦意だけが、ボクの持ち物の全てだった。

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