断片

青い向日葵

あたたかい場所

 ひとり暮らし アルバイト

 いつも時間が足りなかった

 例えば ごはんの支度

 料理 配膳 片付け 洗い物

 座っているのは食べている間だけ


 煙草を吸いながら

 のんびりと寛いでいるあなたが

 見かねて言う


 少しの間でいいから

 ここに来て座りなよ


 せっかく呼んでくれたのに

 片付け終わったら行く なんて

 いい加減な返事をして

 結局 ずっと動き回っていた気がする


 あなたの隣に寄り添って

 肩にもたれて あたたかさに触れ

 同じ煙の形を見つめて


 しなくてもいい話をして

 時間を無駄にしていたなら


 その無駄な時間も 思い出に

 無駄な話も 思い出に

 なっていたのかな


 大好きだったあなた

 寂しい思いをさせて ごめんね


 今頃になって

 無駄という贅沢に気がついた


 あなたが教えてくれたのに

 もっと傍に居られたら

 もっと世界が広がっていたのかな


 でもね

 こうして 時々思い出すのは

 あなたがいつも

 私の胸の中に居るということ


 いつか

 ここが君の居場所だから

 そう言って 抱きしめてくれた

 あの日の約束は ずっとそのまま


 私には あたたかい居場所があるの

 ありがとう

 元気でいてね 幸せに笑っていてね


 私は あなたの優しさで生きている

 伝わらなくても そうなんだ


 不思議だね

 あんなに不安だったのに

 失いたくなかったのに


 さよならをしても

 ずっと あなたがいる

 記憶は毛布のよう

 やわらかくて あたたかい

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