友達でイイノ!21話 箱の中から

箱の中から


私たちは島津さんの持っている箱の中で外の話を聞いていた。

「おお、来たか。島津」

沈んだ都の王っぽい男の声が聞こえる。

「はい、この中に彼女は眠っています。ですが、一つだけ聞いていいでしょうか?」

「なんだ? 何でも教えてやろう」

「ここまで来る途中に、出会った少女たちが、あなたは悪だといいました。あなたの真意をお聞かせ願いたい」

「なるほど、では答えよう。我の悲願は、我が国の悲願であった、世界の統一を我が国で行う事だ。そのために彼女らの力が必要なのだよ。そして、我が悲願のためにはどんな事でもしよう。たとえ世界が混乱に陥れようとも!」

「やはり彼女たちの方が合っていたみたいだ、だがあんたに少女を渡さないと俺は殺されるんだろう? だからあんたに彼女を渡そう」

「ほう、利口だな」

その言葉が聞こえた後ドアが開く音が聞こえ、

「では失礼する」

と島津さんの声が聞こえ、閉じられた音がした。そこで、機械の電源を入れ、サモンエッグで闇の刀を出した。そして私たちは箱から飛び出して、沈んだ都の王を斬りつけた。しかし、

「大丈夫!? 珠樹!」

いつの間にか倒れていた。けど、痛いところもなく、外傷もない。

「もう、ちゃんと作戦書読んでた? アイツは、触れた相手の能力を自分のものにするんだよ」

それを聞いて思い出した。

「そっか、美智さんがさらわれたって事はその能力はコピーされてるものと思ってもいいんだよね。でも、コピーについてはもしかするとだったから無視してたんだけど……」

「もしかするとは、あり得るって事なんだから警戒しないと!!」

「ごめん……」

 手を引っ張ってもらい、立ち上がると、沈んだ都の王は唖然としていた。そして、こちらが動くと、我に返り、

「お前は何をした! あの糸に触れたら、誰でも止まってしまうはずだ!!」

 と皐文ちゃんに指をさして言っている。そして皐文ちゃんはにやりと笑い、

「お得意の能力で真似たらどうかな? まあ、抵抗はするけど!!」

と言うと苦無を投げ、それと同じぐらいの速さで沈んだ都の王に突っ込んでいった。しかし皐文ちゃんは止まることもなく、到達、王に斬りつけた。王はその攻撃をもろに受けて、倒れた。

「王手、だよ!」

「皐文ちゃん王手って、まだ逃げ道あるかもしれないよね……」

「その通りだもん」

「へ?」

それを聞いた王は笑いだして、

「その通りだ。それに我は今、各国に対して軍船を出したところだ。そしてこの船はレーダーには引っかからん。これでこの世界は我がものだ」

と答えた。そして、私たちの後ろから、魔砲撃、間一髪で消え、後ろを振り向くと黄色フードの中の人が来た。

「先程は、分身が消されたけど今回は負けないわよ!」

そう言うと、こちらに接近を開始、斬りつけに来た。私はそれを刀で防御、応戦する。ライターの火をつけて、火のサモンエッグを焙る。そしてサラマンダーを召喚、そのまま体当たりに行く。私はその隙に柱の左に回り、攻撃を仕掛けたが、その瞬間に王から、皐文ちゃんが離れ、そこに、黄色フードが割り込んできていたことを見逃さなかった。私は方向転換し、そちらに向かおうとしたが、もう一人の黄色フードに阻まれた。そして剣を振り上げ、

「これで、チェックメイトよ」

と、言いながら黄色フードは剣を振り下ろした。しかし、黄色フードと私の間に、サラマンダーが戻ってきて、炎上を開始、黄色フードがビックリしている隙に回避、私は闇のサモンエッグで召喚していた、刀に風のサモンエッグをつけようと考え、刀の窪みに目をやると、見たことのないサモンエッグが付いていた。

「なに? これ……ってそんな事考えてる場合じゃないよ!!、皐文ちゃんを助けないと」

私はサラマンダーが頑張っているのを横目に、柱を回り、火のサモンエッグに火をつけ、放つ、またサラマンダーが出てきて、先程の黄色フードの方に飛び込んでいく。それを横目で見ながら、皐文ちゃんの救出に急ぐ、そして、皐文ちゃんを取り押さえようとしている、黄色フードに刀で切りつけた。すると破裂するように、弾け、消えてしまった。

「大丈夫? 皐文ちゃん!!」

「うん、大丈夫だよ。それより、今の隙に沈んだ都の王は範囲外に出ちゃったよ……」

いつの間にか移動していたらしく、確かに遠くにいる。そこで彼は、

「我の分身よ現れよ!!」

そう言うと彼は分裂を開始した。アニメとかでよくある、分身の術を見ているようだった。2人から4人、4人から8人そして最後には目視では数えきれな数になった。

『ふふふ、どうだ? この数に勝ち目はあるまい』

その姿を見た瞬間、皐文ちゃんとドアに向かって走った。しかし、

『逃しはせんぞ』

と群がって来たため逃げ場を失ったが、そこに、

「助けに来ましたよ。珠樹、皐文」

とドアを開けて、詩織ちゃんが現れた。

「サンキュ、詩織」

「ありがとう、詩織ちゃん、って一人だけ?」

「いえ、あそこに」

と、上の方を指さし、その方向に、エスキさんとプリマさんが、二人で何か詠唱していた。

「ぐずぐずせずに行くぞ、珠樹、詩織、皐文。詠唱が終わっては私たちも死んでしまう!」

とどこからともなく、サターンさんが現れ、

「あの二人は!?」

「大丈夫だ、我が背中に転移魔法の紐をつけておいた。あとは、召喚するだけで、指定した位置に移動できる」

「なるほど?」

そう言いながらもう一度見ると、船で二人が戦っていた、黒い化け物が二人に襲い掛かり、二人は詠唱が中断されていた。

「た、た、助けないと!」

「いや、あの3人にはあのまま暴れてもらおう。我が後でちゃんと召喚して逃がしてやるから、耐えろ!!」

と大声でエルピスは言い二人は、

「「わかった」」

と答え、二人は滅茶苦茶に魔法弾を撃ち出した。

「え? 何あれ?」

「悪魔、本物の悪魔と契約した人間だ」

「悪魔って、この前の戦いでやっつけたはずじゃ?」

「だから本物だ。前の奴らは偽物、あいつの契約したのは本物だ」

「? そう言えば、美智さんは助けたの?」

と話を切り替え、詩織ちゃんに聞くと、

「バッチリです。島津さんの船に送りました。後は私たちが脱出するだけです」

廊下を抜けて、やっと、次の扉について、その扉をくぐると、桟橋に出た。そこの先の方に魔法陣が書かれており、そこにサターンさんが飛んでいき、私たち三人は敵の足止めのために、各々武器を取り出した。

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