Code 127 目覚めた藍染叢雲、そして決着の時
「ここ、は……またあの空間だ。私は、俺は、いったい……」
「……力が、欲しいか?」
「だ、誰だ?」
深手を負い意識を失ったハーネイトは、あの紫色の空間の中で目を覚ました。そして直前に起きたことを思い出し、倒れていた状態から立ち上がろうとするも、激痛が体を走り立つことすら困難であった。その状況で、ある男の声が部屋の中をこだました。そして次の瞬間、苦しむ彼の目の前に、紺色の着物を着ている、今まで感じたこともないほど禍々しい妖気を纏った刀を腰に備えた、一人の白長髪の男がそこに立っていた。
「我が名は、魔人の書に封じられし、第一冠位の魔人、藍染叢雲……」
「あ、藍染、叢雲……!まさか、持っている妖刀が具現化したというのか」
「……違う。お主の手にした刀は本来俺のものだ。しかし長い年月の間に、使い手が変わっただけだ。今までだんまりを決めていたが、ここまで追い込まれている上、俺も黙っているわけにはいかない」
自身の名を名乗った藍染は、彼の考察を否定しつつ、今まで出てこなかった理由と今の状況が故に現れたと説明した。明らかにこの男はほかの魔人とはまとっている闘気、雰囲気が段違いで鋭く、肌で感じただけで身を切り裂かれそうなほどであった。ハーネイトは戸惑いながらも自身の体の状態も鑑みて、協力を申し出た。
「……それで、どうすればいいんだ。あの化け物は、私の装甲を貫いた。あれを一撃で吹き飛ばす技、それがあれば……」
「ああ、あるとも。弧月流には戦技と魔剣技の二種類がある。今まで使ってきた斬月や断月は魔剣技だ。その上の力、破月を使えば一撃で倒せよう」
「……しかし、彼女にとりついた邪神を引きはがさなければ止めることは難しいでしょう」
そこに現れたアルフシエラは、今の状態ではそれでも勝てるかどうか難しいと説明する。しかし彼女は、今ヴァルナーの力を取り込んでいるセファスがあくまで人間であるため、その邪神の力さえなくなれば大きく弱ることを説明した。
「アルフシエラ、様」
「私に右手を預けてくれますか?あの怪物の中にとらわれたヴァルナーを、私が引きはがして見せます。そうすれば彼女は弱体化し、その剣技の一撃で変化した部分の破壊が容易になります」
「……わかった、二人とも、私に力を、力を貸してほしい」
ハーネイトのその言葉に藍染叢雲は不気味な笑みを浮かべ語り掛ける。
「貴様も、力に溺れるか?」
「いや、私は、その力で世界を救うんだ。溺れてたまるか!」
「……フッ、いいだろう。さあ、我が力、受け取れ!」
そうしてハーネイトは決意を固め、二人の力を借りることにした。そうして、彼は藍染から一本の刀を渡された。それは自身の持つ黒刀とは違う、白く輝く刀身の打刀であった。
「これは、もう一本の藍染叢雲……か!」
「破月を撃つには両方の刀が必要なんでな」
「これで終わりにしましょう、皆さん」
アルフシエラの呼びかけに答え、ハーネイトは目を閉じて心の中で瞑想し集中する。そして紺色の魔本を手に取り、手にかざした。
「ハーネイト、目を覚ましてよ!」
「やはり傷が深すぎるな。このままでは……」
伯爵とリリーの必死の呼びかけにも答えず力なく地に伏したままのハーネイト。幸い出血はイジェネート能力の影響による銀色の血により既に凝固が完了しこれ以上血が出ることはほとんどないものの、受けた肉体のダメージは深刻であった。もうだめなのか、これで彼が終わりだなんて思えない。けれどどうすればよいか、二人は思わず涙が出た。そしてその涙が彼の顔に触れた瞬間、奇跡ともいえる出来事が起きたのであった。
「なん、だと!傷があっという間に治っていく」
「何という力だ、こちらが押しつぶされそうなほどの闘気だ」
オーダインたちはハーネイトの内なる力を感じおののいた。そして周囲を押しつぶすほどの波動を放ちながら彼は自身の体を黒い光で包み込んだ。
「はぁあああああああああああ!魔本変身、藍染叢雲!」
「あれは、侍、なのか」
「なんて、殺気なの。そして右腕の白い護手、あれからも感じたことがない力を感じるわ」
倒れたまま光に包まれ、そのまま浮き上がり、その光の中から現れたもの、それは200%の力で憑依した藍染叢雲であった。そして怪物を見た瞬間、彼はその場から残像残さず姿を消し、いきなりヴァルナーセファスの頭を白と黒の刀で切り裂く。そして痛みに悶絶し暴れるセファスの触手を連続で瞬間移動しながらかわし、空間ごと引き裂く斬撃を繰り出し邪神の主腕4本を瞬時に切り落とした。
「弧月流、惨月!」
「がああああああああああああああ!!」
「っ!負けるものか。アルフシエラ様、行きますよ」
「はい」
そしてハーネイトはアルフシエラと意思、そして呼吸を合わせ、相手が怯んだ隙に突撃を開始する。
「さあ、ヴァルナーはどこなんだ」
「……あ、あの胸にある宝石の中に、彼女の波動を感じます」
「わかった、チャンスは一度だ。次元の彼方より現れろ、MFイタカ!! 」
アルフシエラがヴァルナーの波動を感知し、場所を彼に告げる。しかし引きはがすのに少し時間が欲しいといわれ、幾多の触手の群れをどう突破するか計算をしていた。その上であの邪神となったセファスの行動を止めるとすれば、今はこれしか選択肢がない、そう彼は考えあの機械の巨人を召還した。
「……そうか、ほう、相棒やるじゃねえか」
「どうしたのよ伯爵」
「確かあの化け物も同族状態といったな、だが邪神が引きはがされれば……?」
「そ、そういうことね!けれどあの触手の数、どうすれば」
伯爵は既にハーネイトの目論見を見抜いていた。いや、正確には自身の能力で彼に菌を取り付けて傍受していたのであった。それを説明しながらリリーに告げる。確かに同じものでなくなれば、彼にとっては優位になる。けれども勢いをさらに増す気色悪い触手の軍勢をどうすればよいのか悩んでいたのであった。
「話は聞いたぜリリーちゃん!」
「隙を作るくらいならできますよ」
「リシェル、エレクトリール!」
「今一度、わが軍の兵士たちよ。彼のために時間を稼ぐのを手伝ってくれ!」
「無論ですよ、王様」
「行くぞお前ら、わが軍の力、ここで見せずして何とする!」
エレナが身に着けていた通信端末づてに、リシェルや機士国王、レイフォン騎士団などにその情報がいきわたり、各自行動を開始する。
「いいぜ、要はあの気持ちわりい触手を斬りまくればいいんだろう?」
「そうなるが妹よ、あまり突っ走るな」
「へっ、臆病風に吹かれてな。行くぜ!」
「では私の背に乗るがよい、そこの戦士たちよ」
主戦場から少し離れた場所にいた霊量士、騎士団と龍教団、そしてブラッドラーたちは人型になったウルグサスに声をかけられ、上空からの奇襲を仕掛けることにした。そして巨大な龍に変身したウルグサスに全員が飛び乗り、勢いよく上昇しセファスのいる上空に向かう。
「邪魔はさせないぜ、魔銃士の誇りにかけて、この一撃を決める!極限の魔閃(エクストレームディスティロ)」
「雷神豪臨!最強の戦闘民族を相手にしたこと、末代から後悔してあげます! 」
「そのキモイ触手を吹き飛ばしてやるぜえ、野郎ども、あれをぶち抜け! 」
