カモシカと風船
アほリ
1#カモシカ、風船を見つける
ひゅうううううう・・・
ごおおおおおおお・・・
「ううう・・・すげえ寒い・・・」
山奥の暴風雪が吹き荒れる崖を、一頭のニホンカモシカが登っていた。
「もう目の前が真っ白で、何も見えねえや・・・。」
そのカモシカの名を『マウシイ』と呼んだ。
マウシイは、ふくよかな鼻の穴を風雪荒ぶ空に突き上げて微かな風の匂いを嗅ぎ、目の側に付いている分泌線で、木の枝に目印としてマーキングをしていた。
「ああ・・・腹へった・・・何か食いたいよお!」
マウシイは、麓から登ってから全然食べてなかった。
「木の皮は他のカモシカが食っちゃったし。ああ・・・ひもじい!」
マウシイは、道に迷わないように辺りのえだ枝に分泌線でマーキングをしながら風雪をついて、一頭で崖を蹄で踏みしめてさくっ!さくっ!と一歩一歩登った。
「ん?」
目の前に赤い物が真っ白な吹雪の中、ちらちら動いていた。
「あ~っ!木にでっかい赤い実がなってるーっ!」
カモシカのマウシイは、大きな赤い実―いや、赤いヘリウム風船を見つけた。
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