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愛っていったいなんだろう? ベットの中で夏はずっとそのことを考えていた。わからない。人を好きになること。遥を好きになること。私は遥を愛している。嘘じゃない。本当に? 私は嘘つきだ。嘘ばかり。いいわけばっかり。可愛くない。素直じゃない。本当の気持ちなんてもう自分でもよくわからない。だからちょっとだけ自信がない。(それはいつも通りの私だ)夏はベットの中で丸くなる。もしかしたら少し体が震えていたかもしれない。
「眠れないの?」
背中越しに遥が声をかけてくれる。夏は返事をしない。……真っ暗だ。部屋の中は真っ暗闇。夏は毛布から顔の上半分だけをひょっこりと出した。真っ暗闇のはずなのになぜか夏の目には明るい光が飛び込んできた。それはディスプレイの光。澪の泳ぐ世界の光。(今はそこに澪はいないけど。……水槽の中はからっぽだ)人の生み出す人工の科学の光だ。暗闇の中を科学の光が照らし出している。人間の生きるための居場所を作り出している。夏はその光の中にいる。だから夏は暗闇の中でも安心していられる。
……とても安心する光。明るいってだけの理由で夏の目はそこに釘付けになる。見慣れた光。安心する波長。人の目で見ることのできる範囲にある電磁波とその外側にある人の目には見ることのできない電磁波。白い光の波。夏の好きな青色とも相性のいい光。だってそれは太陽の色だから。(太陽の光はすべての色彩の集合である)
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