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「うん。はるか、きっとたすかる。きっと、はるか『いきかえる』!」そう言って照子は、画面の中にいる澪に向かって(今度はきちんと)にっこりと笑うと、椅子からゆっくりと降りて、床の上に転がっている遥の側にぺたぺたと足音を立てながら、おぼつかない足取りで近づいていく。

 それから照子は先ほどと同じように、動かない遥の右手を両手で掴んで、それをずるずると音を立てて引きずるようにして再び移動を始めた。その向う方向には照子が入ってきたのとは別の白いドアがある。(シェルター室に用意された様々な施設を利用するために使用するドアだ。その奥には各施設ごとの部屋がある)どうやら照子は医務室に遥を運ぶつもりのようだ。二人が移動したあとには、再び真っ白な床にゆっくりと(そしてはっきりと)赤い線が描かれていく。

「生き返る?」その光景を観察しながら、澪は照子の言葉を目をぱちぱちとさせながら、不思議そうな声音で繰り返した。(言葉を発するつもりはなかったが、言葉になった)

 ……生き返る? 生き返る、ってなんだろう? ……遥、生き返る? (それはいったいどういう意味なんだろう?) 生き返る? ……蘇り? ……蘇生? 

 ……生きていない者。死んでいる者をこの世界に連れ戻すこと。(それが蘇り。生き返ると言う言葉の意味だ)……なら遥は死んでいる? ……すでに、死亡している? 

『死んでいる人はもう生き返らない』。『死者を蘇らすことはできない』。(それが世界の絶対のルールである)

 ……そう、遥本人が言っていた。……澪の知識の中にも確かにそう記録されている。(それも最重要事項に……) 

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