206日目 魔王の幼体化


 メルトはハルトたちと街へ戻ると・・・依頼の報酬と害獣の駆除報酬を受け取り。

4人で報酬を分け合い、家に戻って風呂を済ませてから酒場へと向かって行った。


「ぶっひゃぁ~~~クゥ~~~風呂上がりのシュゴビーはやっぱ最高じゃないの!!!

ホラ、ハルトぉ~私の奢りなんだからもっとグビグビいっちゃいなさいよ~~~」

「うっせぇ・・・俺はお前みたいにガツガツシュゴビーを飲むタイプじゃないんでな。

それに・・・少し報酬が多いからって別に奢る必要もないんだぞ?」

「良いじゃないですか・・・あむあむ・・・・害獣の報酬はそこそこあったのですからやりたいようにさせれば・・・あむあむ・・・・私たちはただメシを食べれてメルトは満足する。

それでいいじゃないですか・・・・あむあむあむ。」

「そうだぞ?メルトが奢ってくれるなんて世界が滅ぶレベルだぞ?

本当に滅んでしまうかもしれないのだ・・・・こういう時は他に何も言わずに食べておけばいいんだ。」

魔王とキルりんはメルトの機嫌がいいからとやたらめったに言いたい放題に語るが。

メルトはその言葉に動じずに堂々と酒を飲めや飯を食えやと舞い上がっており。

このお調子モノ状態が裏目に出ない事を祈りつつハルトはシュゴビーに口を付けていると。

魔王は何だか体が熱いと言い出し・・・少しだけ眠ると言って顔を隠して眠り出しており。

ハルトは気になったがメルトとキルりんはどうせ魔王はのだろうと言い出し。

気にすることでもないとハルトに言い聞かせて再び食事を再開し始めてから数十分後・・・・ウェイトレスに皿を引き上げてもらう際にハルトの隣で寝ていた魔王に対してこういった。


「あれれ?ハルトさん・・・ができたんです??」

「はぁ!?俺に娘だぁ?娘なんていねぇよ?

何、冗談言ってくれてんだよ・・・・俺に娘なんていねぇしこの横で眠りこけてるのは魔王・・・ん?魔王???」

「ん~~~よく寝たぞ・・・・ん?どうしたのだ?みんな・・・ん?」

「ま、魔王・・・です・・・よね??」

「この魔力の感じからすると魔王だけど・・・・どうしたのかしら・・・になっちゃってんじゃない!!」

ウェイトレスが首をかしげながら皿を運んで消えて行くと。

魔王は自身に起こった状況に戸惑いながら体のあちこちに触れて驚いていた。


「な、何で私の体がちんまい体になっておるのだ!?

まさかメルトの悪戯なのか!?」

「ち、違うわよ!!!私がいつ魔王に悪戯したって言うのよ!!!

それに私は面白半分に人に魔法をかけたりなんて・・・・何では私をそんな目で見つめるのよ!?」

「したことないって言うのなら間違いなくメルトは地獄行き決定ですが・・・それは置いておいてですね。

魔王、コレはメルトの手の込んだ悪戯なんかではありません。

きっと先ほど魔王が体がしびれたとか言っていた時に浴びたキノコの胞子の中に体を幼体化させる効果のあるものがあったのでしょう。

にしても・・・これでやっと私とくらいとは・・・・なんだか本当にムカムカしてきました。」

「おい、こういう状況でお前は何を比べてやがんだ・・・・

まずはこの魔王の幼女化を何とかしないとだな。

そんじゃここの会計はメルトがしてくれるらしいし俺たちは先に戻るか。」

状況的に食事をしている場合じゃないと考えたハルトは会計をメルトに任せてキルりんたちと先に家に戻ると。

キルりんに魔王の体に異常がないか調べてもらい、体が小さくなった意外に特別変わったこともなく。

そのことにハルトはホッと胸を撫で下ろしていると会計を済ませたメルトが家に戻って来ていた。


「まったく・・・魔王が縮んで必死なのはわかるけど私を置いて先に帰るのはいけないんじゃないのかしらね?

それにたかだか魔王の体系がみたいになったくらいで大騒ぎし過ぎなのよ。」

「だれがちんまいって!?誰が!!!!

