第10話。運命の選択肢

前回の戦争を終えた私達は、幹部会議を開くことになった。


「では会議を始める誰か議案や提案はあるか?」


最近ヒロトさんの言動にwが付いていないのが気になる、余裕が無いのかなぁ。


「じゃあ。。提案する、大砲を導入すべきかと」


大砲かぁ、確かにあれは凄い兵器だけど。。私はこの国は弓矢があるからそんな兵器に頼らなくてもいいと思うんだけどな。。


「あの、私は大砲の導入には反対です」


「えっ?リサさんそれはまたどうして?」


「この国の弓兵の練度はドン引きするくらい高いです。大砲の距離まで飛せる位のすごく大きい弓矢を作ればよろしいかと思います!」


「「・・・」」


議会が静まり返ってしまった。もしかしなくてもちょっとおかしな発言だったかな。。恥ずかしい。。


「ワイも反対やな。そもそもの話、大砲なんて教皇国しか作れへんのにどうやって運用するんや」


「(いや、大砲は導入すべきだね。これは譲れない)」


議案の意見が真っ二つに割れてしまいました。この場合はどうするんだろう。。


「うーーん。。取りあえず大砲を導入してみようか。ただしどうやって手に入れるかだけど」


「ヒロトちょっと良いか?」


「ん?なんだユウタ」


「さっきリサが言ってたデカい弓矢、俺達見たことあるだろ?ヨシちゃんが使ってたじゃねーか」


「あ~、30m級の獲物を狩る時にヨシちゃんが使ってたあれかぁ。あんなの使えるのか?人間が扱える代物じゃないと思うんだが」


ヒロトさんとユウタさんはあーでもないこーでもない、と言い合って結局はそのデカい弓矢を視察して運用できそうか確認して来ようとなった。


「じゃあ言い出しっぺのリサさんとユウタと後ユキマサさんに、ホーエンツォレルン選帝侯に出張してもらおうかな」


「ワイは行けへんで、用事があるから代わりを出すわ」


「用事?」


「せやな、前回商人どもに金を借りまくって金の置き場に困ってな。この大金を盗まれないように、この拠点を要塞化して地下に大規模な金庫を作るんやぞ」


「それはまた大げさな話だな。わかった」


「商人共が何で皆、金を貸したがるかわかったわ。置き場所に困るからやろ」


「それはあるな。今の銀行はいつ破産デフォルトするか解ったもんじゃないしな」


こうして会議は終わった、その後にヒロトさんに呼び出された。


「出張を命じはしたけど、本来ならValois王国との豪華金襴の会見場に”コミンテルン”の一員としてリサさんは参加するはずだったんだけど、出張に行かないで参加する?話によると、豪華な食事に音楽や宮廷とかなり派手で楽しそうな催しらしい」


私は…。

①豪華金襴の陣にぜひとも行きたいです!楽しそう。


②いえ、ヒロトさんと一緒に出張に行きたいです。⇐


「わかった。よろしくね」


私はこの後にユウタさんとホーエンツォレルン選帝侯に出張することになりました、

本当なら豪華金襴の陣に参加する予定でしたが、ユウタさんとの出張は楽しみです。

船で渡航してホーエンツォレルン選帝侯の領内に着きました。

しかし何やら街の様子がおかしい気がします、誰一人として街の中を歩いていなかったのです。


「お?ユウちゃんじゃん偶然だね。ホント”偶然”」


突然のGMさんの出会いにビックリしました。でも2回目なのでそこまでは驚きませんでしたが。


「ヨシちゃん視察に来たんだが、何だこの街の雰囲気は?なんかやるのか?」


「ああ、やるよ。いいタイミングで来たね。まぁ立ち話もなんだから宮廷にでも案内するよ」


そのままGMさんはホーエンツォレルンの宮廷に向かって歩いていきました、私達はそれに続きます。

暫く歩くと大量の市民が宮廷の周りに集まっていました、GMさんが通りかかると皆道を開けてお辞儀をしていました。

私達はその異様な光景に言いえない不安を覚えていました、いったい何が起きるのだろうと?

GMさんは何食わぬ顔で宮廷内に入っていきます、本来なら私達市民は立ち入る事すら許されぬ場所なのですが、誰も咎めようとはしませんでした。


宮廷内の一室に案内された私達はそこで腰を落ち着かせることにしました。


「それで、何しに来たの」

GMさんはお茶を飲みながら質問してきました。


「ああ、”コミンテルン”で弩級長弓バリスタボウの運用を考えててな、前ヨシちゃんが使ってたのを思い出して視察に来た」


「あ~あれね。あれはこの国の宝だからプレゼントはできないけど、見せることはできるよ付いてきて」


GMさんはその後宮廷内を歩き始めました、私達も後に続きます。

そして何やら重厚で重々しい扉の前に着くと、ギィィと音をたてて開け始めました。

中はかなり広い広間になっており、奥に15~20mくらいの巨大な弓と矢が飾ってありました。

しかし大広間で何やら議会中のようで50人程の人物が何やら討論をしていました。


「これは、GM様」


議論中に私達に気付いたのか、皆立ち上がって私達にお辞儀をしています。


「あ、ユウちゃん紹介するね。あの一番奥にいるのがカール5世でこの諸侯国の代表者、その隣に居るのがクレメンス7世教皇国の教皇様。後の皆はこの中央諸公国の諸侯達が殆どかな」


