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第3部 第22話「設問」

「私はランディ・アルフィセン。この家の当主であり、ブラクタス・アルフィセンの妻よ。」

 衝撃の展開にも関わらず、驚く様子を見せない勇一達。

 それもその筈、勇一達はここまでの戦闘にかなりの体力を要し、既に疲弊しきっている。

 夢の現実化に、仲間サイドだと思っていた早咲の眷属が敵サイドだったというこの怒涛の展開の連続に、誰が疲れずに済むというのだろうか。

「あら、既に驚く余力さえ残ってないようね。まぁいいわ、このままひねり潰してあげましょう。」

 ランディは嘲るようにそう吐き捨てた。

 ――瞬間、彼女は勇一に人間には到底できない速さで近付き、己の拳に握った槍で突きかかった。

「加賀谷くん!」

 響く希里花の叫び。

 本能的に勇一はランディの槍を剣で、ギリギリの所でなんとか防ぎ、そのまま弾き返した。

「まだそんな力が残っていたの。なかなか骨があるじゃない。」

 そう言ってランディは勇一の瞳を見ると、何かを察したかのように怪しげな微笑みを浮かべ、ゆっくりと後ろへと下がり、余裕を見せながら背後にあった椅子に腰を預ける。

「なるほど、あなたはなにか、私について聞きたいことがあるようね。……いいわ、言ってみなさい。」

 突然の予想外の問いに焦りながらも、明確な警戒心を顕わにした表情を浮かべる勇一。

「どうしたの?あたしは攻撃しないから、早く言ってみなさい。」

 続いて放たれる一言に、雄一は顔を伺うと、相手に敵意は見えるものの、どこか先程とは違い、攻撃の意図はないようには思えた。

 勇一は警戒し、目の前の存在に恐れつつも口を開いた。

 無論、何故こんなことをしているのかを聞きたい。

 だがしかし、先程から勇一にはそれよりも気になることがあった。

 それは――










「なぜこの屋敷には、別の世界……いや、『地球』に関わるクイズやパズルの扉が設置されてるんだ?」

 どうやら勇一のその質問は、彼女の想像していたものとはまるで違うものだったらしい。

 彼女は目を見開き、すぐに答えるべくと己の口を開いていた様子ではあったが、勇一の問いかけを聞くと、驚きのあまりか口を塞いだ。

 一時の静寂の後にふたたび口を開いた彼女は――

「いいわ。答えましょう。まさか過去の事を初めて話すのが、敵であるあなた達になるとはね。」

 そう答えたあとに落ち込みながらも、少し考え込んだ様子で語り始めるのだった。

「あれはかなり昔のことになるわ。私は一度転生しててね。それが30年ほど前だったかしら。」

 それはそれは、遠い過去の話。

 勇一達も生まれる前のずっと前の彼女の話だった。

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