第11話 振り返り反省するのです。
「…で、話を進めるわよ。」
7杯目のハイボールを飲み干し丹澤慶子が話し出した。
「タマ君がボス戦で放ったスキル『アカラナータフレイム』は職業ランクS『オリエンタルモンク』がレベル80でランクアップして『マスターモンク』になった時に覚えるスキルよ。しかも発動条件が厳しくて私も見たことは1度しかないわ。攻撃力は確認されてるスキルの中でトップ10には入るわね。」
8杯目のハイボールを一口飲む。飲み過ぎは体に悪いぞ丹澤慶子。
「うるさいわね。」
なぜナレーションが聞こえるんだ?
「?先生どうかしました?」
「何でもないわ。…で、タマ君。何で使えるの?」
「知りませんよ。何か頭の中で使える雰囲気になったんで…。そもそも『マスタードスカンク』とか『アラビアータトランプ』とか聞いたこともないですし。」
「それは私も聞いたことないわね。『マスターモンク』の『アカラナータフレイム』よ。」
「分かってますよ。」
「みんな、タマをもう一発殴ろうと思うんだけどいいかしら?」
一同がコクリとうなずく。
「ほんと、すいませんでした。」
タマは今度こそちゃんと反省している…と思う。
「つまり、タマ君自身もよく分からないというワケね…。『うっかりさん』自体が謎だから何とも言えないか…。あっ、食べながら聞いてね。」
「先生。今回はタマ君のスキルで奇跡的に勝てましたけど、戦い方次第で私たちだけで山盛りスライムに勝てたんでしょうか?」
フェミちゃんがトンカツを食べながら言った。意外と食べるな…。
「もちろん勝てたわよ。山盛りスライムはマンティコアより弱いからね。」
「そうなんですか?今後のためにどうすれば勝てたか教えて下さい。」
メガネはもう満腹のようだ。もっと食えメガネ。
「そうね…。最初のハンクス君の攻撃は悪くなかったわよ。炎は山盛りスライムの弱点だしね。ただ、陣形を整える前に放ったのは失敗よ。」
「ごめんなさい。」
「まぁ、初めてだし仕方ないわ。手順でいうと理想ではフェミちゃんとメガネ君が接近戦を仕掛けた後にハンクス君が炎の攻撃をするのが正解。あっ、接近戦も堅いフェミちゃんが正面から、メガネ君が側面からが良いわね。」
「裏からじゃダメなんですか?」
「裏にいた場合、山盛りスライムが反転したらどうするのよ?メガネ君が正面から戦うことになるのよ?側面からならメガネ君に攻撃が向いたらフェミちゃんとメガネ君が90度移動するだけで良いじゃない。」
「あっ、そうか。」
「接近戦ならあの突進を受けることもないし、ハンクス君はフェミちゃんの回復をメインに余裕があれば炎で攻撃すれば良かったのよ。」
「なるほど…。山盛りスライムの最後の攻撃はどうすれば良かったんですか?」
「あれは360度の広範囲攻撃なんだけど、発動まで時間がかかるの。縦に伸び出したらフェミちゃんを盾にして1ヶ所に集まるのよ。フェミちゃんは『堅固』で守りを固めてハンクス君はひたすら回復。攻撃が止んだら最初の配置に戻って攻撃……を繰り返せば勝てたはずよ。」
「なるほど…。突進されちゃった場合はどうしたら良いんですか?」
「あの時やったように、フェミちゃんが受け止めても良いけど、避けるのがベストでしょうね。突進は直線的なのよ。山盛りスライムは小回りはきかないからね。」
「なるほど…。」
タマ以外、深くうなずく。
「俺は何してれば良かったんですかね?」
「タマ君は……。メガネ君と同じ場所で棒でペチペチ叩いていれば良かったんじゃない?っていうか、あなたの職業謎過ぎるのよ。」
そう言うとグィッと8杯目のハイボールを飲み干した。
「ちょっとあてがあるから調べてみるわ。さっ。ダンジョンの話はおしまい。デザート食べる?ここの杏仁豆腐美味しいわよ。」
「あっ!!フェミちゃん!!刺身にワサビをつけないで食べるとは何事だ!!ワサビをつけた後にマヨネ……げふっ!!」
ダンジョンの反省より居酒屋の反省をした方がいいぞ……タマ……。つづく!!
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