閑話 小さな冒険⑤

「結構買ったわねー」


数店舗買い物して回ったキルエラ、ファム、リファ一行は休憩の為商店街の一角にある野外の簡易休憩場みたいな場所──ようは遊具がない公園──の椅子に座ってひと休みしている


とりあえず護衛だったキルエラだけは広場の壁に背を預けて立っている


その休憩場にて生鮮食品等をリファの魔法袋に詰め替え、残りはキルエラから借りた魔法袋に入れる作業をしている

その後は特に目的のものはない

なのでファムの提案で街中を案内すると言う風になった

リファもなるべく早めに帰りたい気持ちはあるが、街の中の見たことない物や珍しい物には興味を引かれてしまい、多少の滞在延長をしてしまう


「はい、パインのジュース」

「ありがとうございます」


ファムから露店で買ってきた果実ジュースを受け取ると喉が乾いていたのか美味しそうに飲むリファ


「キルエラさんは?」

「俺は大丈夫だ」


買い物途中から若干様子がおかしいキルエラだが、ファムは荷物持ちにさせられたから機嫌を損ねたのではと思っている

仏頂面やら鉄面皮やら言われ今も怒ってるのかどうなのかわからない表情だが、少しピリピリした感じはファムも感じていた

さらにリファ肩に乗っているルナも寝てたかと思えば急に顔を上げて周りを見たり、耳を仕切りに動かしたりしていたので、何かあるのかと少し緊張気味である

シアだけはリファの頭の上で変わらず寝ているのだが


しかしキルエラ以下、彼の街の守護隊が辺りに潜んで警護しているのは知っているので多少は心に余裕を持っていた

ファムのキルエラや守護隊に対する信頼度は高い

街中で何度もその実力を垣間見てきたし、普段は軽い感じだがやる時はやる彼らである

何よりキルエラ自身が並外れた強さの持ち主だ

ファムは今の所、キルエラが苦戦している所すら見たことはない


そんな守護隊がいれば不安はないとファムは思っている

今もそう自分に言い聞かせていた

しかし


「キルエラさ──」

「ファム、リファそこから動くなよ」

「え?」


沈黙していたキルエラに話しかけようとした所、力の篭った言葉をかえされ息を呑むファム

リファはルナをギュッと抱き寄せている


「隠れている奴、出てこい。攻撃を加えるぞ」


キルエラが背中から長弓を取り出し矢を番える

普段と違う硬質した声音のキルエラにファムもただ事じゃないと思い、リファの傍へ寄る

しかしそこへ現れた人物を見てファムは内心ホッと息を吐く


「貴族…様…?」


そう、キルエラ達の前に現れたのは二人のお供を連れた高級そうな服を着た腹の膨れた貴族だった

なぜここに貴族がいるのかわからないが、害はないだろうと安心し、側にいるリファを安心させようとしてファムは驚いた


何故ならリファがガタガタと震えていたからだ


「リファちゃん?大丈夫?」


ファムの声も聞こえないのか身を抱きすくめるようにして丸まるリファに驚きを隠せなかった

その時、入ってきた貴族が口を開いた


「久しぶりだな、リファ。俺を覚えているか?」

「え?」


名前を呼ばれたリファはビクリと身をすくませる

貴族の言葉に驚きファムはリファを見るがリファは変わらずに震えている

心なしか顔も青白くなってきている気がした


「それ以上近づくな」


怒気にも似たキルエラの言葉が、リファに近づこうとした貴族の足を止める


「サンバロ、だな?」

「──!?」

「貴様、サンバロ様に対してその口のーー」


キルエラの言葉にお供の二人が怒り出すが、サンバロがそれを手で制する


「知っているなら話が早い。リファを返してもらうぞ」

「断る」

「え?え?どういう事?」


キルエラとサンバロのやり取りにまったく訳がわからないファムは混乱する

ただ怯え、震えるリファを抱きしめる


「盗まれた商品・・を取り返しに来ただけだ」

「リファは商品ではない!!盗まれたとは貴様が被害者みたいな言い方だな。密輸奴隷は立派な犯罪だ」


密輸奴隷?ファムは頭の中でその言葉を反芻していた


「ふん、そんなことはわかっている。こちらからすれば被害者だ。密輸奴隷は犯罪?だからなんだ?」

「なんだと?」


開き直った発言のサンバロにキルエラは矢を番えたままサンバロを睨みつける


「先の失敗で俺は伯爵の地位を剥奪された。いまやスラム暮らしだ」


失敗とは、密輸奴隷の事だろう


「我が家系は地に落ち、俺も家族も鉱山送りだ」

「それでなぜお前がここにいる」

「逃げ出したからに決まっているだろう。そして行く宛もなかった俺はスラムに住み着いた。だがそこでの暮らしも最初は地獄だった」


貴族から一転スラム暮らし、百八十度生活が変わった


「だが俺は諦めなかった。もう一度絶対這い上がり復讐してやると」


朗々と話すサンバロに対してお供の二人は鞘に収めた剣の柄に手を添えており、いつ戦闘になってもいいように構えている


「そこからスラムで裏の仕事を始めた。スラムはそういう仕事が山ほどあるから助かったぞ。そして仕事をこなすにつれて手下も増えていった」


商才と言う意味ではサンバロは才能があったのかもしれない

もっともそれを真っ当な方向に使わずに間違った方向に使ってるあたりは救えないが…


「俺を貶めた奴に復讐するまであとすこし、と言うところで街でリファを見つけたわけだ」


自分の名が呼ばれたリファはビクッと怯えたように身をすくめファムにしがみつく


「くっくっく…この時思った。俺に運が向いてきたと。リファを再び取り戻し、奴隷商を再開させる。リファは目玉商品だ」


そう言い、指をパチンと鳴らすと広場にむさ苦しい男達がわらわらと入ってきた


「守護隊とやらは来ないぜ、今頃は港で起こった暴動の鎮圧の真っ最中だろうよ」


表情から察したサンバロはファムに向けてニヤリと貴族らしからぬ笑みを向ける


「さて、隊長さんよ。今なら見逃してやるぜ。もちろん後ろの二人は置いていってもらうけどな」


サンバロの言葉に後ろの男達もゲスな笑みを浮かべる

ファムは自分も含まれてる事に恐怖を覚えたが、リファを守らなければと気丈にしている


「断る」

「ちっ相変わらず表情の変わらねぇ野郎だ。お前ら、行け」


サンバロの言葉で男達が動き出す


龍雨ドラゴンレイン


動き出したと同時にキルエラは番えていた矢を上空に向けて放った

放った瞬間に矢は空に吸い込まれ、空で弾けると雹の如く矢雨が大量に降り注いだ

それは通常の矢ではなく、魔力で練り上げた矢だ


「甘いぜ、クリスタルコート」

「ーー!?」


敵も馬鹿ではないのか中に魔術師がいたようで、キルエラの龍雨は頭上に展開された魔術の壁に阻まれた


「守護隊隊長キルエラ、あんたの事は少し調べさせてもらった。弓に特化したハイエルフ…弓が使えなきゃ広範囲は攻撃できねぇ。数で押せ。残りはリファ達を捕らえろ」

「くっ…」


珍しくキルエラが表情を歪める


「ひっ!」


サンバロの言葉で数人の男達がファム達の方へ向かい、ファムは思わずリファをギュッと抱きしめる

が、しかしファムは何か違和感を感じた

先程まで震えていたリファの震えが止まっていたのだ

思わず視線をリファに移したファムは驚きに目を見開いた


「リ、リファちゃん」

「……」


リファはファムに呼ばれたのも気づかないようで、ゆっくりとその体を起こし立ち上がった

異質な雰囲気にリファ達に向かっていた男達も思わず立ち止まる


それは神々しかった

元は漆黒の黒髪だった髪色は白に近い白銀色になっており、その目もまた変化しており、左目は変わらず黒に対し右目が白銀色に染まっている

いわゆるオッドアイというやつだ


頭に生えていた耳も尻尾も白銀色に変化していて、白銀色の尻尾は二本・・ゆらゆらと揺れている

体つきも幼女の幼い体型から二十代前半の大人びた体型になっているのだが、問題はリファの表情がない事だ

無感情なその表情はいつものリファではない事が往々にして見て取れる


「おぉ!!!あれこそまぎれもなく希少種白銀狼と空狐の特長だ!素晴らしい」


そんなリファの姿を見てサンバロは興奮気味にまくし立て、男達に早く捕まえろと急かす

男達はリファの姿に見とれていたのかハッと我に返るとリファ達に近づく


「だ、ダメ…リファちゃん」


ファムはリファを庇うように立ちはだかる

しかしファムに戦うすべはなく、近づく男達はニヤニヤと汚い笑みを浮かべる


そして立ち上がったリファだが特に何をするでもなく、無感情な表情で相手を見据えるだけだった

その時、どこに隠れていたのか猫化していたルナがリファの右肩に飛び乗り、「にゃあ」とひと鳴きした

するとリファの右腕が不意に前に突き出された


「え?」


いきなりの行動にファムは驚き、男達も思わず動きを止めた

そしてその広げられた手のひらに魔術で集められた白い塊が凝縮していく


「──!?」


周囲の魔力が吸い寄せられるように一気にリファに集まるのを肌で感じ取ったキルエラはそれが放たれる瞬間、大きく飛び退る


「………」


小さすぎて聞き取れなかったリファの言葉だが、魔術の発動に声の大小は関係ない

リファの右手から放たれたそれ・・は近づいていた男達はもちろんキルエラに集まっていた男達をも巻き込んだ


─ドンっ─


「ぎゃあ」

「うわっ!」

「いてぇぇ!!」


男達の症状は様々だ

あるものは肌を斬られ

あるものは足が爆発し

あるものは燃えている

あるものは氷漬けになっていた


「な、なんだこれは……」


男達を盾にして無傷だったサンバロは嵐が収まった現状を見てそう呟いた

しかし答えられるものはこの場にはいなかった


ファムはもちろん、キルエラもこのリファの魔術は見たことがなかったからだ

唯一平然としているのはルナで彼女はリファの肩の上で欠伸をしていた


そして魔術を放ったリファに二度にたび変化が起きた

白銀色だった髪色はいつもの漆黒の髪に戻り、大人びた体型にも普段の幼女姿に戻る

尻尾も一本に戻っていて、すべての白銀色に変わっていた物は元の漆黒の黒色へと戻った

そしてそれが終わると糸が切れたあやつり人形のようにフラリと後ろに倒れ込む


「リファちゃん」

「おっと」


ファムが伸ばした手が空を切ったがリファは背後に現れた何者かに抱きとめられた


「え?」


ファムはリファを抱きとめた人物を見て声をあげた

リファの肩に乗っていたルナはリファを抱きとめた人物の肩に飛び乗るとひと鳴きし、前足で顔をペチペチ叩く


「遅れて悪かったよ。これでもギリギリだったんだぞ」


肩に乗り抗議の声をあげたルナに諭すように言う

その人物は真っ白なローブを身に纏い、同じように髪も真っ白で肩先まで伸びている

先程のリファの色に似ているが、彼女は白銀色でこっちは真っ白である

キルエラは彼を見て目を見開くがすぐに表情を改めて一言

ただし、口元は口角がわずかに上がっていた


「遅いぞリロイ」

「んなこと言ったってリファに見つかるわけにはいかないだろ。これでも急いで来たんだぞ。と言うか今はルシアだ」


リファは完全に気を失ったようでグッタリとしているが、規則正しい寝息が聞こえてきたのでルシアはホッとする


「よく頑張ったな」


ルシアは綺麗な黒髪を優しく撫でるとリファは寝ているはずなのだが、安心したのかむにゃむにゃと嬉しそうに笑みを浮かべ無意識の内にルシアのローブをギュッと掴む


「ファム」

「は、はい!」


唐突に名前を呼ばれたファムは飛び上がるように返事をする

彼女は何が起こったのか把握しきれずに戸惑っていた


「詳しい話は後でする。リファを任せていいか?」

「あ、は、はい。大丈夫です」

「頼むな」


ローブを掴んで話さないリファの手をゆっくり広げてファムに大事そうに預けると、肩にルナを乗せたまま立ち上がり、辺りを見回す


「貴様…リロイと言ったか?」


するとサンバロがルシアを見つめていた

その眼差しには狂気の光、歓喜とも畏怖ともとれる光をたたえていた

ルシアは若干うんざりした表情をしながら問に答えた


「聞き間違いじゃないのか?俺の名前はルシアだ」

「その白いローブはともかく、その白い髪は白死神以外にいない。この世界には白い髪はいないのだ」

「おっさんボケてるのか?その白死神が生きてたのははるか昔だろう?あれからどのくらい経ってると思ってるんだ」

「白死神は不死だと噂で聞いたことがある」

「噂だろ?誰が確認した?俺はただ真似てるだけで髪も染色してるだけだ」

「白死神を真似るなぞ自殺行為にも等しい事だれもやらん。…まぁそんな事はどうでもいい。貴様が本物だろうと偽物だろうと、私の邪魔をするならそこのハイエルフと一緒に消すだけだ」


