破壊と創造①
お客さんが来ることは嬉しく有難いこと。
どの店にとっても絶対の思いである。
無論、幸福商店にとっても。
この世界に店を構えてたくさんの願いを聞き、叶えてきた。
だが少々この世界の生物は貪欲すぎた。
他者とのバランスも社会構成も考えず、願う。
その結果がこれだ。
ある地域では暴動が起こり、ある地域では人口が莫大に増え、ある地域ではリア充とその他の人で仲違いが起きた。
もうこの星は一年と持たずに滅びるだろう。
争いばかりになって、人口も増えた星は長くはもたない。
そうして滅びた星をいくつも見てきた。
そう考えていると店の扉が開く。
一人の若者……か。
かつて有名になりたいと願った少年と歳は近そうだ。
彼は夜に来たが目の前の少年は昼間に来た。
無職か、浪人生だろうか、と考える。
「ここが願いを叶えてもらえる幸福商店ですか?」
少年は尋ねる。
あぁ、彼もか……。
そう思い、適当な返事をする。
全く疲れてしまった。
「で、願いは?それで来たんでしょう?」
苛立ちを隠さずに少年に聞く。
「俺なら世界を変えられると思うんだ!一度この星をほろぼして俺を新世界の神にしてくれ!」
堂々と大きな声で言ってくる。
こいつは馬鹿か?流石に頭おめでたすぎる。
可哀想なやつだ。
まぁいい。滅ぼして作ってやれば満足するんだろう。
「あぁ分かった。明日の朝には叶っていますから。お楽しみに」
ぶっきらぼうに返すとさっさと追い払う。
どうしてこうもこの星の生物は馬鹿な奴が多いのだろう。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
「あぁ、歴史は繰り返すんですねぇ……」
客のいなくなった店内で彼は呟く。
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