第5話お風呂ですよぉ
【稲さんの家】
「おや、タマ来たのかい?チビ達を連れて来た時は鳴いて教えるのに、一人だと鳴かないからわかんなかったよ」
「(お婆ちゃん、お腹空いた)」
「良し良し待っといで。今ご飯あげるからね(どうやって捕まえるかね?昨日は籠を置いたら逃げちゃったし)」
「ンニャン(ご飯)」
「そうだ、こっちおいで」
〈カリカリを入れた袋を持って稲さんが動くとタマが付いて行く〉
【Lapis夢が丘店】
チビ君達をお風呂に入れないと。
「おいで〜(お風呂に入ろうね〜)」
「(うゎっ来た)」
「(怖いよ)」
「大丈夫だよ〜良い子だね〜おいで〜」
〈遊が捕まえようとするとチビ達は逃げ回るる〉
昨日来たばかりだもんな、外で怖い思いをしてたし、慣れるまで少し時間がかかるかな。
「おはようございますぅ」
あ、この声は。
「来ちゃいましたぁ」
由良ちゃん、夢が丘店が心配で来てくれた。
皆んな来たいから「順番に来させます」って、麻友さんが言ってたもんな。
「可愛いですぅ」
「え?抱っこ出来た?」
「出来ましたよぉ、どうしてですかぁ?」
ハハ、助かった。
「この子達お風呂に入れたいんだけど」
「私手伝いますぅ」
ポンちゃんは爪を切ってからじゃないとお風呂には入れられないね。
大変だろうな…
【シャワールーム】
僕の心配をよそに由良ちゃんがチビ君達を洗ってくれている。
鼻歌なんか歌っちゃってるし。
「ミャミャー(何するの?)」
「大丈夫だよぉ、怖くないからねぇ。ほら、気持ち良いでしょう〜フンフフンフン♪」
シャワーをかけたらちょっと嫌がったけど、二人(?)とも意外と良い子にしてた。
由良ちゃん凄いぞ。
僕一人じゃとてもこうはいかなかったよね。
さて、問題はポンちゃんだな。
これがまた中々捕まらない。
逃げ回るポンちゃんを追い詰めるのは可哀想だよね。
やっと部屋の隅の箱に入ったから、秘密兵器登場だ。
「秘密兵器ぃ?」
「ジャジャーン!洗濯ネット〜」
「オーナー、ドラえもんみたいですぅ」
ドラえもん、居たら良いね。
「そんな物どうするんですかぁ?」
愛里さんに教えてもらったんだ。
凶暴な猫にはこれが一番だ、って。
これ、テンちゃんでやってみたら楽に爪切り出来たから、今回も活躍してくれそうだね。
箱の上から洗濯ネットをかける。
良し、入ったぞ。
「シャー!(何よ!何すんのよ!)シャー!!」
「ごめんね〜怖くないから、ちょっとだけ大人しくしててね〜」
「シャー!(触らないで!)」
落ち着くまで少し待った方が良さそうだな。
チビ君達は綺麗になったから、可哀想だけどママを洗うまで別の部屋だね。
あ、二人(?)とも由良ちゃんに抱っこされて寝ちゃってる。
「猫カフェいつオープンですかぁ?」
「猫達が人に慣れたらね」
「この子達は慣れてますよぉ。猫カフェデビュー出来ますねぇ」
そうか。
〈チビ君達を見てニコニコの遊〉
ママは時間かかりそうだけどね。
「ポスター作らないとね、注意事項書いて」
「猫に人間の食べ物をあげないでくださーい、ってやつですねぇ」
そうそう。
外に出さないでください、とか書いておかないと。
「ポンちゃん、落ち着きましたかぁ?」
あれ?
シャー!って言わない。
ちょっと暴れたけど、なんとか爪切り出来たぞ。
「じゃあ、お風呂に入りましょうねぇ」
洗濯ネットだし、このままで大丈夫だ。
最初はちょっと怒ってたけど、シャワーをかけたら大人しくなった。
何だか気持ち良さそうにしてる。
ポンちゃん意外とお風呂好きみたいだね。
さあ、綺麗になったぞ。
これでチビ君達と一緒にしてやれる。
サロンに入れたら皆んなでくっついて寝ちやった。
「オーナー。血が出てますぅ」
あ、ポンちゃんに引っ掻かれたのかな?
