タイマンだ、コノヤロー!

何とか学校には遅刻せずに間に合った…



何せもう何十年も経つから、何処にあったっけ?なんてウロウロしているうちに見つかった。


とりあえずセーフだ。



(…ん?待てよ。オレ中2の時ってクラスどこだったけ?)



肝心な事をすっかり忘れてた…



えぇ~っと、1組?いや、違う、違う。


じゃあ2組?あれ、2組だったような…


いや、待てよ、3組じゃなかったか?



あれ?解んなくなったぞ!



まぁ、とりあえず2年生の教室探してりゃ思い出してくるだろ、うん。



しかし懐かしいな、この校舎。



おーおー、どいつもこいつもウブなツラしてやがんなw



で、肝心のクラスだが…



1組の教室を覗いてみた。


えぇっと、アイツ誰だっけ、あのイガグリ頭。


何せ27年前の事だから、名前すら覚えてねえっつーの!



でも、ここじゃなさそうだな、ていう事は2組か?



しかし、今改めて見ると随分とボロい教室だな…


こんな感じだったかなぁ?



隣の2組の教室を覗いた。



…サッパリ解んねえ!



あ、あの女子、えーっと何だっけ?


…メガネかけた地味な女だなぁ。



あんなのクラスにいたっけ?



いや…違うな、うん。


て、事は3組か!


そうだ、オレ3組だった、今思い出した!



よし、オレは3組の教室に入った。



おー、おー、いるいる同級生がw



あの頭の悪そうなヤツ、何つったっけ?



あ!あの女子、…えっとハタチでデキ婚したんだよな、確か。



「おい、智!」



ん?何だ、この声は?



「智、お前、今日の朝練サボったろ!」



朝練…朝練って何だよ?



「あぁ!」オレを思わず声を上げた。



「な、何だよいきなりでけー声出して?」



おぉ~、牛島!お前は牛島泰彦(うしじまやすひこ)懐かしいな、おいっ!



「いや~、久しぶりだな、おいっ!お前、確か家の仕事継いだんだよな?どうだ景気は?」


コイツは自営業を営んでいる。まぁ大人になってからだが。


「はぁ?何ワケの解んねえ事言ってんだ?それよか、お前、また朝練サボったろ!先生怒ってたぞ!」



何だ、さっきから朝練、朝練て。



「あぁっ!」またもやオレは思わず声を上げた。



「だからさっきから何なんだよ、ウルセーなっ!」



そうだ、オレ、サッカー部だったんだ。



しかしまぁ、この教室の雰囲気…


まるで中学生に戻った気分だな、…あ、そうか、オレ今、中2なんだっけ…



いや、しかしホントに懐かしい!


アイツ、教壇に腰かけてんの、確か田代じゃねえか?



あどけないツラしてんなぁ、でも確かアイツ会社作ったのはいいが、不況で倒産したんだよな…


おまけに女房子供にも逃げられて…可哀想なヤツだったな、うん。



「おい、マーシー(田代のアダ名)借金ぐらいなんだ!お前の人生はこれからなんだぞ!いいか、決して負けんじゃねぇぞ!」



オレはマーシーの肩をガシッと抱き寄せ、ポンポンと叩いた。



「おい、何言ってんだお前?借金って何だよ?」



…あぁ、そうかそうか、この頃はただのアホだったからな、コイツは。



いや、でも生徒1人1人見たけど、まだ顔と名前が一致しねえな…



まぁ、そのうち慣れるだろう、うん!



で、1時限目は何だ?…あれ、今日って何曜日なんだ?

あぁ、あの茶髪のヤツに聞いてみよう。

しかし、モロ、ヤンキーだな。


「おい、そこのヤンキー!今日何曜日だ?」



こんなガラの悪いヤツ、クラスにいたかなぁ?



「あぁ?何だテメー?」



ヤンキーが後ろを振り返った。



あれ、龍也!金澤龍也(かなざわりゅうや)じゃねえかよ!



随分とまぁ、意気がってんな、コイツw



えーっと、確かコイツ、高校中退して19でデキ婚したんだよな、確かw


「ギャハハハハ!そうかそうか、龍也だったか!おい、お前ちゃんとゴム付けてりゃデキ婚なんざしなくてよかったものを…プッ、ギャハハハハ!」


あの時は大爆笑したもんだ。



「おい、山本!テメー、随分チョーシこいてんじゃねえかよ、やんのか、コラァ!」



あり?怒らせた?



周囲がザワザワしてるし…



「おい、智!アイツ怒らせんなよ、ケンカ強いの知ってんだろ?」


泰彦がオレの耳元でボソッと呟いた。

…あぁ!そうだ!コイツ何かにつけてオレに因縁吹っ掛けてきやがったな、この頃は!



ん?心なしか女子がオレを哀れみの表情をしている…何で?



「おい、テメー何意味解んねえ事言ってんだよ?

おい、お前ら!今から机全部後ろにやっとけ!」



ん?机?何だよ、皆して机を後ろに詰めて?



「おい、山本!ちょうどいい機会だ、テメーこの場でボコボコにしてやらぁ!」



ははぁ、成る程。


コイツはヤンキーでちょいイケメンだから女子には人気あったんだよな、確か…



でも…頭スゲー悪かったんだよな、コイツ!



「プッ、クククッ…ギャハハハハハ~あぁ笑いが止まんねえや、ダーッハッハッハッハ!」



そういや、オレとコイツでビリ争いしてたっけなw



「いや~、懐かしいなおいっ!お前とオレでよくビリ争いしたな?オレも悪かったけど、お前も相当なバカだったしな、おい」



シーン…



何だ、いきなりシーンというか、場が凍りついた。


「おい、テメー今何つった?」



ありゃ、コイツ、怒り心頭って感じじゃねぇか。



「おいっ、今から誰も入らねえようにドア開けんじゃねえぞっ!」


そう言うと、一人のチビがさっとドアを閉めた。

…何だあのチビ、ドア閉めやがって!アイツ何て名前だっけ?


そうだ、チャッピーだ!


…あれ、チャッピーの名字何だっけ?…加藤…そうだ、加藤だ!


っていうか、何でチャッピーってアダ名になったんだっけ?



まぁ、いいか。コイツもチビのクセによく意気がってたよな、龍也の金魚のフンみたいにくっついてさぁ。



「おい、今からテメーとタイマンだ!」


タイマン?いやー、随分と懐かしい言葉だ。

今時タイマンだなんていう中坊っているんだろうか?



「は?タイマン?うぉ~、この言葉久々に聞いたよ、なぁ、タイマンだってよwタイマン…ダーッハッハッハッハ!」



「殺す!」


龍也の目が血走ってる。

ありゃ、余計怒らせちゃった?

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