腹部から流れる腸は長い

僕は常に独りだった

一人だった

食事も一人

寝床は倉庫

学校でも一人

誰も言葉をかけてくれない

先生も何かを返してくれる時は無言

家に帰っても誰も声をかけてくれない

以前の僕は好きになってもらおうと

見かけた親子みたいになりたくて

でも手は振り払われて

だからテストの点くらいは

絵画くらいは

食事を残さないくらいは

大人しく声をかけないようにして

いつか褒められるためにゴミ捨て場にあったクッキーの空き缶に

たくさんのモノを詰めた

イイコになれた頃に渡せば、あの見かけた親子のように

手を繋ぎ、頭を撫でられ、抱き上げてもらえ、声もかけてもらえる

そんな妄想をいつも寝る前にしていた

していた、していた、していた、していた

今日もお味噌汁一杯、給食費付き、明日の洋服もある

天井で揺れる豆電球、毛布に包まれ妄想しながら僕は寝た

明日、空き缶を渡してみよう

紙でいっぱいになった空き缶

テストで満点、似顔絵がたくさん、タイセツナモノがたくさん

きっと笑顔を向けてくれる、僕のスキがたくさん詰まったものだから

次の日、朝一番に缶を渡した。目の前で開けてくれた。そのままどこかへ行ったのでついていった

そこはゴミ捨て場だった。ガランゴロンと大きな音をたててアキカンは捨てられた

初めて殴られた。初めて「気持ち悪い」と言われた

僕は初めて声をかけられて、初めて触ってもらえて嬉しかった、のに

胸が苦しかった。愛されない

そう気づいた時、僕は、僕は臭い身体を秘かに洗って包丁を持ち親を刺した

愛しているから親を独り占めするために

驚いた顔をしていたけれど、これで僕の宝物は一生、僕のモノ

ね、びっくりしているけれど、これでずっと一緒だね

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