風と蝶

風から生まれた人を風の子供というらしい

君は、風の子供だった

風の中で生まれ、風の中で死んでいく

そよぐ風、荒々しい風、すべての風を知り

すべての風から祝福されて生まれてきたのだろう

風と共にある君は縛られず

自由と風だけを糧に生きていた

風の子供は病にかかるらしい

死んだらその体は無数の蝶になり、大空を舞う

そうして、真の風の子になるらしい

風の子供は一生が短い

皆そうやって息絶えていく

人間であるよりも蝶になることを選んだ君

君が蝶になったら、僕は風になるように神様にお願いしてみようかな

蝶は同族嫌悪をしない

だから、簡単に炎に飛び込んでしまう

美しいと思ったものには迷いなく飛び込んでしまう

僕は風の子供ではないけれど、出来るならば風になりたい

君を燃やそうとする火を消して

大空を舞えるように

そして、いつか君がまた風の子供として

生まれてこられるように

祈っている


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