第97話 リアリティと世界観

 なんかね、タイトルだけ見ると創作論っぽいでしょ?

 ごめんね、これ、エッセイだから。っていうかシロート発言だから。


 リアリティってなんだろな、って思ったこと無いですか? あるよね。

 如月はリアリティ重視なので、嘘くさいのはあんまり好きじゃないです。


 でもSF喜んで読みます。

 おい、SFってScience Fictionじゃん。フィクションだよ、フィクション。まあ、それ言いだしたら、小説なんか全部フィクションだけど。


 リアリティ重視で嘘くさいの嫌い。だけどタイムリープもフルダイブVRもロボット大戦も異世界転移も許容範囲、ってそれ矛盾してねーか?


 そうです。私はであってではないのです。


 じゃあ『リアリティ』と『リアル』って何なのよって話になっちゃう。私はシロートなので、小難しい言葉は使えません。脳の構造も割と単純です。そのツルッツルの大脳皮質で考えた結果が、『その世界観の中でのリアルであるかどうか』だったわけです。


***


 手塚治虫さんの『ブラック・ジャック』ってありますよね。天才外科医の。

 あれは手塚先生ご自身が医師免許をお持ちだったからこそリアルに描けた傑作だと思うんですが、びっくりするくらいSF要素を放り込んでますよね。


 子供心に「マジか」って怖かったのが、多肉植物だったかな、何か植物が体の中で芽吹いて、体中から葉っぱがわさわさ生えてくる描写があったんですよね。

 そこでブラック・ジャックはその根っこというか球根というか、核になる部分を体内から摘出したんじゃなかったかな、そんなシーンがあったと思うんだけど。

 それって、実際にはありえないじゃないですか!


 そもそもピノコ! 体のパーツがバラバラで存在していたのをパズルのようにつなぎ合わせて、一人の人間が出来上がる。

 それ以前にブラック・ジャック本人だ。確か彼は少年期に爆発事故で体がバラバラにぶっ飛んで、本間先生だったかな、凄い医師がつなぎ合わせてくれたんですよね。

 いやいやいや、無いってそれ。


 更にだ。その手術の時に皮膚が足りなくて、黒人の友達から皮膚を貰って縫合したのがあの『半分色の違う顔』だという設定だったと思うんだけど。

 ちょっと待って。皮膚移植って本人(または一卵性双生児)の皮膚でないと定着しないんじゃなかったっけ? 仮留め的に移植して、その後自分の皮膚の細胞ができあがってくると、その仮に移植した皮膚は勝手にとれちゃうんじゃなかったっけ?

 なんで黒人の皮膚がそのまま残ってんのよ?


 と、冷静に考えると実はツッコミどころ満載なのに、そういうのを無視してストーリーに没頭できる。さすが世界の手塚治虫!

 それこそが『世界観の中のリアル』=『リアリティ』なんじゃないかなーと、シロート作家は考えたりするわけなのです。


***


 さて、創作の現場に話を戻します。

 カクヨムの作品を読んでいて、リアルからかけ離れている設定なのに作品世界に没入できる良作がたくさんあります。それらは『その世界観の中でのリアル』がきっちりと再現されていると感じます。

 現代人なのに戦隊ヒーローに変身したりとかね。まともに考えたらありえねーじゃん。でもその世界の中ではそれが当たり前なの。ちっともおかしくないの。

 うちの花子(いちいち癇に障るんですけどっ!)なんか、体重86キロの巨漢ですよ、その花子の指輪が5号だったら「嘘やろオイ!」ってなりますよね。でも19号なら「わかる」ってなるでしょ?


 逆に入りこめないない作品は『世界観が明確になっていない』『登場人物が世界観に合わない言動をする』などが挙げられます。

 魔法でひとっ飛びできちゃうキャラなのに、「あの城までは馬で五日はかかる」なんて言い出したりね。いや、そこ飛べよフツーに。ドラゴンおるやん、ドラゴンに乗れよ。


 というわけで、気づいたからには自作品でも見直してくるかな。

 え? 見直しかけてからこれを書けよって?



 ……またシロート発言をしてしまったようだな!

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