第6話 根拠~恭子の場合

「そこまで見込んで貰っているなら、教えてあげても良いかしら?」

「是非お願いします!」

 再度力強く迫った清香に、恭子は小首を傾げつつ苦笑してみせた。


「でも……、私が知っている内容を口にした場合、それが先生の耳に入ったら、私、即売り飛ばされると思うのよね……」

「う、売り……って! 恭子さん!?」

「川島さん、今の言葉はどういう意味ですか?」

 いきなり出て来た物騒な単語に清香は眼を見開き、聡は訝しげな表情を見せた。他の者達も驚いたが、年齢と経験の差で黙って三人のやり取りを見守る。

 そんな緊迫した雰囲気の中、恭子は更なる爆弾発言を繰り出した。


「文字通りの意味ですが……。実は私、以前借金のカタに水商売をしながら、ある人と愛人契約をしていたの。だけど絶対服従を条件に先生に借金を全額肩代わりして貰って、店から引き抜いて貰うと同時に、愛人契約の方も円満に解決してもらったものだから」

「愛っ……」

 口をパクパクと虚しく開閉し、言葉にならない清香の横から、顔を盛大に引き攣らせた聡が確認を入れた。


「借金って……、因みに幾ら位……」

「親が背負わされたのは八千万だったんですが、色々積み重なって当時は一億越えてました」

「億って……」

 さらっととんでもない金額を口にした恭子に、今度こそ聡が絶句し、店内に不気味な沈黙が漂ったが、そこで恭子がしみじみと言い出した。


「先生は人使いが荒くて、しょっちゅう無茶振りされますけど、その分特別手当とか危険手当を払って貰えるので、少しずつですけど順調に借金を減らしてきたんです」

「はあ……」

「それなのにまた売り飛ばされて、借金に上積みされるのは勘弁して欲しいの。……だから清香ちゃん、くれぐれも私から聞いたって事は先生には内緒ね?」

 唇に立てた人差し指を当て、にっこり笑って口止め要求してきた恭子に、清香は毒気を抜かれた風情でこくりと頷いた。


「は、い……」

「皆さんも、宜しいですね?」

 返す刀で男達に向き直り、同様に笑顔で念を押してくる恭子に、一同は無言で頷いた。それを確認して恭子が話を元に戻す。


「それで、先生が真澄さんの事を好きだと思う根拠なんですけど……、私は先生の仕事上のお手伝いをしている関係で仕事場の机の整理もするんですが、働きだしたばかりの頃、引き出しの奥で変な物を見付けたんです」

「変な物って、何? 恭子さん」

「アイロンが掛けてある、綺麗に畳まれたハンカチ一枚」

「はい?」

「あの……、それがどうして変な物なんですか?」

 淡々と説明された内容に清香と聡は怪訝な顔をしたが、恭子は冷静に話を続けた。


「小さな花柄の模様が織り込んである、薄くて白い布地で、細かいレースで縁取りされていて、端にM.Kって刺繍がしてある、何かのシミが残ってる物なんですけど」

 懇切丁寧なその説明を聞いて、思わず清香と聡が顔を見合わせた。


「……思いきり変ですね。どう考えても兄さんの物では有り得ません」

「M.Kって……、真澄さんのイニシャルだよね。それってやっぱり真澄さんの?」

「となると……、ひょっとしたら、兄さんが柏木家で怪我させられた時に使った物か何かかな? 血のシミだったら、すぐに洗わないと残る筈だし……」

「何となく、大きさからも大人物より子供向けって感じがしますしね」

 二人の推測を裏打ちする様に恭子が感想を述べ、話を先に進めた。 


「それから四年前になりますが、私が仕事中の平日に、真澄さんが顔を見せたんです。その時、先生が私を『仕事上のアシスタントで、通いで来て貰ってる。清香とも仲良くして貰ってる』って紹介したんです。そんな風に紹介されたのは、後にも先にも真澄さんだけですから」

