第12話 成長中

剣豪、魔法使い、僧侶、盗賊、文士見習い!

タメク!イセイ!シングレ!ダノマ!アヤト!

「やったぜ! これで食うには困らないな!」

「これだけの褒賞です、銀行を使わないと!」

「神の恵みですね、余ったら寄進します!」

「まさか、悪竜を退治できるなんてな!!」

「でしょ?やってみたらできるもんなのよ!」

ギルドで報奨金の大きなクエストを果たすほど、

人からの名声も知名度もうなぎ登りというもの、

今や人気の五人組み!

「すごいわ!」「よくやってくれた!」

「おお神よ!彼らに祝福を!!」

といって皆から皆称賛を受けても、

称賛疲れをおこすもの、

「そろそろ違う場所にうつる時かもな」

「ええ、名が知れたら居づらいですもんね」

「何かを為すに見返りは求めぬものです」

「どういう意味?」

「旅に出るの?やったーーー!!」

文士見習いにとって旅で研鑚を深めるのは、

とっても大事なことだから、

今すぐにでも旅立てるのはラッキー!

「というより実力もアンタ頼みだからな」

「そうです、今回勝てたのもアヤトさんの」

「ええ、偶然は神の恵みとしても働きあってこそ」

「行先は好きに決めてくれよ、馬車飛ばしてもらおうぜ」

「んーそうねクシ王国から、テヌ王国へ!!」

剣豪だんまり、

「テヌ王国へ!!」

魔法使いうつむき、

「テヌ王国、にしようとおもうんだけど」

僧侶とまどい、

「ねえテヌ王国で良いわよね?」

盗賊あきれ顏、

「あっこはクシ王国の敵国だよ、歩きになるぜ?」

「へーそうなんだー!!」

「アヤトさんよう、考えてるかいちゃんと?」

「考えなしだな、でもそれがこうをそうした」

「言われてみればそうですねわたし達は冒険者」

「どこで上げた手柄も神様は見ていてくれます」

「まじかよ、ま、久々にいい運動になるかな!」

かくてテヌ王国への冒険がはじまったわけである。

剣豪、魔法使い、僧侶、盗賊、文士見習い!

タメク!イセイ!シングレ!ダノマ!アヤト!

五人の旅はいかなものであろうか?

道中、敵に遭遇した、その名もバジリスク、

なんかこわいトカゲのような生き物であったが、

伝説の槍と魔法トフトフの力で倒した。

更なる敵は、アンディアフアフ、

鎧を何重にも身にまとった転がるボールマン、

怖ろしいけれど壁にぶつかると止まったので、

隙をついて伝説の槍で突いて倒した。

「なんでこんなに敵がいるんだろうな?」

「名声が上がったからじゃないですかね?」

「名が通れば敵も出るとは、とほほです」

「さてどんどん進もうぜ、な?」

「ふーつかれたぁ」

五人の眼前に迫る敵の影幾百かわからず、

その敵を掻い潜って突っ走る旅時に、

なにもかもが敵に見えてくる、

これが敵国と呼ばれるゆえんか。

「テヌは化け物が野放しなのか、まったく」

「強い魔物が大量にいるとは、どうしたのでしょう?」

「神よ我らを護りたまえ」祝福の呪文が包む、

「剣豪さんの仕事が増えるねえ、こりゃあ」

「みんなみんながんばってよ!敵を記録するからぁ!」

ハベンの首、ラガナッチャの首、ヘンダリンの首、

ホジィエルベの首、スムニブニアの首、

ガントリアルベの首、と首取った魔物の数を数えるのも、

なかなかに大変であり、持ち運ぶことも難しい。

「せっかく、敵を倒しても、これじゃ手柄にならないぜ」

「クエスト発注を諦める気持ちが分かってきましたよ」

「おお、神のおわせぬ大地なのでしょうか?」

「なんか、いい手立てはないのか?」

「大丈夫よ! 見て!!」

カタマリンがざぶんと現れて、周りの敵だった死骸を、

ごろごろとかき集めて力を溜めはじめた。

「ぜんぜん大丈夫じゃないじゃないか!」

「違うのよ!町が近くなってきたでしょ!?」

「ということはどういうことです?」

カタマリンがこちらに迫ってくる。

「死者を冒涜するような魔物ですね!!」

「まてよ、ということは!!??」

「町まで走るのよ!! 走ってついたら倒すの!!」

「うおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

カタマリンが転がるたびにまわりの化け物が、

ついでに押しつぶされて引っ付いてこちらに迫る。

巨大になった敵だったもののボールが街に迫る。

「いまよ!伝説の槍!」

「あっはっはっは!!くらえよ!!!!」

伝説の槍を投げると爆発四散するカタマリン!!

「これ全部をクエスト発注人に見て貰いましょう」

「面倒だろうな、千体を越える敵の遺骸だぜ」

「戦場では日常茶飯事とはいえ」

「神の家に命を返したのですからね」

「まあよしとしようぜ、面倒が省けたってところさ」

街のギルドでは化け物の名前つきで、

こいつを倒せ、あいつの首をあげろと、

大量の依頼が想像通りあった。

「これとこれを検証して見なよ、

 ひょっとしたらアンタらの憎い敵の

 首があるかもしれねえぜ」

運よく化け物を倒したわたし達は、

無事に敵国テヌ国についたのでした。

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