爆走するベイリックスの車上からリシェルが全エネルギーを銃に注ぎ込み、まばゆく太陽のような閃光を銃口から解き放つ。それは瞬時にセファスの胴体を貫き大ダメージを与える。そしてエレクトリールとクロークスはそれぞれ、雷撃と宇宙戦艦の砲撃を一点集中でぶつけ触手の生える大地を後かたなく消し飛ばす。少しでもハーネイトの攻撃チャンスを作るため、誰もが意思を統一し各々ができることを的確に実行する。それでもおぞましい触手はうごめき、再生していく。
「さあ、道を作ってやるぜ、いけすかねえ英雄王さんよ!」
「我らが希望を、守るために……!レインボーミストブレス!」
「これを食らいなさい、醜悪な怪物。ガーンデーヴァショット!」
「鬼霊たちよ、奴の動きを封じろ!」
「これで終わりよ、ロザード・エスパーディア!」
更にボガーノード、シャックスが前に立ち武器をそれぞれ構えた。彼女さえいなければ、DGも早く無力化できた。しかし彼女に操られ、多くの罪を犯してしまった彼らは、せめてもの罪滅ぼしに。そしてけじめをつけるために全力をもってセファスを倒すと決意した。
そしてリリエットは意識を取り戻していない父ことゴールドマンが気が気でなかったが、霧の龍に仲間とともに乗り、空から攻撃を仕掛ける。そしてブラッドバーンとヴァンは地上からヴァルナーティクスに肉薄し、紅蓮の鉄拳と無慈悲な雨の弾丸をぶつけまくり数本の触手を破壊した。
そして霊量士だけでなくフリージアやその兄、ハルクス教団の魔剣士、そしてウルグサス本人による怒涛の攻撃が上空から降り注ぎ、触手で覆われた大地を破壊し、その勢いをそぎながらハーネイトが彼女に迫れるように再度道を作ったのであった。
「行くぞ、ブラッドラーの意地も見せてやる!」
「プロミネンスボレーシュート!」
「ここが踏ん張りどころじゃ!ナマステトルネイド!!!」
霧の龍たちの攻撃に合わせ、セファスの背後に現れたブラッドラーたちとナマステイ師匠たちは彼女の意識を分散させるため不意打ちで襲い掛かり、彼女がハーネイトに向ける視線を逸らす。
「第二射着弾!やはり新しい消火剤は効果大の模様」
「ははは、やはり私は天才だな。さあ、ハーネイト先生、とどめを刺してくれ!」
「もう一度食らうがよい、王の意地というやつだ、行けええええええ!英雄ハーネイト!」
「へっ、相棒、行ってこいや!!喰らいて醸すは我が菌帝剣、朽ち果てろ、VHFバニシングブレイザー!」
数千、いや数万あった触手のほとんどが切り落とされ焼かれ、残りは本体とそれに付随する数百本。そこに再度グランドタイタンからの消火弾道ミサイル、機士国王の魔法剣、そして伯爵の菌帝剣が同時に残りの触手すべてを破壊した。そしてゼぺティックスとルテシアは通信越しに応援し、伯爵と機士国王は攻撃と声援でハーネイトを支援する。
「来いニャルゴ!ユミロ!力を貸してくれ!」
「ああ、主よ。これで蹴りをつけようぞ!強襲形態、アサルトランテパラージ! 」
「俺が、皆の仇、とる!うおおおおおおおおおおっ! 」
その一瞬のチャンスを見逃さず、ハーネイトはすぐさまニャルゴを空中で呼び出し飛び乗る。そして命令のままにニャルゴは変身し、全身を武装した強襲形態(アサルトランテパラージ)になって空を駆ける。それはまるで光のような速さで邪神の心臓部分に突撃を仕掛ける。それを妨害する触手たちをMFイタカの創金大剣が瞬時に切り落とす。負けじと更なる巨大な口を開く腕がハーネイトたちに振り下ろされそうになるも、それすらもイタカは腰に携えたクォルツセイバーを引き抜き、まばゆい閃光で華麗に断ち切って見せた。
そうして怯んだ隙に、女神の加護を受けた白い護手でその赤い宝石を砕き、囚われていたヴァルナーを体に取り込んだ。更に同時に呼び出したユミロの贅力な一撃が彼女の顔面に炸裂し大きくその巨体をよろけさせた。