「あの……、恭子さん。それがどうしておかしいの?」

 別段紹介の仕方に不審な点が無かった為、清香は本気で首を捻ったが、恭子はここで盛大に溜息を吐いた。


「実は……、仕事場に来る編集者の方達や同行する取材先の方に対しては、先生は私の事をいつも『アシスタントで、時々泊まりに来て貰って、妹共々公私に渡って世話して貰ってる』って紹介するんです」

「え? それって……」

「あの……」

 その微妙なニュアンスの違いに清香と聡は口ごもったが、恭子は如何にも苦々し気に言葉を継いだ。


「まあ確かに、家に清香ちゃん一人の時に、過保護な先生が私を泊まらせて出かけますし。……ええ、間違ってはいませんよ? 間違っては」

「そ、そうだよね、恭子さん」

「それを聞くと、あくまでも仕事上の付き合いと割り切ってる方は『身の回りの事をして下さる方が居て安心ですね』とか『近々ご結婚なさる予定ですか?』とかさらりと返してくれるだけなんですが、先生狙いの方からは呪い殺されそうな視線で睨みつけられた挙げ句、先生の目の届かない所でネチネチゴソゴソ……。先生にしてみれば、私は体の良い女除けアイテムです」

「……すみません、お兄ちゃんが迷惑かけてます」

 思わず座ったまま神妙に頭を下げた清香に、恭子が苦笑した。


「あら、清香ちゃんが気にする事じゃないのよ? これも仕事の一環だし。そんな訳で真澄さんに紹介された時に、この人に変な誤解されたく無いのかしら? と思ったわけ」

「なるほど……、理屈には合ってますね……」

 思わず感心した様に聡が呟くと、恭子は小さく頷いてから話題を変えた。


「それから……、春休みの話だけど、真澄さんとホストクラブに行く事になったから、一緒に行かないって誘った事があったでしょう?」

「はい、それが?」

「ちょ……、ホストクラブって、何!? 清香さん!?」

 思わず動揺して問いかけた聡に、清香は笑って説明した。


「結局、行かなかったんです。お兄ちゃんが話を聞いて怒り出して。言い出したのが真澄さんだったらしくて、その場で電話をかけて文句を言ってたし。……あ、そうか! 私を誘おうとした事を怒ったんじゃなくて、真澄さんが変なホストに入れ込んだりしたら嫌だから、あんなに怒ったんだ」

「入れ込むって……」

 納得した様に頷いた清香に、聡は疲れた様に項垂れた。そこで恭子が悪戯っぽく笑う。


「実はその話には続きがあってね? あの時は『行かなくて良い』と言われたんだけど、先月先生に『今夜ホストクラブに行って、この金を使い切って来て下さい』って言われて、三百万を手渡されたの」

「さっ……!」

 今度こそ完全に目を見開いて絶句した清香には構わず、恭子は当日の状況を語り始めた。


「先生の指定したホストクラブ《朔夜》に出向いたら、オーナーさんがわざわざ席に出向いて『先輩から話は伺ってます。楽しんでいって下さい』って挨拶してくれました。何でも、先生の大学時代の後輩だそうです」

 何気なくそう説明した恭子に、周囲の男達は唖然となった。


「大学時代って……、東成大卒って事だよな……」

「何でそんな名門卒の男が、ホストクラブを経営……」

 その疑問にも淡々と答える恭子。

「お話を聞いたら、以前は松原工業勤務だったそうですが、『ムサいジジイやおっさんの顔を見るのが嫌になった』とかで退社して、『女性の喜ぶ顔を見るために粉骨砕身するホストが、俺の天職だ』って思い定めて転職したそうです。脱サラの成功例ですね。《朔夜》は一流どころに数えられているみたいですし」

 それを聞いて同窓生に当たる浩一と聡は無言で頭を抱え、友之は何とも言えない表情で溜め息を吐いた。そして他の者達は、三人に生温かい眼差しを送る。


(兄さんも、東成大卒としては、随分毛色の変わった方だろうけど……)

(馬鹿と何とかは紙一重って言うけど……)

(しかし、二人の間にどういう接点と意図が……)

(友之…、顔、引き攣ってるぞ?)

