第10話  星辰信仰と古事記  6

「御刀」の「手上たがみ(柄)」に溜まった血が、指の間から流れて成り出でた、

闇淤加美神くらおかみのかみ」は、「鯨座α星メンカル(赤色巨星)」。

「プレアデスの両手」形成する星座でもある。


「闇」は、「門(二枚扉)+音(口を閉じて声だけ出す、ふさぐ)」で、入り口を閉じて、中を暗くふさぐ事。「暗」と全く同じ言葉。

「於」は、「はた+二印(重なって止まる)」で、旗がなびかずに垂れて止まったさまを示す。

「淤」は、「水(さんずい)+於」で、水が止まって流れない事。「滞る」、「濁る」や「泥たまり」の意で使われる。

「加」は、「力+口」で、手に口を添えて勢いを助ける意。

「美」は、「羊+大」で、形の良い大きな羊を表す。見目好い意として使われる。


牙旗がき」は、古代中国の「牙門(軍門)」を守る将軍旗の事。三角形をしている。そのような形した星座「三角座」の隣にある「牡羊座」を乗せている「頭部(鼻)」にある星。



闇御津羽神くらみつはのかみ」は、「鯨座星ο星ミラ(赤色巨星の変光星)」。

「プレアデスの両手」形成する星座。

「午」は、干支の「うま」の字としても使われる「きね」の原字。

「卩」は、人のひざまずいた様を描いた意のものと、竹の節を両分した片方、割符を描いたものと、別字が混同されたもの。

「止(あし)」と、「彳(いく)」と組み合わせた「御」は、馬を穏やかに馴らして穏やかに行かせる事を示す。つきならす意から、凸凹や阻害する部分を調整してうまくおさめる意となる。

「津」の意は、水が少なく、尽きようとして垂れる事を示す文字。のち、うるおす、湿った浅瀬などの意を派生する。右部「聿」は、「手で筆を持つさま」。

「羽」は、二枚の「はね」を並べたもので、鳥の身体に覆いかぶさるもの。


「ミラ」のそばには、「二枚の羽」にも見える「双魚(魚座)」を繋ぐリボンの中心がある。

「ミラ」含む「鯨座ρ星、ε星」は、中国星官「蒭藁すうこう(まぐさの意)」がある。



「迦具土命の頭」に成りし神、「正鹿山津見神まさかやまつみのかみ」は、

「竜座γ星エルタニン(竜の頭の意)」。


「正」は、「一+止(あし)」で、足が目標の線めがけて真直ぐに進むさまを示すもの。「征(真直ぐに進む)」の原字。

「鹿」は、「シカ」の姿を描いた象形文字。鹿が、狩りをする人々が追い求めるものであることから、「帝位」に例えられている。

「涿鹿の戦い《たくろくのたたかい》」は、「黄帝」となる「軒轅けんえん」が「炎帝」の子孫「蚩尤しゆう」を破った一戦のこと。「蚩尤」から滴り落ちた血は「手枷てかせ」を赤く染め、その後「ふう賀茂楓かもかえで)」となったとされる。赤旗を「蚩尤旗」といい、威勢の象徴とした。

「蚩尤」は、人の身体に「牛の頭と鳥の蹄」を持つとされる。異説では、「蛇の首と亀の足」を持つとされる。


「逐鹿者不見山(鹿を追うものは山を見ず)」という故事の意は、鹿を捕らえようとして追うものは、山が険しいかどうか見向きもしない。欲に目がくらむものは、道理を忘れる。また、一事に熱中して他を顧みないという意。


「指鹿為馬(鹿を指さして馬となす)」という故事は、「秦」の時代に権力を独占しようとした者が、黄帝に「鹿」を献上して「馬」だと言い張り、「鹿」だと本当の事を言った者を罪に陥れたというもの。是非を転倒すること。策略を講じて人を陥れる事。

鹿盧剣ろくろけん」は、剣首に鹿盧(滑車)形の玉飾りがついた剣のこと。


「ガゼル」は、アフリカやアジアに生息する、鹿に似たウシ科の動物。「角の形」を正面から見れば、亀の甲羅で作られたとされる、ギリシャ神話の「たて琴」にも見える。

「雷神」である「賀茂の神」のように、「雷」を武器にする「ゼウス」が変身する「ワシ」でもある、「夏の大三角」形成する「琴座(落ちるワシ)」の北側にある「竜座の頭部」は、足を前に踏み出す「ヘルクレス座」に踏まれているように見える。



「迦具土の胸」に成りし神、「淤縢山津見神おどやまつみのかみ」は、

「琴座β星」。

「淤」は、滞る、濁る、水や血が流れない意。

とう」は、互い違いに組んで編むこと。かがる、とじる、束にする。「よじれてのぼる」意として「藤」と同系。


古代中国で「織女」と名付けられた「α星ヴェガ」は「落ちるワシ」というアラビア語からきている。

 分光連星で、食変光星として観測される星。「行く手を阻むフェンス(琴)」と組み合わされて書かれる「落ちるワシ」の絵図の、胴体部にある星。



「迦具土の腹」に成りし神、「奥山津見神おくやまつみのかみ」は、

「小狐座の星」。

「采」は、「播」の原字で、細々したものが散在するさま。

「奥」は、「宀(おおい)+采+両手」で、屋根に囲まれた部屋の隅にある、細々したものを、手探りするさまを示す。

 奥深い場所、容易に解せない事がらや、川や、山の深く入り込んだ所「くま」の意。

「小狐座」は、「夏の大三角」形成する「鷲座の翼」にある「矢座」と違い、17世紀後半に考案された、目立つ明るい星の少ない星座。しかし、そこにある星は、古代にも当然存在する。「三角形の中にある星々」で出来ている星座である。



