電子の星。
零と一の波間を滑るように掻い潜っては
ディスプレイの向こうの君を見つめる
どんよりと濁って死んだ目でこちらを見た
そんな君が誰よりも強いことは知っている
ただ踏みだす勇気のひと欠片がないだけで
本当の君は熱い思いを秘めたひとなのだ
電子の瞬きの中に埋没した僕の見る世界は
ゴミクズのような感情の集積場みたいで
いつもいつでもどす黒い思いが渦を巻く
そんな汚い感情を目にするのは飽きたから
死んだような目をしながらも熱さのある
君のような珍しい存在を求めたのだろう
君がキーボードを打つ音だけが部屋に響く
一定のリズムは神秘的な音楽のようで
繰り返されるハーモニーはきれいだった
その打鍵音に乗って僕は電子の世界を舞う
穢れた思いの坩堝のような世界だけれど
その中に一瞬だけ輝くものが見えたから
不恰好で無能でどうしようもないと
君は君自身のことを嘲笑って腐るけれども
そんなことはないと僕は声を張り上げたい
本当に腐っているのはこの世界の方だと
僕は電子の旅を通じて知っているのだから
君の濁った目の中のヒカリを感じていた
電脳の世界に瞬く一粒の星が君の目だから
全身全霊をかけて僕は君の存在を肯定する
君という名の電子の星が瞬く世界は
相変わらず汚くて穢れゴミだらけだけれど
その中に灯された一筋の希望が君なのなら
流れてゆく君の涙を受け取っていいかな
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます