幕間11
舞台の上に、男が一人。
小さな少年、齢は
終わりの幕が下りた後。
そっとのぼった板の上。
誰も
俺は幕前に立ち、観客席を見回す。
一人語りが響き続けたホールを見る。
一方。
俺は客席に座り、次の話を待っている。
演者の長い長い幕間を待ち続ける。
そうか。
そうだったな。
そういう場所だった。
めでたしめでたし。の後、
分をわきまえず舞台にこっそり上がったのが俺なら。
分をかえりみず客席にしぶとく残っていたのも俺だった。
であれば、ヌルを取り込んだ俺にも同じことができると考え、実行した。
そして俺は、俺の精神が創った、俺しかいない世界にまんまとひきこもった。
「これが、
「別に、
客席に座る俺。あれはヌルだろうか。それとも逆。
―――いや、今さらそんな区別が必要とも思えない。
完全に、二つが一つになったのだ。
一つが二つであっても同じこと。
……本当にそうだろうか。
「アンコール! さぁ、次の話を聞かせてくれよ」
「もう、ない。分かっているだろう」
「だがな、帰ることもできないんだぞ。何か捻り出せ」
そう、俺の言うように、この空間から出ることは叶わない。
扉はあるが、固く閉ざされている。
「じゃあ、映画でも観るか。茉莉香たちの物語を、俺の持ってる記憶と記録から再構成して、映画化してやろう」
「それはいいな。そのうち、あいつらのその後を見られるようにしよう。灯台守にだって、海を眺める権利くらいあるんだから」
「互いに不干渉なまま、ただ見ているだけ。良いじゃないか。これこそ、俺の望んだ世界だ」
―――パン。
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