「迦具土の陰」に成りし神、「闇山津見神くらやまつみのかみ」は、

「矢座α星シャム」。

「昇るワシ(鷲座)」の翼に重なるように描かれている。

「見」は、「目+人」で、目立つものを人が目にとめる事。また、目立って見えるの意から「あらわれる」の意ともなる。

「光」は、人が頭上に「火」を載せた姿を示す。四方に発散するの意を含む。

「箭」は、長さや、太さを揃えて作った「矢」。もと、「函谷関かんこくかん」より西の方言。水時計の目盛りを指す矢。転じて時刻の事。

「函谷関」は、「斎」の「孟嘗君もうしょうくん」の故事、「鶏鳴狗盗けいめいくとう」の舞台として知られる。夜間封鎖される関所で、朝、「鶏」が鳴くと開錠される。


「光陰矢(箭)の如し」の意は、「光陰(太陽と月)」、つまり「年月や月日」が、放たれた矢のように、速く過ぎ去る事を表したもの。意味ではなく、言葉に連想させたものだろう。

「矢座」の反対側の「鷲座の翼」部分には、現在消滅した「アンティノウス座」という、弓矢を持つ人の姿が描かれる事もある。「鷲座η星、θ星、δ星、ι星、κ星、λ星の6星」で構成されていた。

 2世紀のローマ皇帝「ハドリアヌス」が寵愛していた美少年なので、神話が存在しない。「鷲と美少年」の組み合わせから、「ゼウスとガニュメーデス」という「水瓶座の星座神話」を連想させるが、別物である。



「迦具土の左手」に成りし神、「志芸山津見神しぎやまつみのかみ」は、

「蛇座(尾)θ星」。

「蛇使い座」と一体の星座であった時代もある。「尾」の、先端にある星。


「志」の「士」印は、進み行く足の形が変形したもので、「之」と同じ。士女の「士(おとこ)」ではない。「心」と組み合わせ、「こころ」が目標目指して進み行くこと。

「芸」の原字は「埶」で、人が植物を土に植え育てる事を示す。不要な部分や枝葉を刈り捨てて、良い形に育てる事。「刈」と同系の言葉。のち、「艸」をつけ「蓺(芸)」と書く。



「迦具土の右手」に成りし神、「羽山津見神はやまつみのかみ」は、

「蛇使い座α星ラスアルハゲ(蛇使いの頭)」。

「羽」は、二枚の「はね」を並べたもので、鳥の身体に覆いかぶさっているもの。

 「鷲座アルタイル」と「琴座ヴェガ」とを結ぶと、「夏の大三角」とは逆側に「三角形」を描くことができるので。



「迦具土の左足」に成りし神、「原山津見神はらやまつみのかみ」は、

「蛇使い座η星アル・サビク・アト・ターニ(第2の勝利者)」。

「蛇」をまたぐ足の部分にある星で、絵図の「蛇座(尾)」が始まる「蛇の腹」辺りになる。


「原」は、「厂(がけ)」+「泉」で、岩石の間のまるい穴から湧く泉のこと。「源」の原字。水源である事から「もと」の意を派生する。



「迦具土の右足」に成りし神、「戸山津見神とやまつみのかみ」は、

「蛇使い座ζ星アル・サビク・アル・アワール(第1の勝利者)」。

「蛇」をまたぐ足の部分にある星で、絵図の「蛇座(頭)」が描かれ始める辺りになる。

「勝利者」の意は、「サソリ」を踏みつけて勝利した事によるものとされている。


「戸」は、二枚扉を描いた象形文字「門」の左半分をとり、一枚扉の入り口を描いたもの。勝手に出入りしないように防ぐ扉。



「十拳剣」の名は、「天之尾羽張あめのをはばり」亦の名「伊都之尾羽張いつのをはばり」。

「十拳剣」と「天之尾羽張」の意は、「白鳥座(北十字)」。「伊都之尾羽張」意は、「蠍座」。「迦具土」を斬った「太刀筋」である「天の川暗黒帯」の両端にある星座である。


 形が「剣」であるから。剣先にあたる場所で輝く「白鳥座β星アルビレオ」は、「サファイア(青)とトパーズ(黄)」に例えられる「寒色系と暖色系」の「見かけの二重星」として有名な星。

「飛び散った血」より生まれた神々にあたる星々も「寒色系と暖色系」である。


「尾羽張=尾は針」で、「蠍座シャウラ(針)」を表す。

「伊」は、万事を調和する人物を示す文字。


「伴侶の死」を、「身を裂かれる思い」と表現することがある。精神的苦痛を強調する表現である。「蠍座」は「爪」の部分が、分離独立し、正邪を量り、調和を意味する「天秤座」に変化している。

「泣いて馬謖ばしょくを斬る」は、「蜀」の軍師「諸葛亮」が、重用していた部下を、軍律の遵守のために処刑したという故事成語。


「伊弉諾神」が、悲しみの中で「迦具土」を斬った場面に「ペルセウス座」を当てたのは、「馬」と「泣く」の関わりによる。

「親殺し」を犯した者は、「断罪(有罪の判決を下す意と、打ち首にする意)」するという「規律」を定めたという事なのかもしれない。

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