福音
みんな死んじゃえばいいのにね
君を損なう 人間なんて
君を傷つけた言葉も
耳の内でがなりたてるその声も
忘れてしまえばいいよ
全部
僕の言葉を 声を
僕の声だけを聞いてくれないか
そうしてすべて吐いて話して
顔を上げてはくれないか
僕は君を肯定しよう
誰かを否定していい人間など
この世にいないから
ヒトなど皆平等に低俗だよ
それを知っていて空を捉える
月色に鈍く光る花片のような
深淵を映すその瞳を
僕によく見せておくれ
[親愛なる月下の桜の樹へ]
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