「っ!はぁああああああああああああああああ!ヴァルナー、こっちへ来い!」
「か、かあさん!それに、お前は!」
「ぐおおおおおおおおおお!やめろおおおおおお!」
セファスは最後の抵抗をするも、すでに力を失いつつあり、徐々に醜悪な肉体は崩壊していった。それでも邪神と融合した副作用か、体のところどころから不気味な緑色の触手が生えていた。
「はあ、はあ……どうにかヴァルナーを引きはがせた。って、なぜ人の姿に戻っていく。デモライズでもう元に戻らないと思ったのに」
「それは、わが娘ヴァルナーが彼女にとりついた力を吸収したからでしょう。ああ、ヴァルナー、私の愛しい娘。今はしばらく、寝ていなさい」
「ぐぬぉおおお、く、くそお!よくもおまえら!許さん!! 」
ヴァルナーが体内から抜けたことで、変貌していた肉体が消滅していき、セファスは元の体に戻ったのであった。そして膝をつきながらも空にいるハーネイトと伯爵をまだにらんでいた。
「いまだ相棒、彼女にとどめを刺せ!」
「うおおおおおおおお!これで、終わりだ!マスター!行けえええええ! 」
「これで、終わってくれ!影の呪い 闇の深淵。足を縛り手を蝕み心喰らう、その果てに散華し命を散らせ!大魔法70の号、黒禍(くろまがつ)」
ハーネイトはニャルゴに乗りながら、闇の魔法、黒禍を詠唱し発動する。それは相手を暗黒空間に閉じ込め凝縮してから魔法爆発を引き起こす魔戦技。彼女の巨体を包み込み、その暗黒結界は外界を隔てる。そして中で集まった魔粒子が連鎖反応を引き起こし、内部で強烈な爆発を生み出した。
「次だ!漆黒の決意、地獄の炎。憎悪を含みその色は濃さを増す!黒炎の波よ全てを飲み込め!大魔法39の号、黒炎葬!(こくえんそう)」
彼は刀でその場を薙ぎ払う動作をする。すると彼の体から憎しみを秘めた地獄の黒炎が地を走り、波のように彼女をとらえた結界まで突き進むと、天に上る火柱を激しく生み出した。
「これでとどめだ!邪悪なる魔導師の野望は、この魔法で討ち滅ぼす!北の七星、南の七星。互いに結び天を描く光の印。14の星をもってその命を奪いつくす!大魔法103の号、北南七星凶殺陣!(ほくなんしちせいきょうさつじん)」
魔法使いとしての意地。そして誇り。同じ魔法を極めながらも、道を踏み外した先人を倒すには、これしかない。そう彼は考え、彼女の足元に巨大な2種類の魔法陣を作り出した。そしてその陣の光が濃くなった瞬間、視力を奪うほどの閃光が空まで届き貫いて、光の濁流の中でセファスオスキュラスは力なく倒れこんだのであった。
「これで、終わった、か……っ」
ハーネイトは、激戦に巻き込まれ荒廃した土地の上に立ち、周囲を見回していた。傷ついた兵が仲間に運ばれている光景、そして無数の魔獣の死骸が横たわり、そして死霊術に使われた死者の遺骨が所狭しと散乱していた。
「これほどの戦いは、あの時以来じゃな、ハーネイトよ」
「師匠……。もう、お別れですね」
「ああ、そろそろじゃな。術者の力が失われた以上、私も還る時が来たようだのう」
セファスとのリンクが切れ、肉体が消えかかっているジルバッドがハーネイトの横に来て声をかける。
「……師匠、願わくば、もう一度しっかりと話をしたかった」
「……ならば、お前の力を使い、魔本に私の魂を写せばよい」
「な、なっ!なぜ、そのことを」
「……すまんのう、ハーネイト。今まで、お前に隠していたことがあった」
ジルバッドは、申し訳ないと言いながら空を見て、弟子に隠していた事実をすべて打ち明けたのであった。
