178 ウィズダムグリントからの依頼
即売会は盛況のようでみなさん刀を手に入れたようだ。中には素材を持ち込むから、刀を打ってくれと頼んでいるプレイヤーもいた。
今後もここに来て烏天狗に言えば売ってくれるということになったので、今後プレイヤーは酒を探すことだろう。
珍しい素材も買い取るそうなので、更に高性能な刀ができるかもしれないな。
ユウは刀術スキルが欲しくなり、烏天狗に試合を申し込んだがあえなく惨敗。当分ここに通うそうだ。
リンネのほうは、僧正坊様自ら謝罪されたので許したみたいだ。あんなことがあったのでテイムする気はなくなったみたいだ。代わりに僧正坊様から、隠れ蓑という装備を貰っていた。羨ましい。
「あの者はラッシュラビット族だな。懐かしいな」
リンネと一緒にいるムウちゃんを見て僧正坊様が言った。
「僧正坊様はラッシュラビット族をご存知で?」
「うむ。以前に白と黒のラッシュラビットが来てな、手合わせをしたことがある。
あの白黒コンビはこんな所にまで来てたのか……。
「残念ですが、その方たちは既に亡くなっております」
「そうか、既に鬼籍に入られたか……」
「ですが、意志を継ぐ者はまだ存命ですし、その子孫も意志を継ぐ者です」
「そうか、世代は変わっても意志を継ぐ者がいることは重畳。おうて見たいものだな」
「今は修行の旅に出てるので、戻りましたらお連れしますよ」
「それは楽しみだ! ワッハッハッハッ!」
宴も終わり、また来ることを約束して帰途につくことに。セイさんたちの精算は後日おこなうことにして降魔神殿に戻った。
法起坊ことほーちゃんをみんなに紹介すると、たちまちメイド隊にモフられている。
何故か、にゃんこ共がその中に割り込んでいってるが嫉妬だろうか? いつもはあんなに嫌がっているのに振り向いてもらえないと、それはそれで嫌らしい。現金な奴らだな。
ニーニャは流石に疲れたのかレイアの腕の中でお休み中だ。
「今日はすまなかったな」
「いえ、私も十分楽しんでました。私たちが知らない種族も多いのですね」
「そうだな、力を貸してくれる種族なら大歓迎だけどな」
「そうではない種族も多いのでしょうか?」
「なんとも言えない。前の魔王討伐の時に手を貸してくれた種族が全て、善良な種族というわけではないからな。その時の状況で魔王ではなく、勇者についた種族もいるだろ。その種族が今回どちらにもつくかは見当もつかない」
「厳しい戦いになるのですね」
「人族が魔王と手を結ぶ時代だからな。誰が敵で、誰が味方か……難しいな」
魔王の数が多すぎるうえ、魔王に対抗する勢力が見当たらない。聖竜王や海竜王はどうなってるんだろう? 海竜王は近々目覚めるらしいが、聖竜王は何をしてるんだ? あんたのお膝元での出来事だぞ。竜人国の動きも見えない。この大陸で一番の戦力と言っても過言ではないはず。魔王に対抗して欲しいものだ。
他にもエルフ族にドワーフ族とも話をしたい。ドワーフ族にはオメガが接近してるが、エルフ族は全く伝がないのでお手上げ状態だ。トレント族などと話がつけば、橋渡ししてくれるかもな。妖精族のカルラさんとコボルト族のポチさんにも期待だ。
夕食時にファル師匠に鎮守の森の話をしたら、僧正坊様に是非お会いしたいと言っていた。白黒の先代の拳聖が手合わせしたということで、ファル師匠も手合わせしたいそうだ。二人が手合わせしたらどうなるのか見てみたいな。
露天風呂に入るとほーちゃんはえらく気に入ったようで、長湯してひっくり返っていた。烏の行水って言葉があるが当てにできんな。
今日の迷宮にはほーちゃんも連れて行った。ほーちゃんのレベル上げだ。是非とも戦力になってもらいたい。特殊なスキルなどもっていそうだからな。
ほーちゃんをパーティーに入れず、俺とエターナは投擲でアンデットのHPを削り、止めにほーちゃんの魔法(火)、MPが無くなると武器に光属性を付与して突撃を繰り返えさせる。
帰る頃には、ほーちゃん涙目だったね。
「主は鬼ですぅ……」
エターナがほーちゃんの頭をなでなでしている。エターナよ、甘やかしは良くないぞ。
さあ、さっさと帰って寝るぞ。
翌朝の朝練終了後に、セイさんとニンエイさんが昨日の精算をしてくれた。
「うちからは火のオーブと魔法石二十個、カイエンから水のオーブを預かっている」
「毎度あり~。カイエンさんのほうは多いと思いますが?」
「次の分の先払いだそうだ」
「成程、了解です」
水のオーブで先払いなら大歓迎だ。
「それから、ウィズダムグリントの拠点を移すことにした」
「王都の拠点が支部となるので間違えないでくれたまえ」
「金持ってますねぇ。流石、クランナンバーワン。それで何処に本拠地を置くんですか?」
「お前が言うかそれを……。北の街道都市の近くに、とある曰く付きの古城があってなそこを買おうと思う」
「曰く付きって何ですか……嫌な予感がヒシヒシとしますが」
「手伝え」
「ヤダ」
なんで俺が手伝わないといかん。面倒極まりない。
「まだオーブは幾つかあるんだが、欲しくはないのか?」
「ニンエイさん! 謹んで拝命致します。なんなりとご命令を!」
「はやっ! お前、俺とニンエイじゃ態度違い過ぎないか?」
「力ある者に従うは必然! ご命令を! イエス、マム!」
「……」
「うむ。それでは貴様に任務を与えてやる。ありがたく思え! 古城の秘密を暴きその要因を排除しろ。以上だ」
「マム、イエス、マム!」
一字が漢字……もとい、万事お任せあれ! 幽霊如きちょちょいのちょいのだ。聖なるオーブ持ってこー!
「お前ら楽しいか……」
「姐さん。ノリが悪い奴がいますぜ」
「気にするな。セイは昔から面白みに欠ける男だからな」
「俺、泣くぞ……」
さあ、古城の幽霊退治に出発だ!
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