第6話 ソフトな性描写あります
毎週土曜日は、龍三先生の道場で少林寺と合気道を習いに行ってる。
その日も、いつも通りに稽古をしていた。
水分補給も済み、稽古に戻ろうとした時、視界にひろちゃんが入ってきた。
その瞬間、投げられていた。
合気道で投げるのか、って?
もちろん、合気道にも『投げ』という技はある。
あるが、この投げ方は柔道…。
そう思い、投げ飛ばしてくれた相手を睨み付けると、俺を投げ飛ばした相手はひろちゃんだ。
しかも、その構えは柔道ではないか!
「さすが、反射神経良いねえ。投げられても受身で流す。…やってるな」
やってることはやってるけど、って…。
中学と高校の授業でやってただけだ。
「今は合気道の時間です。柔道は他の時間、で… よ、っろ、しくっ」
ひろちゃんの攻撃を避けながら言ったら、
「異種混合の、じ、か、ん、だ!! 逃げるなー」
「逃げではなく…、避けてるんですっ」
なにやら発散したいらしく、私に向かって押してくる。
くそぅ…。
合気道ならまだしも、柔道は苦手なんだよなぁ。
気配を感じたら避ける、という繰り返しを数回すると、次はパターンを変えて避けてやる。そのうちへたばるだろうと思ってたのに、元気だねえ。
仕方ない、引っ掛けてあげよう。
内か外か、タイミングを見計らって引っ掛ける。
ヤバッ!
と、思ったら一本取られた。
くっそぉー、反則だー。
柔道にしか無い技で、負けてしまった。
誰が考えたんだ、寝技ってものを。
しかし、こいつ重いのな…。
なんか、いい香りがするし。
…そうじゃないだろ、違うだろ自分。
何を考えてんだっ。
仕方ないので、ギブアップした。
「下りてくれ。重いっ!」
バンバンと、床を叩く。
…ん?
あれ?
反応がない?
いや、反応はあるよ。
何かが俺を、俺のへそ辺りを押してくる。
……っ!
こ、コイツ、もしかして…。
「いい加減に、離れろ!」
「博人様、どうされたのですか?」
龍三先生も、どうされたのですか?じゃ、ないだろ!
まさに、ベキベキメキメキと剥がされたかの感じで、引き離された。
その際に、俺はソイツの○禁にケリを入れた。
ひろちゃんは蹲ったが、そりゃそうだろう。
まったく、とんでもない野郎だ。
他人に寝技かけといて、自分は感じてるなんて。
ここは、神聖な道場だぞ。
まったくもぅ…。
しかし、デカかったな、あいつの。
って、違うだろっ。
いやいや、ケリを入れた時に当たった感じを言ってみただけだ。
くそったれ…、私は何を言ってるんだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます