友達でイイノ!19話 和解

和解


「今から話し合いをしましょう、ちなみに私達は2対0で負けているのでそちらの話からお願いします。」

皆が疲れ、甲板に転がっていると、詩織ちゃんが一声発した。

「その前にまず、怒っていいかな私……」

私は言ってしまった。

「……いいよ」

「え~怒られるの~」

「まあしょうがないや。いいよっ」

え? いいの? じゃあ、私は座り、

「なんで私が困ってた時に来てくれなかったの!! なんで私に黙ってたの!? なんで仲間に入れてくれなかったの?? うっうっうっ」

泣いちゃった。私、泣いてしまった。すると皐文ちゃんが起き上がり私のもとにきて、私に抱き付いた。

「ごめんよ、実を言うとこれが済んだら、すぐいう予定だったんだけど、なかなか終わらなくてね」

「そうだよ~、あいつが、面倒くさいんだよ~、珠樹ちゃんがね~、捕まった時ね~助けに行ったんだ~その後~、沈んだ都の王は現れたんだ~。ごめんね~。珠樹ちゃん」

「……沈んだ都の王と戦っている時に、詩織がルシフェルと戦い始めて、そっちのフォローはできなかった。悪かった。ちなみに先の分身してきたのが、沈んだ都の王を復活させたやつだ」

「なんでその人は私達を襲うんだろう?」

「それは、焔ちゃんをのせてるからじゃないかな~?」

「今、僕たちは、焔ちゃんを助けるために動いているんだ」

「へ? どういう事?」

と私は思わず聞いてしまった。そして戦闘音がなくなったからか、島津さんも来ていて、

「おう! 皐文ちゃんそれはどういう事だい? 俺はこの辺りの島の主に家出娘を連れ戻せって聞いているのだが」

「……皐文、周りの機械の停止に成功している、君も魔力吸収の封印を解除しろ」

「うん、わかったよ」

神奈ちゃんは代美ちゃんの肩に手を乗せて、

「頼んだ」

そう言うと船室に向かっていった。

「え~っとね、その説明のためにも、島津さんの仕事の話をしてもらわないとね~。あとは戦力の把握をしたいんだけどいいかな~?」

と代美ちゃんが言うと詩織ちゃんは、

「そうですね。現状の把握からですね。わかりました。私たちは島津さんの護衛中です。報酬はこの海域でのバカンスで、護衛対象は焔さんと島津さんの二名。何故、そこまでの護衛なのかは島津さんに聞いて下さい」

 そう話を振られた島津さんは、

「そうだな、俺しか知らないんだから俺が言うしかないよな。周りの情報封鎖は万全なんだよな? 今回の雇い主は顔は知らんのだが、名前は小部屋だ。その雇い主の話では、家出娘の焔を連れてきてくれとのことだったので、連れてきたんだ。ついでに持病があるから、この飲み薬を目を覚ましたら飲ましていた。もしかして俺はまた利用されているのか?」

「え~っと……、まずね~、あの子はこの時代の子じゃなくて~、この世界の人間じゃないから~、親はもういないと思うんだ~。そしてね~、彼女の本名は小部屋じゃないんだよ~。サン エルピスだったかな~? だから、その人、絶対親じゃないんだよ~。ちなみにお金を払いたくないからここまで連れてきたらお役御免ってことだと思うよ~」

と、代美ちゃんが説明してくれているのを聞いている私の後ろで、サターンさんが、

「やはりサンだったか」

と呟いたのを聞いた。その後、島津さんが、

「そうか、また間違ってしまったのか……、すまないな、これで二回目か。ありがとう」

「ううん、いいんだよ! ねっ代美ちゃん」

と皐文ちゃんが答えた。それに、代美ちゃんもうなずく。すると、詩織ちゃんも、

「そうですね。私もお礼を言わなくては、また正しい道に戻してくれてありがとうございます」

その言葉に私は思わず、

「ねえ、なんで皐文ちゃん達の方が正しいって雰囲気になっているの? まだ私たちの方が正しいって事も……」

そこまで言うと、詩織ちゃんは、

「いえ、これまで皐文さんたちは、沈んだ都の王が復活のために、策謀を企てていると言う事を聞いて、それを阻止するために、戦っていたと聞いていたので、その延長線なら、私たちより彼女たちの方が知っているはず、と言う事を頭に置いて、目的地を調べると、沈んだ都に近いので、彼女たちの意見の方があっているのかと思いますよ」

