ある文章

@rh45sc

傷と痛み

傷と痛みを受けることを恐れるあなたへ。

同時に傷と痛みを与えるのを恐れるあなたへ。

僕は君を知っている。


誰かを傷つけるかもしれないと、わかって欲しいの一言を言い出せずにいる君を。

モニター越しの匿名の陰ですら、自分の意見を伝えられない君を。

僕は知っている。


周囲の正しさと自分の正しさの間で苦しんでいる君を知っている。

本心を押し殺してなんとか世の中を渡ろうとしている君を知っている。


何故ならば僕も同じだからだ。

そして過去に君や僕と同じ苦しみを持った人がいたからだ。


身の周りに、自分の事を理解してくれそうな人はいない。

孤独を押し殺して、自分の心を秘めて、生まれてくる傷や痛みを抱えている。


鈍感さを望んだこともあるだろう。それでも君はそれを得ることはなかった。

きっと、それを手に入れてしまったら大切なものを失うと知っているんだろう。


けれど、鈍感さの代償のそれは、生存していくのに邪魔になる時がある。

周囲の正しさでそれを塗りつぶそうとしても、どうしてもできなかった。


それは生まれつきなのかも知れない、人生の中で培ってきたものかもしれない。

いずれにせよあなたの心の大きな部分を占めているのがそれだ。


それを抱えた僕らは正しくないのかも知れない。間違っているのかもしれない。

それでもこれを読んでいる君は生きている。それに勝る価値はないと信じたい。


僕は君の人生に何かが出来るわけじゃない。

ただ、君の苦しみは知っていると書き殴る事くらいしか出来ない。


この詩にも満たない文章は、僕と君への祈りだ。

「君は一人じゃない」の一言のための。

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