この世界を生き抜く為に
@noriaki_genm
第1話 人助けからの魔法陣
やばいやばいやばい……!
殺される、絶対殺される。このままだと俺は……。
たった今俺は強敵と戦っている。戦っているといても相手の方が一枚上手でこっちはずっと動けないままだ。
このままだと時間が無くなってしまう。
「残り5分。ちゃんと名前書いてるか確認しろよ」
教室に先生の声が響く。
時間がなくなってしまうじゃなくて時間がなくなったの間違えだった。
高1の10月考査最終教科、『English』
残りの問題数を見たところ恐らく5分じゃ終わんない。
バイトの先輩が「高1の10月考査なんて問題数が少ないから何とかなるよ〜」とか言ってたのに結果はこのザマ。ざっと計算して60行ってるか行ってないかだ。
そして今回のテスト、55点以下の者は補修があると言う高ハードルだ。
キーンコーンカーコン
テストの終了を意味するチャイムが鳴ってしまう。
チャイムが鳴ったと同時にクラスが一気に騒がしくなる。
そんな中、俺は外の音を聞いていた。
ザー、ザー、と雨が降っている音がする。今日はあいにくの雨で今年1番の雨らしい。
「親もいないしおでんでも買って帰ろうかなぁ」
帰りのHRも終わり俺は傘をさしながらコンビニに向かった。いつもこの時間帯は人は多くいるもののこの天気なのかコンビニには立ち読みしている人と店員さんしかいない。
何となくドリンクコーナーに行こうと思った時、コンビニの外にあるベンチでガタガタと震えている少女がいた。それにずぶ濡れ。
普通なら学校にいるはずの年齢の子が何であんなところに。仮に今日、学校が休みだったとしてもこんな所にはいない。全くあの子の親はどうなっているのやら。
ま、どうせ他の人が何とかしてくれるでしょ。
「あたたかいレモンティーでいいか」
棚に置いてあった飲み物を手に取りレジに向かった。
「いらっしゃいませ」
「肉まんとスペシャルおでんセットをひと━━」
一つずつくださいという言いかけた時に行方不明のお親父が言っていた言葉を思い出した。
『気になるやつがいればそいつにとって何が嬉しいか考えて行動しろ』
「やっぱ二つずつでお願いします」
「わかりました」
あんな姿みっちゃたら嫌でも気になるよな。
この前忘れた傘もあるからそれを渡せば一時的ではあるけど寒さはしのげるか。
あと交番に行って事情を話せば今回のことは全部解決だ。
「合計で1238円です」
結構するな。払えない額ではないから別にいいか。
「ありがとうございました」
会計を済ませたあとコンビニを出て少女のもとに行った。
少女のもとに行った時少女はめっちゃ冷たい目でこちらを見てきた。
怖っ。
「えっと、体冷えるからこれでも食べろ」
おでんと肉まんと傘を渡した。
「これは?」
とても小さな声でおでんを受け取った。
「ほら、寒いから」
「……ありがと」
「じゃあ行くから」
さっき買ったもう一つの肉まんを片手に持って家に向かった。
「━━クト」
ん?何か聞こえたような?
そんな気がしたので少女の方を見たが黙々と肉まんを食べていた。
「気のせいか」
気のせいだと思いそのまま家に帰ろうとした時当然目の前に魔法陣が現れた。
「……え?」
魔法陣が徐々にこちらに近づいてくる。
「ちょちょちょちょ!」
あまりにも突然な出来事だったので体が動かず魔法陣と衝突してしまう。
「うわぁぁぁああああ!!!」
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