第55話 決戦!!栃木対群馬!なのです。

 高崎大雅高校との戦いで第5ダンジョン部は防戦を余儀なくされていた。

「何で当たらないのよ!!」

 フェミちゃんは苛立ちを隠せない。大雅高校は大振りをせずにコンパクトな攻撃を休みなく繰り出してくる。こちらの攻撃は受け止めるのでなく、かわす、いなす、流す、などの技術でしのいでいる。ハンクスの魔法も当たらなければ意味がない。

「タ…タマ!!大丈夫か!?」

 テレちゃんの叫びにも似た声が響き渡る。

「へ?別に大丈夫だけど?」

「本当に!?」

「ああ。」

 タマの頭には見事に矢が刺さっている。敵アーチャー野崎の放った物だ。

「矢が刺さってるぞ。」

 テレちゃんが動揺しているせいでアンデットの動きが鈍ってしまっている。

「テレちゃん、これが不思議な事に大丈夫なのだよ。さすがダンジョンだ。もちろんダメージはあるけど、まぁ気にせず戦ってくれ。」

「お…おう…。」

 そうは言ったもののアンデット達はいつもの動きではない。しかしながら圧倒的な数で次第に第5ダンジョン部は押して行き、ついにマー君が乱戦から抜け出しアーチャー野崎へと向かう。

「しまった!!」

 大雅高校の誰ともなく声を発する。

「マー君お願い!!」

 フェミちゃんが叫ぶとマー君は振り返らずに頷き野崎に攻撃を仕掛ける。

「支援職業だからマー君なら楽勝だね。」

 ハンクスが言わなくても良い事を呟く。腹立つ。

「そうでもないみたいだぞ。」

 タマが言う通り野崎は弓で応戦する。そして素早く距離を取ると矢をマー君でなくタマに向けて放つ。そして結果としてタマの頭には矢が2本刺さる事になった。本当に大丈夫なのかタマ?テレちゃんが心配そうにタマを見ている。

「テレちゃん、ホント大丈夫だから気にしないで!!」

 タマは元気だ。疲れてきたのか大雅高校の動きが鈍ってきた。徐々に攻撃がヒットしだす。

「ぐわ!!」

 メガネとアンデットナイトの攻撃で敵拳法使いが倒れ消える。

「よし!!メガネ君、アンデット全体敵ナイトに当たって!!テレちゃん!敵アーチャーに悪霊!!」

 アンデットソルジャーと共にナイト太田とランサーと戦っていたフェミちゃんが指示する。

「はは~こりゃヤバいね~。とりあえず…」

 太田はフェミちゃんの攻撃をするりとかわすとアンデットソルジャーの背後に回りトドメを刺す。休まず2体、3体と瞬く間にアンデットソルジャーを倒してしまった。太田の身体能力の高さとランサーがフェミちゃんを押さえていた事が大きい。

「すまん!!もう無理だ!!」

 テレちゃんの悪霊で足止めされたアーチャー野崎にマー君がトドメを刺す。

「え~!!野崎も~!?」

 太田だけは動きが一向に遅くならない。異常な体力だ。アンデットナイトも沈めその矛先はハンクスに向かう。

「え~!!こっち来る!!こっち来る!!」

 久しぶりのハンクスパニック。メガネ、マー君が追うが間に合わない。

「テレちゃん!悪霊!」

 テレちゃんが太田に悪霊を放つ。悪霊にまとわりつかれた太田だが一向にスピードは落ちない。なんだコイツ!!

「ぬは~!!」

 太田の連撃を受けハンクスが倒れ消える。

「ハンクス君!!」

 ランサーを倒したフェミちゃんも太田に向かう。

「う~ん…。1対5か…。さすがに無理だね。」

 囲まれた太田は不敵に笑う。

「この太田って人…強い。隙がない。」

 フェミちゃんが呟く。

「圧倒的優勢なのにそんな気がしないね…」

 メガネがそれに答えるように言う。

「や~い、や~い!!太田の前世はカツカレー!!」

 矢鴨ならぬ矢タマが後方から叫んだ。

「おい!タマ!こんな時に何だ!?」

 テレちゃんが魔法を放てるように構えながらタマを叱る。

「いや、せっかく考えた悪口をあいつに使ってみようかと思って…」

「そんなの効くか!!もっと真面目に…」


「誰がカツカレーだ!!!!!」


 太田は激怒した。今までの人を食ったような動きではなく真っ直ぐにタマに向かって動き出した。その姿はまさに隙だらけ…いや、最早、太田=隙、隙=太田と言える程の無防備状態であった。

「え?あ…み…みんな!!攻撃!!」

 突然の事に一呼吸判断が遅れたがフェミちゃんが指示を出す。

「パンジャホホ~!!」

 一斉攻撃を受け太田は独特の悲鳴を上げ倒れ消えていった。

「勝ったね…」

 フェミちゃんはへたりとその場に座りこんだ。

「結果としては圧勝なんだけど、課題が色々見えてきちゃったね。」

 メガネは何か思う所があるようだ。真面目だねホントに…。

「まあ、みんな無事でよかったよな。」

 矢が刺さってあまり無事そうでないタマが言う。

「そうだね。」

 フェミちゃんがニコリと笑う。

「みんな強くなったからね。」

 メガネが立ち上がるフェミちゃんに手を貸しながら言う。マー君もコクコクと頷いている。

「あの……ちょっといいか?」

 テレちゃんが控えめに話出す。

「どうしたテレちゃん?」

「みんな無事って言ってるけどさ…」

「うん…」

「ハンクス死んでるぞ。」


「「「あ…」」」


 まあ、なんだ…作者からも言おう。ごめんねハンクス。

 ともあれ!初対人戦勝利おめでとう!!予定外の相手だったけど良い経験になったんじゃないかな。

 

 次回!!あの人達がどうなったのか。そしてみんなでご飯!!…ってご飯の話が多い気もするが…それでも書く!!…つづく!!



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