se coucher
ふわりふわり、落ちていく
ぼくはどこまで行くのだろう
ホワイト、クリーム、フラワーベージュ
やわらかな色がぼくを包む
ふわふわふわ、落ちていく
ぼくをどこまで連れて行くのだろう
イエロー、オレンジ、グリーンチャーム
あざやかな色がぼくを抱く
目を覚ませば暗闇でそこかしこに小さな光の帯が見える
縦横無尽に動き回るそれらは光の濃度を変えながら
ぼくの周囲を照らしている
ぼくには一度も触れることなく
光の帯に触れようとしてもなぜだかぼくの手は見えない
そこにあるはずのものなのに視線の先にはなにもない
右と左、どちらを動かそうとしてもどこにもないから動かない
足ならどうだと動かそうとしてみたが
右と左、ああやはりどこにもない
上も下も、前も後ろもどこを見たって手足が見えない
そして体さえぼくには見えない
どこへ行った、どこに行った
ぼくの手は、ぼくの足は、ぼくの体は――はて?
ぼくの頭はどこにあるのだろう
手も足もなければ頭に触れることができない
そこにあるはずなのに分からない
目も耳も口も鼻も機能しているはずのものが
もしかしたら幻想なのではないか?
見えているもの、聞こえているもの
発しているもの、嗅いでいるもの
もう何もかもがわからない
思考さえも分からなくなってしまった
この目に見えている光の帯はいったい何者なのだろうか
ぐらりぐらり、揺れている
ぼくはどこまで落ちるのだろう
グレー、アンバー、インディゴナイト
やわらかな色はいつしか消え去り
あざやかな色たちは幾度も混ざり
ぼくの目の前には光なき闇だけが存在していた
そしてぼくも闇となる
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます