ここにある未来
山川一
1. そこにある闇の扉
僕が見ている世界は本当のものなのだろうか。、、、うっ、、、頭が痛い、、、。
さっき、とても可愛い女の子に会った気がする。しかも色々な女の子が、かわるがわる目の前に現れては僕に声をかけていった。そこでは僕はみんなから慕われていてどんな絶世の美女も僕に惚れるのだ。どんな若い女の子も僕に惚れる。しかし、ふと目を覚ますとそんな娘はどこにもない。起きているのに、まるで夢の中のようで。キモチイイゆりカゴの中に住んでいるようで。
仕事の合間にも夢を見る。毎日変わることのない日々と退屈な業務に挟まれて、僕が逃げ込んだ先はやはり夢の中で。そこではまたかわいい女の子が僕に声をかけてくれて、また新たな可愛らしい一面をみせる。それを傍観しながら僕はまた満たされた気分になって静かに目を閉じる。
混雑した街の雑踏の中で、すれ違う人々とすれ違う少女達は、まるでマジックミラーの向こう側のように別世界で僕と彼女たちは一緒にいるのに、全く出会っていない。
仕事に出れば、毎日代わり映えのしない顔ぶれで、既婚者は既婚のまま、未婚者は未婚のまま。変わらない毎日を過ごしている。苦痛の満員電車にも慣れ、仕事の怒号にも慣れた。僕は未婚のままで。
だから僕はまた夢をみる。そこでは現実にすら出会ったことのないような少女が僕を慕っていて、何度も声をかける。僕はただそれに応じるだけで、気持ちよくなり、心は満たされる。目が覚めると彼女はいない。スマホやフィギュアやポスターに、彼女が存在することを示す写真や絵が幾つも残っているが、実際に存在した姿をみたことはない。
同士の技術者は、彼女達を現実に召喚することに躍起になっているが、詰まるところ彼女たちがクローン人間となり、孕むようになることが我らの理想だと思っているのだ。果たしてそれが我らの理想なのだろうか。
そしてまた僕は夢をみる。そこでは、この世のものとは思えない可愛い可愛い女の子が、まさに僕のタイプピッタリの女の子が僕に声をかけて懐いて慕って。そして僕は白い液体を吐き出し、現実に戻る。そんな女どころか、普通の女でさえ僕の生活に登場しやしない。
普通?
普通の女の子ってどんな女の子だったっけ?
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