(うん、家業を袖にされたショックは分かるがな……)


「それで、オーナーさんが付けてくれたナオトさんに言われるまま、フルーツ盛り合わせとかオードブル盛り合わせとか、特製トロピカルカクテルとかお酒をどんどん頼んで、付いている十人位に振る舞ったり、その人達に手品とかモノマネとかして貰ったり、隣の席でシャンパンタワーを始めたらナオトさんに耳打ちされた通り『隣が十段ならこっちは二十段詰んで』って叫んで、肩に持ち上げて貰って上からドンペリゴールドを五本ほど流し落としたんですけど……、とうとう最後まで何がどう楽しいのか良く分かりませんでした。場を白けさせるのは悪いので、終始お愛想笑いはしてましたが」

「恭子さん、私も良く分からない……」

「…………」

 途方に暮れた様に清香が呟くと、男達は賢明にも恭子の話の内容に関する論評を避けた。そして肩を竦めた恭子が話を続ける。


「ちょっと話が逸れたけど、その時隣の席に居たのが新飛鳥製薬の社長さんで、『あなた、若いのに似合わず良い使いっぷりね。でもホストに入れあげてる訳では無さそうだし、気に入ったわ。一緒に飲まない?』って誘われて。意気投合して、朝まで互いに愚痴とか言いつつ痛飲したの。最後はお互いの連絡先も交換したし」

「朝まで……」

「痛飲って……」

 思わず項垂れた清香と聡だったが、ここで何故か浩一が真剣な顔つきで口を挟んできた。


「新飛鳥製薬社長……、芳賀晶子社長の事ですよね? 先程先月と言ってましたが、具体的にはいつの話ですか?」

「5日の事です」

「……ひょっとして、社長と姉さんを引き合わせましたか?」

 慎重に問いを重ねた浩一に対し、恭子は平然と説明した。


「仲介、と言えるかどうかは分かりませんが、真澄さんとはメル友なので翌日『昨日こんな事があった』と掻い摘んでメールを送ったら、『今すぐ社長に紹介して!』と、電話がかかってきました」

「やっぱりそうか……」

「浩一さん?」

「どうかしたんですか?」

 そこで片肘を付いて額を押さえて項垂れた浩一を皆不思議そうに見やったが、本人の代わりに恭子が説明を加えた。


「何でも社長さんの話では、新飛鳥製薬が今春から発売を開始した新薬の抗癌剤の原料が南米原産の特殊な植物で、ペルーの貿易会社と提携して輸入していたのに、そこが他の外資に吸収されたら回して貰えなくなったそうで、生産現場からは在庫が持たないと悲鳴が上がってたそうなの」

「ええ? それって酷くない?」

「社長も契約違反を盾に現物を渡す様に迫ったんだけど、こんどは足元を見られて従来の二倍以上の金額をふっかけられたとか。裁判に持ち込んでも長引くし、もう服薬を開始している患者への薬の供給を切らす訳にはいかないし……、と苛々してて、気晴らしに馴染みのホストクラブに繰り出したそうよ」

「芳賀社長と言えば……、夫だった先代社長が早世した後、瓦解しかけた会社を纏め上げた女傑として有名だよな……」

「そんな隠れた趣味があったんだ……」

 大企業の女社長の知られざるストレス発散法を知ってしまった男達は、どこか遠い目をしながら溜め息を吐いた。


「そうしたら柏木産業の方でも、ここ何年か業績不振だったブラジル支社の統廃合問題が浮上してた最中だったらしくて。芳賀社長から聞かされた内容をメールで簡単に送ったら、真澄さんに詳しく話を聞かれて、その上で交換していた社長のアドレスに連絡を入れたんです。そして何日かのうちに、二人は直接顔を合わせた筈です」