GMさんは適当な席に座ると、まぁ座ってよと着席を促しました。


「それで?あの弓矢の何が聞きたいの?何でも聞いてよ」


「いや、待て!この場に俺達は居ちゃダメだろ。日を改めてからでいいよ」


「ああ・・。まぁそうだねぇ。。まぁいいタイミングだしなぁちょっと待ってね」


「カール!ちょっと来い」


GMさんはカールと呼ぶとこの国皇帝である、カール5世がこちらに近づいて来ました。呼び捨ての上に呼び出すなんていったい何を考えているのか?処刑されても不思議でない態度に、私は恐怖を覚えていました。


「お呼びでございますか?」


「あぁ、チーム”コミンテルン”が視察に来たんだ。タイミングもいいし別に構わないだろ?」


カール5世は2度頷くと”構いません”と言い席に戻って行った。


「大丈夫だそうだぞ、ユウちゃん」


「おおう、そうか。。」


「まぁ、ゆっくりしていきなよ」


その後GMさんが巨大弓矢の話をしてくれましたが、正直言って何も耳に入って来ませんでした議会の事が気になってしょうがなかった。


「あの、この議会って何の話し合いなのでしょうか?あ、やっぱり聞いちゃまずいですよね」


GMさんはいいよ!と言って話してくれました。


「決起集会みたいなものかなぁ?国を立ち上げようっていう話し合いさ」


「ちょ、まじか・・」


私は頭の中で?って思ってました。国とはいったい?


「あの、国とはいったい何のことでしょうか?」


「ん?ああ、君はこの世界に来て間もないのかな?」


「えぇ。。まだレベル2になったばかりでして」


GMさんは、そっかーと言うと国というものを教えてくれました。


「国とは”異世界のゲート”を持つ国家の事を言うんだよ。だが、ゲートはGMである俺にしか作れない、まぁ俺は弱い勢力を国とは認めないがね」


「チッ、しかし笑えるな。こいつら正気か?雑魚の集まりのくせにTudor王国とValois王国に楯突たてつく(歯向かう)ってのか」


ユウタさんの発言が議会に響き渡り、皆一斉に沈黙してしまった。


「な?笑えるだろこいつら雑魚のくせに、この世界に立ち上がって歯向かう気なんだぜ」


二人はニヤニヤとしながら笑い合っていた。この二人は怖くないのだろうか?私が変なのかな。


「だが、ユウちゃん俺はこの時が来るのを5000年間待っていた」


その後に壇上で誰かが演説していた、哲学的な神に対する思いは神の恵みと信仰と心の平穏を得られるという宗教観っぽい感じの演説でした。


「お、ユウちゃんアレがマルティンだよ。なんかこう…感じるものは無い?こいつはすげええ!みたいななんかさ」


「いや・・?別に・・。ただの誇大妄想家っぽいとしか」


GMさんは笑いながら頭をいていた。

そして議会では討論が終わったのか、皆なにやら署名をしていた。

そしてカール5世が私達の所にやってきました。


「GM様。我々49の諸侯と教皇国は本日より共同統治し一つの国であることをここに宣言します」


「カール、いいのか?俺が許すともう後には引けないぞ」


「はい、皆覚悟のうえです」


「カールよ、お前たちはこの世界で最弱だ。俺はお前たちの戦いには参加しないぞ?もし国が滅亡したら、俺は”コミンテルン”に戻るからな」


「はい、承知しております」


「最後に聞かせてくれ、なぜ決起を起こそうとした?」


「はい、私はヘンリー8世が私の叔母であるキャサリン オブ アラゴンに対するぞんざいな扱いが許せませんでした。それを情勢が後押ししてくれました、その結果がこれでございます」


「そうか、では国名を言え」


「本日よりCommon-wealth神聖連邦と名乗ります」


「認めよう!Common-wealth。最弱の集団たちよ」


カール5世とその諸侯達そして教皇は皆外に出て国民に宣言するのであった。


「我々は本日よりCommon-wealth神聖連邦と名乗ることをここに宣言する!」


そしてGMさんがゲート生成、Common-wealth宮殿と唱えると暫くして渡航者(地球人)がやってきました。

この瞬間に新しい勢力が誕生したのでした


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