由良ちゃんが絆創膏を貼ってくれた。
「お着替えしてくださいねぇ。私、店番してますぅ」
「ありがとう」
あ、ポンちゃん抱っこしたから服が汚れてる。
由良ちゃんは上手に汚さないようにしてたよな。
僕もシャワー浴びて着替えよう。
【店内】
〈遊が着替えて来る〉
あれ?
由良ちゃんが居ない。
うん?
この音は…
【サロン】
「はいはーい。せっかく綺麗になったんですからぁ、お部屋もお掃除しますよぉ」
「ニャー(何これ?)」
「ミャー(変な音がする)」
「ミャー(逃げろ!)」
猫はやっぱり掃除機嫌いだよな。
それにしても気が利くな。
由良ちゃんが来てくれて助かったよ。
【店内】
〈遊はポスターを貼っている〉
「「ニャンコからのお願い。人間の食べ物は塩分が多くて僕達は食べられません。お外は車が通るから危ないので僕達が出ないようにしてください」フムフム、明日からでも猫カフェ出来そうですねぇ」
出来るかなあ?
「おはようございます」
「おはようございます」
バイトの二人が来たな。
由良ちゃんに紹介した。
「麻友さんから聞いてますよぉ」
同じ年頃だから、すぐに仲良くなった。
「じゃあ、私はぁ、本店に戻りますねぇ」
「ありがとう、本当に助かったよ」
「これ何ですか?」
「天然石幸せのレシピ?」
「ああ、お客さんに書いてもらうんだ、これ」
「スキャンしてパソコンに入れるんですか?」
「うん」
「そうだよね、紙で取っとくとかさばるもん」
「いや、取っておくよ。それを使って遠隔も出来るしね」
「遠隔?」
「うん。筆跡で遠隔出来るんだよ」
「あ!知ってる!私ネットでちょっとパワーストーンの事調べたのよ。何かの装置に入れてエネルギーを送るとかなんとか」
「装置?」
「え?違うの?」
「ほら、これこれ」
〈真理絵はスマホを見せる〉
「何とかヘルスって言う健康器具みたいね」
「本当だね、怪しい。きっと何十万とかで売ってるんだよ」
「こんな装置使わないよ僕は。と言うより、ヒーラーは」
「じゃあ、どうやって?」
「僕達ヒーラーはアチューンメントを受けてるから、普通に遠隔出来る」
「アチューンメント?」
「まあ、この場合、ヒーリングに必要な回路を開いてもらう感じかな?」
「何も使わないで出来るの?装置より怪しい」
はあ…
そう思われちゃうんだね。
真理絵ちゃんがどうしても信じられないと言うから、遠隔をする事になった。
すると言うより、させられる感じ。
「温かくなったり、ピリピリしたりするかも知れない。眠くなったら寝ちゃって良いよ」
「じゃあ、サロンに行くね。天空路さんここからやってみて」
はいはい。
「真理絵、サロンのソファーに座ってますよ」
「OK。じゃあ、始めようかな」
僕の場合は、レイキとクリスタルを組み合わせた物なんだ。
マントラ、麻里愛ちゃんが居るから手で書けないな。
唱えるのも心の中だ。
うーん、レッドコーラルを握ってやろうかな?
良し、始めよう。
【サロン】
「(本当に遠隔なんて出来るの?)あ、リラックスしろって言ってたな」
〈しばらくすると〉
「え?何?何か肘が温かい?まさか…気のせいよ」
〈それからしばらく…〉
「なんか…眠くなって来ちゃった」
【店内】
「真理絵ちゃんテニスしてたって?」
「はい、肘を痛めて辞めちゃったんです」
そうか、それで頭から下りて行った時その辺りが気になったんだな。
うん。
このぐらいにしておこうか。
【サロン】
「真理絵」
〈麻里愛が声をかけるが返事は無い〉
「真理絵、終わったよ」
「うん?ふぁ〜」
「寝ちやったのね」
「あ、寝てた?何か気持ち良い」
【店内】
〈二人が話しながら戻って来る〉
「何かさ、体がポカポカして来てね」
「ピリピリは?」
信じてもらえたかな?
