September.

Mourning

白抜きの家紋を背負って

棺の前に凛と立つ彼女

その口許に浮かぶは微笑

誰もが涙し俯くなかで

その背筋せすじだけが伸びていた


「泣かないよ、私は

悲しくなんかないもの

生きているものが死ぬのは

月が沈みまた昇るように

季節がめぐりゆくように

とても自然なことでしょ?」


葬儀の場にそぐわぬ笑顔は

まるでケルトのドルイダス

仲間の生も死も祝福する

森の末裔は魔女と呼ぶには

あまりにも眩しすぎた


悼みと痛みは

同一ではないから

ひとの死を痛むことを

強制される謂れはない

そう、わたしは思うのです



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