再びサンバロが指を鳴らすと倒れていた男達がのろのろと起き上がり出した


「痛みを感じなくする禁術をかけてるのか?それに結構人数が多いじゃないか」


取り囲む男達を見、ルシアはニヤリと不敵に笑う

キルエラにも同等の人数程の男達が取り囲んでいる


「助け、いるか?」

「貴様の助けなぞいらん」

「はっ、そうだろうよ。だけど接近戦はちと厄介だろう?」

「そんなことはない」

「と、言う訳で助っ人を呼んである」

「リロイ、私の話を聞いていたのか?」


キルエラがジト目でルシアを睨めつける

ルシアは我関せずでキルエラを無視すると広場の入口を見て「きたな」と呟いた

その時、広場の塞がれていた入口が攻城兵器の一撃を受けたかのように凄まじい音を立てて吹っ飛んだ

ついでに入口に構えていたサンバロの部下達も数人まとめて吹っ飛ぶ


「助っ人の登場だ」


土煙を裂いて現れたのは強大な戦斧を軽々担いだヒゲモジャのドワーフだった


「ジンバック」

「こらぁリロイ!久々に手紙をよこしたと思ったらなんじゃこれは?」


空いた手にはルシアが書いたであろう地図が握られていて紙の下の方には「リファが危ない」とだけ


「わかり易かっただろ?」

「分かりにくいわ!」


クシャっと丸めて投げ捨てたジンバックだが、ギラリと目に怒りを込めて広場の中を見る


「それで貴様らがリファに害をもたらす害虫か」

「なんだジジイ。貴様には関係ない」

「ジジイにジジイと言われたくはないわい。それに関係なくはない。リファはわしの孫じゃからな。孫を守るのは当然じゃ。む、ファムも無事か?」


ジンバックの登場でファムは多少恐怖が和らいだのか顔に血の気が戻っていて、彼の言葉にゆっくり頷く


「では害虫退治と行こうかの」

「抜かせ!リファは渡さんぞ」

「ん?では聞くが貴様はリファのなんじゃ?」

「主人だ」

「ほぅ…?」


サンバロの言葉にジンバックは毛むくじゃらの顔がもぞもぞと動く

おそらく目を細めたのだろう


「ジンバック、そいつは元貴族だ。レイラから聞いているだろ?奴隷を密輸していた奴だ」


ルシアからの言葉でジンバックの目に殺気が宿る


「では貴様がリファをあんな風にしたのか?」

「飼い主が奴隷をどう扱おうと勝手だろう」

「貴様のような輩がいるからリファのような子達がなくならんのじゃ!」

「なんとでも言え!お前ら、このジジイも殺せ!」

「やってみるがいい!」


ジンバックにも相当数の荒くれた男達が向かう

せっかくキルエラの援護に呼んだのに分断されたままだと意味が無いと思ったルシアは派手にこちらに気を引く事にする


「じゃあこっちもそろそろ始めるか」


ルシアの周りの空間が揺らぐと間を置かずにそこから四つの何かが静かに具現化した

それはそれぞれ赤、緑、青、茶色と色がわかれていた

派手な音はない、しかし圧倒的な存在の塊が周りの視線を独占した

そして、あまりの静かな登場にサンバロ達はポカンとした表情を浮かべている


それを破ったのは具現化した赤だった


「おお!久しぶりのシャバの空気だ。わはは、よく燃えるぞ」

「あまり興奮しないてくれるかな。周りに火の粉が散るから」

「うふふ、でもこっちの空気はほんと美味しいわねぇ」

「あわわわわ、敵さんが沢山います。敵陣のど真ん中ですぅ」


上から順に火の精霊、風の精霊、水の精霊、土の精霊だ

赤を身にまとった火の精霊だがその肌は爬虫類特有の鱗が目立つ

顔はどちらかと言えば人間寄りだ