「それで? どうなったんです?」

 仕事上、興味津々の顔で尋ねた聡に、今度は浩一が説明した。


「結果だけ説明すると、新飛鳥製薬が求める原材料輸入の仲介をうちのブラジル支社で全面的に引き受ける事になった。加えて新飛鳥の系列子会社が使う賦形剤や原材料も、南米原産やそこの市場が大きい物を幾つもブラジル支社が調達する事になって、人員削減は白紙に戻った。姉さんは海外事業部に恩を売り、国内での新飛鳥製薬との流通販売に関する協定も進めてる最中とか」

「はぁ……、凄い偶然。真澄さん、ラッキーでしたね?」

「は、はは……、そうだね。凄いね」

 単純に笑顔を見せる清香に聡は引き攣った笑みで応じたが、他の面々は小声で囁き合った。


「……偶然?」

「話がうますぎる……」

「だって清人さん指定の日時と店だろ?」

「……もう裏工作の匂い、プンプンだよな」

 その推測を裏付けする様に、恭子が話し出す。


「他にも、本業以外の“時間外勤務”と“特別勤務”をこなす上でお知り合いになった方が何人も居るんです。……成田建設の社長さん、戸越製粉の専務さん、日本DPTの営業部長さん、竹川精密工業の常務さん、門田アパレル工業の会長さんと言えば、浩一さんに思い当たる節はありませんか?」

 そう言って小さく笑った恭子に、浩一は肩を竦めた。


「……ええ。記憶違いでなければ、この二・三年、姉さんの企画推進部二課で新規事業を立ち上げた時の提携先や、新規開拓した取引企業の名前ですね」

 どこか疲れた様に浩一が指摘した内容に、清香は目を見張った。


「え? まさかお兄ちゃん、真澄さんの仕事のお手伝いをしてたの?」

「お手伝い……、と言うのとはちょっと違うと思うけど。真澄さんは仕事に厳しくて、プライドが高い人だし。あからさまに手伝われたら、却って怒ると思うわ」

「……確かに、そんな気がする」

 思い返して考え込んだ清香に、恭子が冷静に言い聞かせた。


「だから、あくまでもさり気なく話題の中に相手企業の話や情報を盛り込んだり、さり気なく知り合いになれるように根回ししたり、さり気なく商談の場を整えたりって程度じゃないかしら?」

 そこで聡が控え目に突っ込みを入れる。


「普通はそういう事は、さり気なくやろうとしても、なかなか出来ないと思うんですが……」

「先生ですから」

 あっさりと断言されてしまった清香は、それ以上何も言えず黙り込んだが、聡は素朴な疑問を繰り出した。


「もう一つ質問が。先程名前が上がった方達とは、どうやって知り合ったんですか?」

「『パチンコのフィーバーシリーズで大当たりを出す』とか『走り屋とチキンレースをして勝つ』とか『プロのハスラーと勝負して勝つ』とか『ハンバーガーの早食い競争で優勝する』とか『一度掏った財布を元の持ち主に気付かれ無い様に戻す』とかの先生からの指令を検証または実践中に、お知り合いになりました」

「はい?」

「皆さん私の事情を聞くと『何て情け容赦の無い雇い主だ。今に命を落とすぞ?』と忠告して下さるんですが、半年もしないうちに先生自身が顔見知りになってて『捕まった相手が悪かったな。まあ、頑張れ』って慰められます。……本当に、女も男も誑し込むのが上手いんだから」

「…………」

 それを聞いた聡は、清香同様無言になった。


「そんな事もあって、真澄さんを特別扱いしてるなと思ってたんです。だって浩一さんは真澄さんの弟で、先生とは親友同士らしいですけど、そんな風に便宜を図って貰った事はありませんよね?」

「…………そうですね」

 恭子にきっぱり断言され、益々浩一は暗くなって落ち込み、思わず他の面々が声をかけるのを躊躇う。


(う、お兄ちゃん、ちょっと酷いかも……)

