魔法少女でイイノ?5話 出会いと圧倒的な力

出会いと圧倒的な力

 今日は皐文ちゃんと代美ちゃんと神奈ちゃんは用事があるらしく、珍しく一人で帰っているところに、ルシが現れた。

「今、山の上空にハーピィの反応があったわ、行くわよ!」

「う、うん」

変身して、私は地面を蹴り、微重力をイメージ、そして空に飛んだ。数分飛んだあたりで近くの山に降り立ち、あたりを見渡す、すると道に迷っているような、そして足をけがしていて動けそうにない人を見かけた。そこに向かって、ハーピィが降りてくる。私はその人を助けるために、ハーピィに向かって飛んだ。しかしハーピィはこちらを見つけると、回避行動を取った。上に浮きあがり、前に突き出した拳のギリギリのところでかわされた。ならばもう一発! しかし、それも紙のようにヒラヒラとかわされる。

「当たらない!? 何で? 相手が速過ぎる?」

何度やっても当たらない、だが攻撃もしてこない。そうしている内に高度が下がってきている。どうすれば……、

「そうだ! こんな時のこれだよ」

この時のために持ってきた、ウェストポーチを開けて一つ、卵の様な形をした召喚道具、サモンエッグを取り出し、水色で中が風で渦巻いている事を確認してから、上空に投げた。するとそれは姿を変え透明の鳥の様な形になり、ハーピィに向かって飛んで行った、そしてそれはとても素早く、ハーピィに当たってハーピィは霧散した。

「よし! そう言えばさっき動けないでいた人は?」

あたりを見渡すと、その怪我人の影はあった。そこに、捜索隊みたいな人たちが来て、その人を山の下まで連れて行ってくれた。私は安心すると、セクーンを落としてしまったと思って、探しに行こうと降下を開始、しかしルシが、

「どうしたのかしら?」

「へ? セクーンを探さないと、山に落ちちゃったよね?」

「ああ、それならハーピィの消えた処に浮いてるはずよ。ほら」

先程倒したハーピィのいた処に何か光っている。それを取ろうと近づいた時、上から銃声、後ろに重力をかけ、ギリギリのところで止まり、何とか銃撃を回避する。そして上を見ると火縄銃の様な鉄砲を持っている、私と同い年ぐらいの白い女の子がいた。その女の子は、

「あなたはそのセクーンを集めてどうするつもりですか?」

とこちらを睨んでくる。

「あ、危ないじゃない! 何で撃ってきたの!?」

私は上空にいる女の子を睨む。

「そうですね、銃撃をした理由は威嚇です。あなたならそれぐらいできるだろうと言う考えのもとです。では私の質問に答えて下さい」

銃口を此方に向けながらその子は聞いてくる。するとルシが、

「答えちゃだめよ、誰かに教えてしまうと願いはかなえてあげられないわよ」

「わ、わかったよ」

私は答えないでセクーンに向かって高速で飛び、セクーンを取り、この空域を離脱しようとした。しかし、上からの銃撃をかわし切れず、地上に落ちてしまう。

「痛! けど……死んでない!」

どうやら魔法で出来た服には防御効果があってそれが作用したようだ。しかし、仰向けで落ちたので、手を足で押さえつけられ、

「答える気はないようですね、なるほど、防御服ですか、それに……永魔のリング、その魔力を外に飛ばしたままでその魔力が服になっている。この方法なら壊しても復活を何度でも出来る障壁が出来ますね。しかし!」

銃を持っていた手にいつの間にか槍が握られていて、その槍で首を取りに来る。しかしギリギリのところで止まり、

「どうです、話す気になりましたか?」

このまま死ぬのは嫌だから、話してしまおうかな、でも死んでらお父さんとお母さんに会えるのかな、じゃあ言わない方がお父さんとお母さんに会えるのかな、じゃあ、

「言わないよ」

「そうですか……では、シユお願いします!」

「いいわよ~。って、あれ~ルシフェルの奴が居ないわよ~。そっち行ってないかしら?」

このままじゃルシがやられちゃう! せっかく私を頼ってきてくれたのに、彼女だけは逃がさなくては。私は手に力を入れて魔力を集中、そして腕を上にあげようとする。しかし白い女の子の足を退けられない。

「な、何で?」

「当たり前です、私も魔道士ですよ、重力強化ぐらい朝飯前です」

「そんな……」

 どうしよう、このままでは動けない、しかし、いきなり足は退けられ、彼女は私の上から退き、そこの空間は歪んでいるように見えた。

「珠樹、逃げるわよ!」

体を起こし空を飛ぶ体制に入る、ルシもどこからともなく現れて、地から足が離れ、空に飛ぶ。出来るだけ速く、出来るだけ遠く! そう考えながら山から逃げ出した。セクーンは取ったもののとても勝利とは言いがたかった。

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