「なるほど。でも、沈んだ都の王がいい人って線は……」

そこまで言うと、サターンさんが、

「それもないな。奴はこの世界を魔法世界に書き換えようとした人間、私からすると悪人だ。それに奴は息子が生まれた途端、妻を殺し、家督争いをさせぬようにした奴だ。その娘にサンなんておらんし、あの焔と名乗っておったのは我が同胞だ。だから沈んだ都の王は敵であろうよ」

と私はびっくりした。そこまで考えていたとは……。すると代美ちゃんは、

「話を続けるよ~。二人が話している隙にさっき話に上がっていた薬を皐文ちゃんに持ってきてもらって~、その薬を神奈ちゃんが解析中なんだけど~、多分睡眠薬だって。それって多分、誘拐しようとしてるからだと思うの~、それにね~、私たちの持っている情報だとね~、美智ちゃんも狙われているみたいなんだ~。と言う事で美智ちゃんはどこかな~?」

それを聞いた、詩織ちゃんは、電話を取り出し、かけているようだったが、繋がらず、次は何か黙り込んで集中しているけど、それもやめて、

「繋がりません……」

「う~ん、まあそうだよね~。電波妨害、魔力吸収中だもん」

そんな会話をしていると、皐文ちゃんが、

「そう言えばフードの誰かが美智を連れているの見たけど、あの時まだ魔法といてなかったから色までわからなかったけど、あのフードは誰だったんだろ?」

その声に代美ちゃんはあんぐりと口を開けて少ししてから、

「多分それ、黄色フードだよ~。ど、ど、ど~しよ~それじゃあ……、一番ダメなパターンだよ~。アイツの第一目標は美智ちゃんなんだよ~」

「そうすると、どういう事になるの?」

と私は聞いてみた。すると代美ちゃんは、

「アイツは~、沈んだ都を浮上させるのが目的なんだ~。詳しく言うと~、美智ちゃんの力をコピー、時間を戻して、大陸を浮上させて~、焔ちゃんの力をコピー、人々を復活させるのが目的なんだ~。そして、世界を我が手にとかも言ってたよ~」

確か、美智さんは時間を操る力だったよね。焔ちゃんは占いできるのは知っているけど……。そんな事を考えていると、皐文ちゃんが、

「珠樹とエスキさんはわかってなさそうだから教えるけど、美智は時間を操れて、焔は肉体再生、細胞分裂の力を持ってるんだ。細胞だけ残っている人たちを蘇らせるためらしいんだ」

「な、なんか大変なことに手を貸してたんだね私たち……」

「分かってくれたならいいんだよっ」

と皐文ちゃんが笑っている。そこに箱から、焔ちゃんが出てきて、

「よく寝たですぅ、あれ? 成程、予定以上にいい感じぃ」

「あ~、焔ちゃんだ~。また占い? どんな結果?」

「ああ、代美ちゃん、簡単に言うと焔ここで死なないって出てるぅ」

「ならよかったよ~。じゃあ、戦力を確認するよ~」

すると神奈ちゃんは出てきて、、

「……やはり、ただの睡眠薬だった。で、今は何の話だ?」

その問いに詩織ちゃんが、

「戦力確認です。まず私、成水詩織は、相手が、魔力を常人の2倍以上あるときのみ、無制限にこの札、兵科札により変身ができます。しかしそれ以外の場合だと、6分しか変身が続きません。札は兵士、魔術師、射撃兵、大型武具の四つです。あとは隠し技が一つありますが、これは自分の周りに発生する、広範囲攻撃なのでできれば使いたくないですね、槍を使うのが一番得意ですね」

「……わかった。では、次は金髪の子」

「ああ、我の話か、我はサターン・エルピスだ。我の能力は土の魔法、つまりは土と岩、石などの、鉄や生物ではない地表や地中の物の操りだ。あとは魔力量は自信があるな、あと格闘は得意だ。」

「……さっきの戦いのゴーレムも岩で作ったのか? あとあなたもエルピスなのか?」

「ああそうだ、その通りだ。面白かろう?」

とエルピスさんは笑っている。すると、代美ちゃんは目を輝かせながら、

「あれはすごかったよ~! じゃあ、次はプリマちゃんのそっくりさんだよ~」

と言われたエスキさんは、状況が読み込めていないようで、

「どどど、どういう状況? あたしはなぜか、姉さんと戦ったり、敵だと思ってたらいきなり和解したり! 誰か説明してよ!」

全員ポカンとなった。そして皆が説明を忘れていたことに気が付いた。なので私は、

「まず私と皐文ちゃん、代美ちゃん、神奈ちゃんは学校の親友なんだけど私は彼女たちが魔法少女してるなんて知らなかったんだ」

 「次に私と皐文さん、代美さんは、一度戦った中でその際に島津さんと、神奈さんとも知り合いました」

そうだったんだ……。詩織ちゃんの話を聞いて思っていると、次は焔ちゃんが、

「あたしはプリマさんと珠樹ちゃんが会った後にねぇ、プリマさんを勧誘したんだよねぇ」

「それで何で戦う理由になるのよ!」

確かにエスキさんの言うとおりだ。私たちの勘違いなら、止めてくれればいいのにと言いかけたら、その答えを、神奈ちゃんが答えた。

「……それは、私たちは人の見た目を変える魔法をかけられて、自分たちもフードをかぶってごまかしていた。また皐文は色も視認できなくなっていてな、だが、それを逆手にとる作戦をサターンと思いついたため、黙って戦ってもらっていただけだ。……誰かのせいで台無しだがな」

「誰だろうね」

と皐文ちゃんめっちゃ神奈ちゃんに睨まれてるよ! で、そこにプリマさんが、

「ちなみに私は、またエスキちゃんが騙されてると思って戦ったからね。まあしょうがないよ。ふふふっ」

「姉さん……」

「で~戦力は~?」

「そうだったね、あたしは右手で触った魔法で作られた物を魔力に戻して吸収、または触った生物の気力を魔力に変えて吸収。ナイフでの攻撃が得意、それぐらいかな?」

「じゃあ珠樹ちゃんは~」

「私は体内発動魔法しか使えないんだけど、召喚魔法はこのウエストポーチ入っている道具、サモンエッグで使えるよ。得意武器は刀かな、防御面には少し自信があるよ。永魔のリングのおかげで、どんな攻撃でもほとんど通らないよ。けど衝撃には弱いかな」

「……なるほど理解した」

それだけ言うと神奈ちゃんはまた船室に帰って行った。

「悪いが、我らにもそちらの戦力を教えてもらおうか」

とエルピスさんが少しきつめに言った。確かに皐文ちゃん達の戦力聞いてないような……、

「ああ、そうだったね、僕は周囲の魔力を吸収するだけだね。この刀を持っていると、それを封印して、僕も魔力運用できるよ。あとは忍術かな? 例えば変わり身の術とか、その他は素早い動きが得意だよ。あと魔砲撃は電気属性をつけるのが得意だね。で、神奈は、魔法は強いのは使えないけど、同じ魔法を同時、大量作成は得意だね。あと、兵器を使うのが得意かな、後は真ん中の開いた歯車を連結させて、その間から物を転移させることができるかな?」

と皐文ちゃん、そして、代美ちゃんが、

「あたしは~ふつ~の巫女だよ~。転移術は得意だよ~。あとは~、すべてに最大の力をかけられるのと~、イタコの真似事も少しと、付喪神とその憑りついていた物の復活をできるよ~。あとは~走るのが苦手かな~」

「十分特別だよ!?」

思わず私は突っ込んでしまった。最後にプリマさんが、

「私は左手で、魂を吸収して、魂を魔力に転化できるわよ。後は大剣による戦闘が得意ね。それに、木を使った魔術が得意ね」

これで全員かな? と思ったら、そう言えば、

「焔ちゃんはどうなのかな? 戦力的には」

「焔ですかぁ? そうですねぇ、戦闘は苦手ですぅ。けどいざとなるとぉ、触れて細胞増やしてぇ、動けなくできますよぉ」

「な、なるほど分かったよ」

すると、また神奈ちゃんが降りてきて、紙を全員に配りながら、

「……そこに作戦を書いておいた。目を通してくれ、そして、裏にもっと詳しく、自己戦力を書いておいてくれ」

「分かったよ」

とみんなは作戦書に目を通し、詳しく自分の能力を書き込んでいった。

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