75時間

 はなやかな装丁の、やさしい心理学とか脳科学の本のことを、実は嫌いではない。まんがや挿絵などがついていると、するする頭に入ってきてさらによい。わたしの職業を知るひとには、怪しからんと怒られるか、あきれられるか、もしかしたら専門性を見限られるのかもしれないが、ストレスなく読めて害にならないものはリハビリにもちょうどよい。


 最近読んだそちら方面の本に、おとなの勉強術の話が書かれていた。中年以降の勉強は、若いときのように記憶力に頼ろうとはせず、少しずつでも毎日その学びに触れ、まずは親しみ、思考、情動、運動など多くのセクションを連動させて理解することにつとめ、1回の時間は短くてもいいので頻度を増やすことで、若いとき以上の、熟れた学習が可能だという。老年期も新たなことは習得可能で、総計でおおよそ75時間そのことをすると、脳に新しい回路がひらかれるのだそうだ。

 75時間。一日1時間とすれば、2ヶ月半。週休日に3時間とれれば、2ヶ月弱。

 確かにこれだけの時間を文章を書くことに再び費やしたなら、何もしないよりは何かは変わりそうだとは思う。まあ、このようにすぐ影響されるわたしもちょろいというか素朴にすぎるが、手を動かすためのモチベーションになるならば、たとえホラであってもかまわない。


 よって、今日もここにポチポチと文字を打つことにする。熱しやすく冷めやすいヘタレなので、続ける宣言はしない。総計75時間文字を打った後、何かが変わったと感じられたらいい。

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