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夏の出会った不思議な、遥のお人形さんである白い女の子は悪魔であり、また同時に天使でもあった。遥はきっと照子に天使の姿を重ねているのだろう。夏はどちらかというと、まだ照子に悪魔の姿を重ねることが多い。そこが夏と遥の最大の違いだ。
「夏は遥のことが好きなんだよね?」澪が言う。ぐるぐると回っていたカセットテープはいつの間にか止まっている。世界から音楽はいつの間にか消えていた。見ると澪は通信機の画面の中でごろごろと転がっていた。その転がる距離はとても短い。
小さな夏の通信機型カセットテープレコーダーの画面の中では、澪はいつも以上に窮屈そうだ。夏は澪に、もっと広い空間で、もっと自由に、もっと力強く、泳いで欲しいと願うが、澪は自分の境遇のことをあんまり不満には思っていないのだろう。
澪にとって世界とは初めからその四角い画面の中にしか存在しない。自分を閉じ込めている四角い(どんな形をしていても良いのだけど)枠の存在を澪は自分では見ることができないのだ。(きっと)
人工知能は、やっぱり人工知能でしかないのだ。
人間によって自由を奪われている。束縛されている。どこか狭い場所に、いつも閉じ込められている。
「うん。大好き」
夏は自信を持ってそう答えた。
「好きだよ。世界で一番、遥が好きー!!」
夏は世界に向かって大声で叫んだ。
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