私はこれでも・・・いえ、今回は止めておきましょう。

にしても・・・・魔王は本当に可愛らしく縮んでますね。」

「あぁ、違和感がないと言えばウソになるのだが。

だけ動きが楽だ。」

「おい魔王・・・やっと落ち着いたキルりんの前でそんな挑発するようなことを言ったらダメだろ・・・

ほ、ほら・・・キルりん?今日は遅いしひとまず寝―――――――――」

ハルトは気を使ってキルりんに言葉を投げかけながらそっと方に触れると。

キルりんの目がギラリと光り、ハルトの手を掴んで背負い投げを決めて部屋に帰って行った。


「なぜこうなったし・・・・・ガクッ・・・・・」

「おいハルト・・・大丈夫か?

ん~~くッ・・・体が縮まると同時に筋力まで落ちてしまっているな。

これではハルトを部屋に運ぶこともできないぞ。

あ・・・メルト・・・」

「気にしなくていいわ・・・・このバカハルトの面倒を見るのも使い魔の主である私の役目だし。

魔王は自分の部屋で寝なさいな。

ふわぁぁ~~~むにゃむにゃ・・・・ハルトは適当にポイッてしておくから。」

そう言ってメルトはハルトの足を引きずって部屋に転がして出てくると。

魔王と別れて部屋に消えて行き。

ハルトは何とか意識を取り戻してベッドに転がり込むと・・・・そのまま意識を失うかのように眠りについた。



そして翌日・・・・朝食を済ませたハルトたちは幼女と化した魔王と手を繋いで前回胞子を浴びた森にやって来ると。

キノコが前回と同様に不気味なほど茂っており・・・・キルりんはどれが幼女化させるキノコなのか防護マスクを装備して1つ1つ丁寧に探していた。


「ん~コレは食べるとお腹の調子が悪くなるキノコで・・・・

コレはひとかじりであの世へ連れて行ってくれるアノヨダケですね。

ん~珍妙なキノコは多いですが本当に魔王は胞子で幼女化したのでしょうかね?

私もアサシンスクールで色々と習いましたが幼女化させるキノコは図鑑でも見たことも聞いたこともありませんが・・・・ん?このキノコは何でしょうか・・・・」

ふとキルりんは多く立ち並ぶキノコの中から1本の見た事のない小さなキノコを引っこ抜くと。

ハルトたちの方に持ってきていた。


「おい、お前危ないだろ!!!

もしもそれがマジで体を幼体化させるキノコだったらどうすんだよ!!!

それにそれが魔王を幼体化させたキノコだって保証はあるのか?」

「保障ですか・・・そうですね。

この辺りにあるキノコは私の頭の中にあるキノコ図鑑にあるものばかりですが。

このキノコだけ見たことも類似するキノコもない特殊なキノコなんです。

不思議なオーラを帯びたキノコであるからして何かしらの手が加えられている可能性もあります。」

「ふぉぶ!?オヌシたち・・・・そのキノコ・・・それとその可愛らしい女子は・・・・まさかチイサクナルダケの胞子を吸い込んだのか!?」

ハルトたちがキノコについて語っていると。

メルトを押しのけて1人の学者のような爺さんが現れ。

何か知っているかもしれないとハルトたちは昨日あった事を話すと・・・・

爺さんは全てに納得し、キルりんの持つ希少なキノコの事について説明するとともに。

魔王を元に戻す方法を教えるとすぐにまた違うキノコを集めに行くと言って森不覚に消えて行ってしまっていた。


「何だったんだあの爺さん・・・・妙な香りがしたが・・・・」

「あれはきっとマジックマッシュを大量摂取しています。

あまり深くかかわらない方がいいですよ・・・・あの手のモノはいつ暴れたり発作を引き起こすかわからない類のものが多いですから。

ですが、あの爺さんの話は根拠と言いますか内容に芯のようなものを感じたので私は先ほど言っていた物を作ろうかと思うのですがどうですかね?」

キルりんはさっきの胡散臭い爺さんの話していた魔王の幼女化を直す方法を試したいと言い出し。

爺さん自体はとてもまともには思えなかったが、久々にマジメな顔をするキルりんに冗談を言う事もできず。

ハルトは魔王とアイコンタクトを取ってダメもとでやってみることとなった。

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