第1部 第12.5話「結衣奈inマイパーティー」


 勇一が寝込みに行った後。


「結衣奈ちゃん、今日ここに泊まるの? というか結衣奈ちゃん、お金あるの?」

 私は結衣奈ちゃんにそう言った。

 

「あ、そういえばお金……、って、日本円は駄目ですよね。えへへ……私今日転生してきたばかりで……」

 結衣奈ちゃんはお馴染みの日本硬貨、日本札を見せてきて言った。

 本屋に行ってたのに、何で万札が10枚も?

 何百冊も一気に購入するつもりだったのかな?

「転生するときにもらったお金はあったんですけど、ギルド登録で使ってしまったのでもうありません。」

「……ああ。やっぱりお金ないんだ。じゃあ私が……。」

 と、そこで結衣奈ちゃんが私の言葉を遮り、言った。

「いえ、それよりも。」

「? なに?」

「……私をパーティーに入れてくれませんか?」

 その手があったか。

 確かに私たちのパーティーに入れば、それなりにどちらにも利益があるし、良いよね。

 でも、一つ気になる事が……。

 ……もし、私が魔王だと分かったら、結衣奈ちゃんはどうするんだろう。

 加賀谷くんのように、優しくしてくれるだろうか――

「フッ! フフッ! フフフフフッ!」

「!?」

 何!?どうしたのこの子!?こっわ!

「あ、すみません。つい笑い癖が。……やっぱりだめですよね。私なんて、気持ち悪い子なんて。」

「あれ完全に悪魔寄りの笑い声よ!? っていうか気持ち悪い子って……。いいわよ。パーティーに入れてあげる。」

なんか、この子も、色々闇がありそうだな~。

なんで今まで気がつかなかなったんだろ。

「あ、ありがとう!」

「その代わり! ちゃんと戦う事! 見て楽しむだけなんてダメよ!」

「何言ってるんですか! 見て楽しむだけなんて、異世界オタクの恥ですよ! もちろんちゃんと戦います!」

 は、恥って……。

「……それじゃ。これからよろしくね。」

「はいっ!」

「それと、無理しすぎないように気を付けて。」

「……はいっ!」

こうして、勇一が知らない内に、また一人、パーティーに仲間が増えたのだった。

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