第58話 怖い話

 求められる意味で「怖い話」のはずです。



 小学校のころに学校の怪談の本や映画のブームがありました。友達と遊ぶときなんかにも、そういう本から披露したり、うろ覚えで妙な話になったり、自分たちも話をするわけです。


 ある日、小学生の私は四~五人で公園で遊んでいました。友達少ないのでほぼ同じメンツです。まだ明るかったのですが、17時で門限の厳しい子は帰ります。残った私ともう二人は、一人ずつ座ってあそぶ遊具を席にして、適当にしゃべって時間を潰しているうちに、百物語のように怖い話を一人ずつ話そうということになりました。


 よくある学校の怪談や七不思議、今で言う都市伝説的な存在、人をさらう外国のUFOアブダクション事件、昔話的なものなどいろいろ話しました。その場でオリジナルで作るというのはなかったと思います。それこそ、うろ覚えによる合体や間違いくらいだったはず。


 何巡目かで私はこんな話をしました。


* * *


 昔々、ある村に老婆が住んでいました。その老婆が亡くなってしまい、そこには老婆とかかわりのない男が後から住むようになりました。


 あるときその男は、夜になると隣の部屋からずるずると何かを舐める音が聞こえるようになりました。村人に相談した男は、近くにお寺があるので、ろうそくを舐める妖怪が現れたのだろうと言われました。

 追い払ってやろう、と男はある夜、寝たふりをして待っていました。すると、障子に何者かの影が浮かび、いつもの舐めたりすすったりする音が聞こえてきました。

 

 勇んで障子を開けた男が見たのは、人間の骨をしゃぶる老婆の死体の姿でした。男はその家から逃げ出して、二度と帰りませんでした。


* * *


 細かい点はだいぶ補っていますが、「その家に住む男が隣の戸をあけると老婆が人間の骨をしゃぶっていた」という話です。




 大人になって、インターネットでいろいろ見るようになって、都市伝説やオカルトなサイトも見るようになって、ビビリを軽減しようと某掲示板のオカルト板の怖い話まとめサイトを時々みるようにもなりました。だからいろんなタイプ・パターンに接してきているはずです。


 それなのに、いまだに元になるような話を見たことがありません。


 学校の怪談の本にこんな民話テイスト?なお話が載っているとは考えにくいです。当時の私の完全な創作(アドリブ)なんでしょうか。それとも。

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