髪はくすんだ感じの赤で短髪が逆だっていてどこかの戦闘民族を思わせた

服装はやはり落ち着いた色の赤で革製品のように見えなくもない

全身が赤なのでやはり目立つ


そしてこちらは深緑色がメインの風の精霊だ

少年から青年の間のような将来はモテそうな顔立ちをしている

肩より少し長い緑の髪が風が吹いていないのに靡いている

恐らく彼を纏う結界が風を生み出しているのだろうが、周りには及んでいない

赤の精霊と同じく緑色メインの服装はどちらかと言えば風になびきやすいヒラヒラした服装だ

踊り子の服装にも見えなくもないが、肌の露出はほとんどない

イケメンはイケメンな顔なのだが、いかんせん身長が低めなのが残念である


その隣の吸い込まれそうな青を身にまとっているのはプロポーション抜群の妙齢の女性だった

身長もそれなりに高く、十分モデルでも通用するだろう

腰まで届きそうなまっすぐなスカイブルーの髪はしっとりツヤツヤだ

風の精霊とは違い肌の露出が多めな衣装は逆に目のやり場に困る

その表情は嬉しそうな顔で召喚主のルシアに向けて手を振っている


最後の土の精霊も女性だが、水の精霊とは違い服装も落ち着いた露出が少ない服装である

肩口で綺麗に切りそろえられた茶色の髪に若干タレ目気味な目は周りの男達を見て動揺しているようだった

身長は平均的だが、若干臆病な感じが先程の動揺ぶりからも見て取れた

しかしそこは精霊、震えて戦力にならないなどと言うことはない



その姿に驚愕したのはサンバロとその部下達だった


「せ、精霊を四体同時召喚だと…?」

「相変わらずはちゃめちゃすぎるのぅ」

「リロイが非常識なのは今に始まった事ではない」


サンバロ達はルシアの召喚した精霊に気を取られている

ジンバックは呆れた表情を作りながらも、キルエラの側へそろそろと移動を始める

キルエラはキルエラで不機嫌そうにルシアを見ているが、手早く長弓を仕舞うと魔法袋から取り回しの良く連射の利く短弓を取り出す

すると火の精霊がルシアに向かって口を開いた


「久しいのぅリロイ。たまには呼ばんか!あっちは退屈で仕方ない」

「今呼んだだろ」


それを皮切りに他の精霊達も喋り出す


「それにしても久しぶりに僕等四人を呼んだから何事かと思えば…」

「ちょっと過剰過ぎる戦力じゃないかしら?気持ちは察するけれどね」

「あ、懐かしい顔がいくつかいます。ジンバックさんにキルエラさん…あ、ルナもいますよー」


場違いな和やかな雰囲気になってしまっているが、サンバロは流石と言うか我に返るのが早かった


「ええい!虚仮威しだ!お前ら行け!」

「虚仮威しかどうか試してみな!お前ら頼むぞ」

「我ら四人にあの変人コンビでは些か過剰戦力なきもするが…」

「うふふ、主様の逆鱗に触れたのよ。仕方ないわ」

「普段はめったにキレないくせに大事なものに危害が向くとなりふり構わないんだから…」

「そ、それだけ大事にされてるって事ですよね」


四精霊は口々に喋り出す

ちょっとした同窓会のノリだった


「うるせーな。んじゃシルフとウンディーネはリファとファムの守りだ。サラマンダーとノームは変人コンビと協力して奴らを倒せ」

「任せてよ」

「うふふ了解、近づけないように結界張っちゃいましょ」

「任せておけ」

「ふぇぇ。私は守りじゃないんですかぁ?」

「「誰が変人コンビだ(じゃ)!」」





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