第67話 悪魔王セイカリテル

「このセイカリテルの支配によって、

この世は暗雲に包まれ、確実なものが残る。

文士による文士の自由である!

人間がいままで人智及ばなかった脅威を、

描き切ることによって、文士は自らの安堵を得る

これからは何人も文明に傷つけられ蝕まれることは無い!」


「はっありがたきしあわせに存じ上げます」


今や、文士の働きは悪魔にとってなくてはならないものになり、

魔族のその記録や、武功の全てを記録する為に文士は働くこととなった。

そして企てごとのいくらかも文士たちが考えるという具合になれば、

人であって、悪魔に魅入られしもののやることは非道のものである。


「わるくなるわね」「そうだねクラリイナ」

「わたしたちも働かされるのかしら?」「どうだろうねぇでも」

「アンジュリィ」「おれがさせないさ、そんなことはね」


ヘビュート各地に召喚された文士の数は3000を越え、

彼らがさらに文士を呼び、ユジリア同盟に匹敵する文士の数を、

揃えるまでになった。 悪魔と癒着した彼らを悪文士と後の歴史は、

語るだろうか? それもすべて、ヘビュートがいかなふるまいをするかによるもの。


「悪魔王セイカリテル万歳!」「悪魔王セイカリテル万歳!「悪魔王セイカリテル万歳!」 悪魔たちの声は響きわたり、いっぱしの悪魔であったセイカリテルは遂に自ら悪魔王の座にまでたどり着いたとあっては、この武功に酔いしれるばかりである。

「人間どもの居城は揃いも揃って小さいものばかりだな! 余にとってふさわしい城を建てることにしよう、なあ、文士どの」

「はっそのように、魔法使いどもの国に勝るとも劣らぬ悪魔王城を建てましょうぞ」

「皆の衆!! セイカリテルは王城を求める、ここに王城を建立するのだ!!!」

「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」


セイカリテルの声に呼応して、巨人や亜人、鳥人など、それぞれの魔族が動きだし、

魔族の職工とともに、建設を始めた、ひとつひとつ、石積みをして、魔力を込めて、

国を興すのだ、悪魔王の為にと一丸となって働き始めた。

 報酬はなんであろう、この世界そのものであった、故に、人間すべてを我らの奴隷と変えるその日の為に悪魔という悪魔、魔族という魔族は協力し合って確かに建設を進めていった。 悪魔王城が立つまで、人の力ならば、その時間と歳月は何百ともしれずのものだが、わずか一月の間に悪魔王城は建設された。これも、建設に従事した魔族の中でも魔物として低く扱われた、巨大蟻の働きがあっての事であり、巨大蟻の行列が組み立てたこの城の堅牢さはいかなものにも匹敵すると、

「見事なものですな、魔族の方々の働きというものは」

「文士どのの記録をみて改めて我らは自らに眠る力というものにきづかされました」

「いやいやその優れた社会性というもの、人類もまた見習わなければなりますまい」


「セイカリテル様万歳!我らの王城!セイカリテル城万歳!我が国よ永遠に!!!」

「永遠を誓おうぞ!魔族のそれは永遠不滅の命そのものであるゆえに、永遠を誓おう!あらゆる民族が人が魔王の元に統合される未来に、その未来は近いのだ!!!」

「ワーーーーーーーーーーーーセイカリテル王ばんざぁーーーーーーーーーーい!」


いともたやすく、築き上げ、これを自らの城として扱う技量、何もかも、人よりも勝っている種族としての血もあってのことか、これは扱いやすい、人ならば疑いを持つところを、ただチカラにのみ従順に従う、魔族の血筋というものがよくわかる所だ。

 ユジリアの驕りもそしてその同盟も今日この時をして、脆くも崩れ去ることだろう、悪竜のチカラを借りずとも、彼らを倒すことは簡単に叶うことだろう。

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