「何かわかんないけど、凄い気持ち良かった」
【稲さんの家】
「タマ、来たのかい?付いておいで」
〈物置の所にタマを連れて行く〉
「ほら、お食べ」
【Lapis夢が丘店】
「それで、料金はいくらなんですか?」
「僕はヒーリングは仕事にはしていないんだ」
「え?じゃあやらないの?」
「やる時も有るよ。必要な時はね。でもお金は貰わない」
〈麻里愛の携帯が鳴る〉
「あ、富さんからだわ」
「今稲ちゃんが来てね、タマを迎えに来てほしいんだって」
「うわぁ、捕まったんだ!」
「わかったわ、すぐ行く」
〈電話を切る〉
「でも、どうしよう?タマって凄く大きいんです。私達だけで運ぶのは無理そう」
「遊ちゃん行っといでよ。店なら俺一人でじゅうぶんだ。アクセのお客様には事情を話して幸せのレシピ書いてもらっとくよ」
【稲さんの家】
「こっちだよ」
〈庭に案内される〉
「物置の中で寝てる」
物置の戸にネットをかけて開ける事にした。
「良いかい?開けるよ」
「はい」
稲さんが物置の戸を開けるとタマがネットに飛び込んで来た。
「ンニャーニャー(え?何?何が起こってるんだ?)」
良し、捕獲成功!
「(でっかい猫だな、Lapisのパパのニコロぐらいでかいぞ)」
「意外と大人しいわね」
「タマは優しい子なんだよ」
「ハハハ、本当にチビタマそっくりのおにぎり顔だね」
「でしょう?」
【夢が丘動物病院】
愛里さんにタマの爪を切ってもらった。
「子猫もだいぶ大きくなってるし、この子去勢してからじゃないと母猫のポンちゃんと一緒に出来ないわね」
「そっか、また増えたりしたら天空路さん大変だもんね」
「しばらくうちで預かるわ」
家族と離れ離れで何だか可哀想だけど、愛里さんの言う通りにしよう。
【Lapis夢が丘店】
「いらっしゃいませ」
「あの…麻里愛ちゃん居ますか?」
「申し訳有りません、ただ今出て居ります」
「まだ帰って来て無いか…ポンちゃん達どうしてるかね?」
「失礼ですが、稲様ですか?」
「はい、稲です」
「もうそろそろ動物病院から戻ると思いますので、宜しかったらコーヒーでも如何ですか?」
「そうかい?じゃあ、待たせてもらおうかね」
「その前に、こちらへどうぞ」
【サロン】
「チビトラ、チビタマ」
「ミャー(お婆ちゃんだ)」
「ポンちゃんは相変わらずだね」
「(ポンは来ないぞ。稲さんにも懐かないのか)」
「また会いに来るからね」
【カフェスペース】
「コーヒーをどうぞ」
「おやまあ、ありがとう」
「ポンちゃん一家保護出来て良かったですね」
「もうこれで虐待されないで済むよ」
「虐待なんて許せないです」
「ポンとタマは棒で叩かれて足を引きずって歩いてたんだよ」
「今は治ってるみたいですが」
「治って良かったよ。ポンはね、2日も来ないで心配してたら、頭からビニール袋かぶされてもう少しで窒息死するとこだったんだよ」
「それは酷い」
「ただいま。あれ?稲さん。来てたんだ」
「うんうん、猫達に会わせてもらったよ」
「そう、良かったわ」
「何だかくたびれちゃったよ」
「私肩揉んであげる。あ、凝ってるね」
「そんなのずっとだよ」
「どこですか?」
「ここんとこ」
「テラヘルツ貼っておいても大丈夫ですか?」
「何だい?そのテラ何とかって」
「テラヘルツ鉱石と言う人口石です。サージカルテープで少しの間貼っておくと凝りがほぐれると思いますよ」
「そうかい?じゃあお願いしようかね。痛くて首が回んないんだよ」
テラヘルツのタンブルを稲さんの患部に貼った。
「テラヘルツってなに?」
「テラヘルツ波を出していると言われているんだけど、これは何とも言えないんだ。研究者が「ガンや脳梗塞を治すと言って病気の高齢者相手に高額で売られている!」って怒ってたし」
「え?ガンとか治るの?」
「科学的根拠が見つかったらノーベル賞ものだって」
「何だ、そうなのか」
「でも、ケイ素で出来ていて肩こりが治るのは本当だよ。これは実験済み」
「何だか良くわかんないけど、肩こりが治るなら良いじゃん」
ま、まあ、テラヘルツ波が出ないなら名前変えてほしいけどね。
「おや?」
「どうしたの?稲さん」
「首が…」
「えっ?」
「動くよ、ほら」
「あら、本当」
「もう少し動くようにならんかね?」
「本当にこの石のせい?」
「だってほら、動いてる。痛くて横も向けなかったんだよ」
「不思議」
「石って本当に効くんだ」
「こらこら、石屋のバイトしててそれは無いよ」(苦笑)
まあ、勉強熱心だし、段々わかって行くだろうけどね。
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