「私を、別の世界から連れてきたのが、あなたとDカイザー、そして大牙、紅月師匠だったのですね」
「そうじゃ。お主の本当の父親、そやつから頼まれたのだ。兵器として、何の感情も抱かずに殺戮するような息子になってほしくない。女神が寝ている間に人として育ててほしいと」
ジルバッドは時期が来たら、ハーネイトに対し真実を打ち明けようと考えていた。しかしそれは生前にかなわなかった。後悔ばかりの人生だったなと彼は改めて思いつつ、ハーネイトに謝罪した。
「そういう、ことがあったのですね。……ようやく、自分が何者なのかはっきりした」
ジルバッドが実の父親でないことは薄々感じていたため驚きは少なく、至って冷静に向き合っていたハーネイトだったが、もう一度師匠と会い、そのうえで真実を聞くことができた。それでよかったと思った彼の顔はどこか晴れやかだった。
「……私たちが説明するまでもなかったですかね」
「フッ、オーダインか」
ハーネイトのもとに訪れたオーダインが、彼が興味を引く一言を言った。
「あの遺跡に眠る装置、次元融合装置の力を借りれば、あのお方に会うことができる」
「会うって、誰に?」
「ハーネイトの、本当の父親にな。そして俺の父さんでもある」
彼の口から出た言葉は、ハーネイトの表情を大きく変えた。そして内側からあふれ出るいわれもない感情をどうしようか悩んでいた。しかしすでに、答えは胸の中で決まっていた。
「……本当の、父さん……。……会いたい。どんな人なのか、どうしてこんなことをしたのか、直接話を聞きたい」
「ハーネイトよ、これからも険しい道のりが続くだろう。しかしわしはお前のことを見守っているぞ。さあ、魔本の力をわしに」
「また、会えますよね」
「ああ。しばしの別れじゃ、そんな顔をするな、わが弟子よ」
師匠が消える前に、ハーネイトは願望無限炉と魔本の力を用いて、師匠を吸収し、その力を魔本に収めたのであった。そして彼は、涙を浮かべると空をしばらく見上げてみていたのであった。
「……これで、よかったのですね、師匠……」
「別れとは、つらいものだな」
「伯爵……」
うつむいたハーネイトを見た伯爵が、そっと肩に手を置いて話しかけた。彼の見せたその表情に、過去の自分を重ねずにいられなかった伯爵は、隣に来ると静かになった戦場を見ながら話を切り出した。
「前に、話したことあったけな、俺の過去を」
「伯爵の、過去?」
「ああ。俺は、国を救うために、実の父親と戦って、殺めてしまったんだ」
「……一体、何があったのだ」
そうして、伯爵は自身が王を目指す理由、そして昔何があったのかを静かに話し始めた。その一部始終を聞いたハーネイトは、彼も自身とは違えど苦しい思いを抱えて生きてきたのだと理解した。
「伯爵も、つらい生き方、してきたんだね」
「それはお互い様だ」
「あ、ああ。なあ伯爵、これからも力を貸してくれるか?」
「へっ、別に構わねえぜ。ようやく、ちゃんと相棒って認めてくれたってことなんだよな?」
サルモネラ伯爵は笑顔で確認する。それに今までのことも含めまだ複雑な心境があったハーネイトは少し言葉を詰まらせたが、自分に肩を並べる、いやそれ以上の力を持つ存在のことを心で認めていたのであった。
「フハハハハハ、ああ、任せとけ」
「伯爵……。って、遺跡のほうから誰か来る」
「お前らが、俺を目覚めさせたのか」
ようやく戦いが終わったかとほっとした彼らだが、遺跡のほうから聞こえた声を聞いてハッとし、その方角に体を向けたのであった。
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