自由散文詩掌編『創造』

朶骸なくす

雪解け

ある日、ガキを一人引き取った

兄貴の息子で悪戯クソガキ

いつも畑で盗みをしては、

山から山菜取って平謝りと


何かの縁だ疎開に行けと

山奥雪深い不便な土地へ


遠い水汲み、遠い学び舎

意外と文句を垂れずにやるものだから

すぐに村人に好かれて笑う


甥は「畑がないからつまらない」

素直じゃないのは俺に似たのか

誰かに何かをしたいのだ


勧善懲悪そんなの超えて

ただただ自分を探している


「お前は村人に好かれているよ」


でないと馬車に乗せてくれないだろう?

重い甕をみて、お前に手を差し伸べないだろう?


「違うよ、叔父貴が偉い地位だから贔屓だぜ」


満足しないか我が儘め

お前は誰かの為に生きたいのだな

ならば、これだけは覚えておけよ

中途半端に護るなよ

「何かを護りたければ一生をかけて傍にいろ」

うまく生きろよ、後悔するな


「あったりまえじゃん」


訂正、お前は俺に似てないよ

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