(友情より女を取ったって事か? ……ある意味はっきりしてるな)

(ああ、兄貴、地味にダメージ受けてるっぽい……)

(清人さんも、もうちょっと男にも気配りってものを……)

 そんな重苦しい空気の中、更に恭子が話題を変えた。 


「それから……、経理を任されている関係で、毎年十月か十一月の頭に購入された品物の結構な額の請求が、後日来る事を知ってるんです」

「結構な額って……、お兄ちゃんは何を買ってるの?」

「所謂、宝飾品とかオートクチュールの類とかよ」

「……どうして?」

 思わず尋ね返した清香に、恭子が真顔でとんでもない事を口にする。


「先生に女装癖が有ったら、そのネタで借金を踏み倒せるのに残念だわ……」

 その台詞が恭子の口から零れ落ちた瞬間、静まり返っていた店内に何かを吹き零したり、箸や皿を取り落としたりする様な小さな物音が、あちこちで発生した。そして思わず畳に両手を付いた清香が、畳を見下ろしながら恨みがましく呟く。


「恭子さん、お願いだから勘弁して……。色々予想外の事を聞かされて、只でさえ頭がパンクしそうなんだから」

 その訴えに、恭子は小さく失笑してから、優しく言い聞かせた。

「ごめんなさい、からかうつもりは無かったんだけど。……本当に分からない? 真澄さんの誕生日って、いつでしたっけ?」

「確か、十一月十日……。え? 何? じゃあ毎年、真澄さんのお誕生日にプレゼントを渡してたの!?」

 驚きに目を見張った清香が慌てて問いかけると、恭子は静かに首を横に振った。


「それが渡していないの。先生の仕事部屋のクローゼットの中に、包装されたまま放置されてるわ」

「どうして!?」

 今度ははっきりと詰問口調で問い質してきた清香に、恭子は困った様に肩を竦める。


「さあ、それは……。先生の昔の話を伺って、何となく分かる気がするけれど、ご本人じゃないと正確なところは分からないわね」

「えぇ? 全然意味が分からない! だって真澄さんに告白して渡せば良いだけの話でしょう? お兄ちゃん位見た目が良くて何でも出来る人なら、真澄さんとだってお似合いじゃない。……と言うか、真澄さんにはお兄ちゃん位の男の人じゃないと釣り合わないと思うのに、どうして告白しないの!?」

「清香さん、落ち着いて」

 恭子に掴みかからんばかりに興奮して訴える清香を、聡は若干冷めた目で眺めた。


(……うん、相変わらずのブラコンっぷりだな)

 そう呆れながらも聡は清香を宥めようとしたが、彼女の従兄達は揃ってどこか気まずそうな顔を見合わせ、分かった様に頷き合う。


「それは、まあ……、理由としては“あれ”かな?」

「十中八九“あれ”だよな……」

「どう考えても“あれ”だろう」

「やっぱり“あれ”ですよね?」

「“あれ”しか無いよな……」

「清人さんでも“あれ”は気にするか……」

 その様子を見て、自分一人だけ事情が分かっていない事で疎外感を覚えた清香が、苛ついた声を上げた。


「ちょっと皆! 自分達だけ分かってないで、私にも分かる様に説明してっ!!」

 その叫びを受けて、清香以外の全員が聡に視線を向けた。


(清人さんの異父弟で清香ちゃんの彼氏だろ? お前が説明しろ)

(やはりここは、聡さんが説明するべきですよね?)

 浩一達はおろか恭子からまでもそんな無言の要求を受け、聡は諦めて深々と溜息を吐いた。そして怒りを露わにしている恋人に向き直る。


「えっと……、清香さん? 取り敢えず俺が推測できる内容を説明するけど、最後まで怒らないで聞いてくれるかな?」

「……話の内容にもよります」

「うん、じゃあできるだけ冷静に聞いて貰うと言うことで」

 一応、むやみやたらに怒らないと約束して貰ってから、聡は重い口を開いた。

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