空に

誰もいない方へ手を伸ばす

空に

海に

山に

風に

星に

誰もいないと知っているから


ふと思い立って

人のいる方へ手を伸ばした


背を向ける彼女に

綺麗な人に夢中な彼に

画面を眺めるあの子に

足を鳴らし歩く少年達に


絶対に気づかれない方だから

安心して手を伸ばした


なのに


どうして

この手に触れた


触れたその手に


急に

こわくなった


温かい柔らかさに

泣いた

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